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第二十八話 ソーダイが好きな物

 本当にクソ広いな、このショッピングモールってのは。

 歩いても、歩いても店が続く。

 ここに来てから、全く外の景色を見ていない。

 空が晴れてるのか曇ってるのかもわからない。


「食べ物の店は何処だ?」

「お土産は食べ物を買うの? この辺りは食べ物のお店ばかりだよ」

「なに? そうなのか? 肉も魚も野菜も見当たらないが」

「ここは専門店のエリアの、さらに洋菓子コーナーだからね。ガラスケースの中にケーキが並んでるでしょ? そうだい君に何を買うつもりなの?」

「食べ物なら何でもいいんじゃないのか? あいつ、食べ物好きだろう?」

「なんでも良いって事はないでしょ。好きな食べ物とか聞いてないの?」

 ソーダイの好きな食べ物か……。

 そういや、あいつが何か食ってるところは見たことがないな。

「たしか、ダーメン? とか、チャーハンとか……。あぁ、カレーライスが好きと言っていた。カレーライスを買って帰ろう」

「カレーライスがお土産ってのは、なかなか斬新だね。まぁ、初めてカレーライスを食べた時は、お持ち帰りできないか一度は考えるよね。それなら、あっちの総菜コーナーに行ってみようか」


 ガラスケースの中にあると、どんな品物なのかわかりやすくていいな。

 横の札に書いてある文字が分からなくても、だいたいの想像がつく。

 肉の串焼きに、生野菜のサラダ。お弁当も、うちの店のとはずいぶん違うな。

 品数が多くて彩りが鮮やかだ。

 実物が並んでいると、見ているだけで食欲をそそられる。


「ルネ、カレーライスあったよ」

 そうそう。カレーライスはこの楕円の容器に入っているんだ。

 煮込み汁とリブランが分かれてるやつ。

 でも、なんだかこれじゃあ面白くないな。

「これだと、ここに来た土産の意味がないかな? うちの店にあるのとあまり変わらない」

「そうかもしれないね。じゃあ、もう少し他の物も見てみようか?」

 せっかくここまで来たんだから、何か特別な物がいいな。

 ソーダイがびっくりするような物が良い。


 うん? なんだかいい匂いがする。

 バターの香りだ。

 あれは、パン屋だ!

「おい、パン屋だ! こっちの世界にもパン屋があるんだな」

「あぁ、そうだね。パン屋さんはルネの世界と似てるよね。パンが盛られた大きなカゴがいくつも並んでて、奥に大きなオーブンがあって」

「変な形のパンがいっぱいある」

「カレーのパンもあるよ」

「カレーのパン⁉」

 タツキが指さしたそれは、パンというよりも大きなクロケットのようだ。

 表面が茶色くて粉がかかってるように見える。

「中にカレーが入ってるんだよ。これは、カレーの他にチーズも入ってるんだって。こっちは茹で卵が丸ごと。こっちのは激辛で、これは……え? カレーうどん? うどんがパンに入ってるのか。色々あるね」

「これにする。ソーダイもこんなパンは見たことがないはずだ。きっとビックリする」

 よしよし、良い物を見つけた。

 タツキも驚いていたようだからな。

 ソーダイの奴、腰を抜かすぞ!


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