悪夢 《壱》
「ようやく見つけた…こんな森の中に隠れていたなんてね…宗吉」
「統…もうこんな事はやめるんだ!」
宗吉は背に凛を匿いながら隠れ家内に入ってきた統に届かないと知りつつ願いを口にする
「おいおい…10年前にも聞いたぞそれ。言ったよな?もう俺達は友達でもなんでもない。俺は俺の理想を叶えるんだ」
「世界征服か…そんな子供じみた事を言うのはやめろ!」
「お前もそう言うのか……分かってるよな?子供を庇いながら室内で勝てると本気で思ってるわけないよなぁ……宗吉」
「10年前お前を止めたのは私だ」
「あの時は外だったからな…だが今は室内…得意のスピードも、『三日月』もここじゃ脅威にならない。今なら俺の支配する新世界で生きるのを許してやる」
「断る」
「なら死ね」
宗吉と統の武器が激しくぶつかり合う
赤い…槍?
凛は統の持つ槍に強烈な死の予感を感じる
「忘れたか?俺の槍の能力!これで受けた傷は決して癒えない!見た目だけ取り繕ったって無駄なんだよ!この槍は魂を裂く槍!どんな回復妖術だろうと魂までは治せない!回復不可の世界最強の呪いだ!」
「ッ!!」
宗吉は統の槍によって左足を貫かれる
「凛!」
宗吉は凛を抱きしめ壁を突き破る
「凛!あなただけでも逃げなさい!」
「え?い、嫌だよ宗吉!宗吉も逃げるんだよ!!」
「オラッ!!」
統が凛に向けて槍を振り下ろす
「危ない!」
間一髪凛と統の間に宗吉が割り込み身代わりとなった事で凛は命拾いする
「早く…逃げ…なさい!!」
凛は宗吉の命を無駄にしないため震える足で走った
宗吉は10年前を思い出す
業火の中統と自身の戦いに決着がつき、あとは統の首を刎ねるだけとなった瞬間爆風と共に吹き飛んできた凛が吹き飛んでくる。統はとっさに《ゲイ・ボルグ》を彼女目掛け投げる。統の目論見通り宗吉は彼女を庇い肺を貫かれる
「前にもあったな。またお前はあの女のせいで負け、死ぬんだ」
宗吉は凛との日常を思い出す
「宗吉…寝れない…」
あの事件のトラウマで寝れなくなった凛に宗吉は絵本を読み聞かせる
「この勇者はきっと宗吉のことだね」
「ふふ…どうだろうね」
「そうに決まってるよ!だって宗吉は私を助けてくれたもん!私の宗吉は最強なんだ!」
宗吉は吐血しながらも最後の力を振り絞り統から距離を取ると剣を鞘にしまう
「なッ!?」
心臓を切り裂いたのにまだ動けるのか!?まずい!?
私は凛をあの日庇ったことに一度も後悔した事はない…育てて、結果また庇って死ぬことになった今ですら…それは変わらない!!
『三日月!!』
渾身の一撃は大地を裂く




