夢を見た
夢を見た
夢を見た
あの日の……地獄の夢を見た
沢山の人が苦しんで、助けを求めて叫んで………ゴミのように死んで……
父さんも母さんも一瞬で丸焦げになった
凛と俺は父さんと母さんが盾になっていたから助かった
あの日は家族でショピングモールに行っていた。久々の父さんの休みに興奮したのを覚えてる。流行りの映画を見て、ご飯を食べて、ぬいぐるみを買ってもらって、ゲームセンターに行って……当たり前みたいな日常だったんだ
湊は統の言葉を思い出す
「お前の家族がゴミみたいに死んだことに大した理由は無いって言ってんだよ!」
否定したかった
ナンデオマエダケ?
ナンデ?
否定するために…あの日死んだ人達に、あの日死んだことに意味があったって取り繕えるように…俺は生きてるのだと思っていた…そうでなければいけないと信じていた……はずなのに
理想は所詮理想で、か弱い人間如きが叶えるには考えも、時間も、意識も、力も、何もかもが足りなかった…………
沈みかかった湊の意識は光と共に聞こえ始めた明の声によって再び浮かび上がる
ナンデオマエダケ?
「お前の家族がゴミみたいに死んだことに大した理由は無いって言ってんだよ!」
理由がないはずがない
人の人生に意味がないはずない。生まれたことも、あの場所で死んだことも…必ず意味がある。だとすれば…あの人達の死に意味を作れるのはあの日みんなの命を犠牲にして生き残った俺しか居ない
だから
こんな所で寝ている暇はない
────────────────────────
次の日の朝…
「みなと……みなと…起きてよ…」
2時間にも及ぶ手術を終え病室に運ばれた湊に明は抱きつきながら涙を流す
「みなと……みなと……」
夜が明けても続いていた呼びかけについに返事が返ってくる
「───────おはよ…明」
「ふぇ!?み…みなとぉ!!!」
明は目覚めた湊をより力強く抱きしめた
そうだ。諦めちゃいけない。俺はあの日死んだ全ての人の人生に、死に、意味を与える…自分が信じた理想だけはどれだけ困難なことであろうと諦めちゃいけない




