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悪魔の島 ―選ばれし20人、生存率0%  作者: 虫松
悪魔の島

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第7話 空からの巨大な影

住居の屋根の上に17人。

朝なのに、誰も動かない。


仲間の残酷な死を目の当たりにして

朝霧と共にコモドドラゴンの群れ去った。


ぐう……


腹の音。

一人じゃない。


ぐう……


あちこちから鳴る。


水はある。

井戸がある。

だが食べ物がない。


慎吾が唇を噛む。


「……このままじゃ、もたない」


直人が立ち上がる。


「……狩るしかねえ」


その言葉に、全員が反応する。


「……何を?」


彩花が問う。


直人は、空を見る。


上空に巨大な影が、横切る。


一つではない。

二つ、三つ、さらに増えていく。


巨大な翼を広げたプテラノドンたちが、上空で円を描くように旋回している。

その翼は帆のように広く、風を掴み、音もなく滑空している。


時折、羽ばたくたびに空気が震える。


ゴォォ……という低い風切り音が、地上まで響く。


長く鋭い嘴が太陽の光を反射し、影が地面に不気味に揺れる。

まるで、狙いを定めているかのように。


旋回の軌道は徐々に狭まり

中心へ、中心へと集まっていく。


空はもはや青ではない。


巨大な翼に覆われ、捕食者の天井に変わっている。




地上にいる者たちは、その下でただ見


「……来た」


慎吾の声が低くなる。


最長の鳥と言われる絶滅したはずの鳥だった。


レベッカが震える。


「They’re watching us…」


(見ている…)


マルコの目が変わる。


戦場の目。


「…Comida…」


(食料だ…)


直人が叫ぶ。


「やるぞ!!」


「落とせば、食える!!」


「食うか、食われるかだ!!」


慎吾も叫ぶ。


「固まれ!!囲め!!」


一匹。


翼を畳む。


ゴォォォォォ!!


一直線に急降下。


「来るぞ!!」


ドンッッッ!!!


屋根に激突。


爪が突き刺さる。

木材が砕ける。


慎吾が叫ぶ


「今だ!!」


マルコが飛び込む。


「¡Agárralo!」


(押さえろ!)


首にしがみつく。


ハンナが翼に飛びつく。


「Hold the wing!!」


ダニエルが脚を掴む。


「Don’t let go!!」



彩花も飛び込む。


棒で頭を押さえつける。


「動くな!!」


直人が叫ぶ。


「押さえろおおお!!」


全員で。


一匹を。


押さえ込む。


ギャァァァァァァ!!


絶叫。


翼が暴れる。


風圧。


吹き飛ばされる。


だが、みんな離さない。


「離すな!!」


マルコが歯を食いしばる。


「¡No lo sueltes!」


(離すな!)


「いける……!」


慎吾が呟く。


「倒せる……!」


初めて“勝てる”という感覚。


だが。


影が増える。


空が、覆われる。


「……嘘だろ」


さらに降下。


二匹。


三匹。


「来るぞおおお!!」


別の個体が突っ込む。


ドンッ!!


衝撃。


隊列が崩れる。


その中で。


恵が、動けない。


「……怖いよ……」


完全に、止まっている。


プテラノドンの一匹が狙う。

弱そうな個体を狙う。


一直線。


「恵ぇぇぇ!!」


直人が飛び込む。


だが。


太い爪が恵を掴む。


「いやあああああ!!」


持ち上がる。


「離せえええ!!」


慎吾が叩く。


ハンナが翼を引く。


マルコが叫ぶ。


「¡Córtalo! ¡Córtalo!」


(切れ!切れ!)


だが恵の嘴が振られる。


直人が弾かれる。


手が、離れる。


「……あ……」


挿絵(By みてみん)


恵の身体が空へ連れていかれる。


「いやああああああああ!!」



残されたのは、押さえつけていたプテラノドンの一匹。

まだ、暴れている。


直人が叫ぶ。


「……やれ」

誰も動けない。

「やれえええええ!!」


マルコが動く。


「……」


無言で喉の急所を狙う。

動きが止まる。

静かになる。


誰も、喜ばない。


慎吾が呟く。


「……勝ったのか……?」


誰も答えない。

空を見上げる。


もうプテラノドン一匹は旋回している。


人間は悪初めてこの悪魔の島で。

“奪った”。

だが。

それ以上に“奪われた”。


めぐみ 死亡

残り生存者:16名


「食った。でも、“それ以上に奪われた”。」

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