表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
悪魔の島 ―選ばれし20人、生存率0%  作者: 虫松
塔の秘密編

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
40/45

第3話 記録と真実

塔の内部は“静かすぎた”。


音がない。

風もない。

生き物の気配もない。


だが足元から、確かに伝わる。


ドクン……


ドクン……


鼓動。


慎吾が顔をしかめる。


「……これ、本当に建物か……?」


彩花は壁に手を当てる。


ぬるり、とした感触。


柔らかい。


そして微かに、動いている。


「……違う」


静かに言う。


「これは建築じゃない……“組織”だ……」


壁一面に走る“管”。

血管のように分岐し、絡み合い、天井へと伸びている。


その中を光が流れている。


赤く。

青く。

まるで、血液。


美和が小さく呟く。


「塔が……生きてる……」


慎吾が舌打ちする。


「気持ち悪い……」


その時。

奥に、空間が開ける。


円形の部屋。


中央に黒い板。


いや“何かの記録装置”。


彩花が近づく。


しゃがみ込み、表面をなぞる。


すると


ピッ――


微かな音。


次の瞬間。


光が走る。


空間に、映像が浮かび上がる。


ノイズ。


断片的な言語。


そして、この島の記録が、再生される。


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


■記録ログ:人類最終記録


はるか昔。


人類は、世界を支配していた。


海を制し。

空を飛び。

地を掘り。

星へ手を伸ばそうとしていた。


世界は、人のものだった。

だが。

人は、満足しなかった。


より強く。

より速く。

より高く。

より完璧に。


そして

人は、見つけた。


“内側”にあるものを。

恐怖。

怒り。

憎しみ。

欲望。


それらは、力だった。

未開発のエネルギーだった。


人類は、それを利用しようとした。

制御しようとした。


そして“進化”させようとした。


映像が切り替わる。


巨大な塔。

空を貫く構造物。


今、彼らがいる場所。


彩花が呟く。


「……この塔のひみつ……」


記録は続く。


この装置は、生物の進化を加速させる。


遺伝子を書き換え。

環境適応を極限まで引き上げる。


あらゆる生物を“最適な存在”へと導く。


だが、それは同時に。


“内側”を増幅する。

欲望。

衝動。

本能。

それらが、制御不能な速度で拡張される。


映像が歪む。

人間が変わる。


獣へ。

怪物へ。

異形へ。

制御は失敗した。


人類は、自らの内側を制御できなかった。

進化は止まらず、欲望は肥大化し、世界は崩壊した。


大地は腐り。

海は濁り。

空は閉ざされた。


生物はすべて、“より強く生き残る存在”へと変化した。


巨大な虫。

異形の獣。

空を覆う影。

海を裂く怪物。


挿絵(By みてみん)


慎吾が息を呑む。


「……これは記録……」


美和が震える。


「……この島の……」


彩花が答える。


「全部……これだ……」


記録は最終段階へ。


人類は決断した。

この“進化”を封じる。

世界から切り離す。

干渉できない場所へ。


そして選ばれた。

この島。

外界と断絶された領域。


ここに、すべてを押し込めた。

失敗のすべてを。


そして建てた。


この塔を封印として。

監視として。


そして進化を“閉じ込める装置”として。


沈黙。


だが封印は完全ではない。

進化は止まらない。

生物は適応し続ける。


変化し続ける。


そしてこの島は、

“選ぶ”適応できる者を。

進化できる者を。


残す。


ノイズ。


最後の一文。


「生き物はこの島の生存競争に勝ち続ける為に――」


映像が揺れる。


彩花が息を止める。


「進化し続けることを、止めなかった」


停止。


完全な沈黙。


誰も、動けない。


慎吾が、ようやく口を開く。


「……じゃあ……敵って……」


彩花が答える。


「外じゃない」


「人間が作ったものでもない」


ゆっくりと。


塔の奥を見る。


「人間そのものよ」


美和が、前を見つめる。


「……まだ、終わってない」


「これ……続いてる」


ドクン……


ドクン……


塔の鼓動が強くなる。


まるで“歓迎している”。


慎吾が拳を握る。


「……ふざけんなよ」


「こんなの……止められるのか……?」


彩花は答えない。


ただ、一言。


「止めるんじゃない」

目の奥に、理解が宿る。

「選ぶのよ」


進化の塔の頂上へと4人は足を進めた。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ