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悪魔の島 ―選ばれし20人、生存率0%  作者: 虫松
塔の秘密編

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第7話 美和の決断

静寂。


進化の塔の鼓動だけが響く。


ドクン……ドクン……


世界の終わりを刻むように。


その中で美和が、小さく言う。


「……誰かがやらないと」


その一言で時間が止まる。


慎吾の呼吸が止まる。


「……やめろ……」


声が震える。


「やめろよ……」


これまで、どんな状況でも現実を受け入れてきた慎吾が。


初めて“現実を拒否する”。


一歩、前に出る。


見えない壁に手を叩きつける。


ドンッ!!


「ふざけんなよ!!」


「そんなの……選択じゃねえだろ!!」


だが届かない。

触れられない。

壊せない。


彩花が、震えながら呟く。


「……選択肢が……存在しない……」


理論の果て。

分析の結論。

ここにはもう、“最適解”すら存在しない。


ただ犠牲だけがある。


美和が、ゆっくりと笑う。


「……やっと分かった」


その顔は恐怖でも、絶望でもない。


受け入れた者の顔。


慎吾を見る。

まっすぐに。


「私が来たここに来た理由」


涙が、こぼれる。


だが、止まらない。


「……終わらせるね」


慎吾が叫ぶ。


「やめろ!!!!」


手を伸ばす。

奇跡のように。


一瞬だけ。

触れる。

指先が、重なる。


「……行くな……」


声が、崩れる。


「……頼むから……」


美和は、その手を見つめる。


そして。

そっと。

離す自分の意志で。


逃げではない。

強制でもない。


“選択”。


美和が言う。


「大丈夫だよ、きっと」


最初と同じ言葉。


だが、もう、“希望”ではない。

“覚悟”の言葉。

彩花が涙を流す。


「……なんで……そんな顔できるの……」


美和は、答えない。


ただ、前を向く。


進化の塔の中心。

脈打つ光。


核へと一歩。


また一歩。


近づくたびに。


光が強くなる。


空間が歪む。


世界が、彼女を受け入れ始める。


慎吾が叫び続ける。


「やめろ!!」


「戻ってこい!!」


「美和ァァァァァ!!!」


届かない。


もう、届かない。


美和の体が、光に触れる。


その瞬間。


粒子のように。

分解が始まる。


だが苦しみはない。


痛みもない。


ただ“ほどけていく”。


光に世界に塔に。


溶けていく。


最後に振り返る。


笑う。


涙を浮かべたまま。


そして

小さく。


「……生きて」


その言葉だけを残して。


完全に消えた。


沈黙。


進化の塔の鼓動が、変わる。


ドクン……


ドクン……


鼓動が安定していく。

暴走していた“何か”が。

静まっていく。


世界の映像は崩壊が、止まり始める。

海が、静まり。

空の裂け目が、閉じる。


だが慎吾は、見ていない。


ただ立ち尽くす手を伸ばしたまま。

空を掴むように。


「……なんでだよ……」


声が、出ない。

膝が崩れる。


「……なんで……お前なんだよ……」


答えはない。

もう、どこにもない。

彩花が、隣に立つ。


何も言えない。

ただ同じ方向を見る、そこにいたはずの少女を。


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