第八十三話 ギルドカード
「今日はルネ君とオスカーはお休みですよね」
寝ぐせ頭を掻きながら笑うソーダイに言われて思い出した。
そうだった。爺さんにデカいことを言った直後にこれじゃあ、やる気がそがれるな。
「休みと言われてもな。何もすることはないんだよな」
「夜ですしね。遊びに行くことも出来ないですよね」
「せめて関所の通行ができればなぁ」
トマは寝ているだろうが、ランスはきっと酒場にいるし、アイシャもまだ起きてるはずだ。
「ハキューネの街って、どんなところなんですか?」
「ハキューネはカヌセーヌで一番有名な宿場町なんだ。宿屋や飲食店、商店もたくさんある。ここは大陸の西側との玄関口だから、輸入品を扱う店や西側諸国の料理を出す店もあるんだ。旅人が装備を整えるだけじゃなく、観光地としても人気だな。関所の門は屋上が展望台になってて南側に海が広がってるんだ。晴れた日は景色が良いぞ」
「へぇ~。行ってみたいな。関所が全面開放されたら俺も行けるんですよね?」
そういえば、もうギルドカードで入国は出来るようになってるはずだな。出国が出来ないと帰って来られないが……。試しにギルドカードを持って行って聞いてみるか。
たしか、ウエストポーチのカードケースに……。あった、あった。
「なんですか? そのカード」
「僕のギルドカードだよ。こっちは商人ギルドので、こっちは冒険者ギルド。こっちはモンポワの奴だな」
「ルネ君がギルドに加入してるのは聞いてたけど、そんなにたくさん入ってたんですね」
「ギルドの話⁉」
バタンとドアを開けてジュンが入ってくる。廊下で聞いてたのか?
「ルネ君のギルドカードを見せてもらってたんですよ」
「うわ! すっげぇ! 本物?」
ふふん。驚いてるな。
「本物だ。当然だろう?」
「でも、ランクはGか」
「うるさいな。F以上になると体力テストや健康診断が必要で面倒くさいんだよ。路銀稼ぎにはGランクが丁度いいんだ」
「へぇー。いいなぁ。俺も欲しいなぁ、ギルドカード」
「関所が開いたら作りに行けばいいじゃないか」
「違う世界の人間でも作れるの⁉」
「カヌセーヌなら作れるんじゃないか? 受付で申込書に名前と種族名を書けばいいだけだったと思うし」
「名前と種族名だけでいいのは、Kランク」
「師匠!」
ユーゴまで……。
ここは僕とソーダイの部屋だぞ? 勝手に入ってくんなよ。
「ちなみに、Aランク以上からの推薦があれば、ノーチェックでFランクから加入できるし、推薦者と同じパーティーで登録すればクエストの受注制限は推薦者のランクに準ずる形になる。一切の責任は推薦者が負うから、滅多にないけどな」
「じゃあ、師匠から推薦をもらえば、一気にルネ君を抜けるわけか」
なんだと⁉
「俺は、推薦はしねぇよ? お前らがギルドに入るならKランクだ。一般常識も土地勘もない奴にはちょうどいいからな」
「なぁんだ。チートムーブかと思ったのに」
ジュンはつまらなそうに口をとがらせて自分の部屋へ帰っていった。
何をしに来たんだ? あいつ。
「俺はタツキさんの部屋でシャワー借りてきますね」
ソーダイは着替えを持ってボリボリと体を掻きながら出て行く。
みんなこれから仕事だもんな。せっかく休みでも、一人じゃつまんないのに……。




