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悪魔の島 ―選ばれし20人、生存率0%  作者: 虫松
悪魔の島

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第2話 墜落後 ―燃える海―

……。


音が、消えていた。


次の瞬間。


ドゴォォォォンッ!!!


飛行機の爆発。

衝撃。


そして熱。


慎吾は、海の中に叩き込まれていた。


(息……!)


肺が焼ける。


水が喉に流れ込む。


必死に手を動かす。


海中から

上へ。

上へ。


ザバァッ!!


空気。


「はぁっ!!はぁっ!!」


息を吸った瞬間。


むせ返る。

振り返る。


燃えていた。

海の上に、炎。


機体の破片が浮かび、

そこから炎が立ち上る。


黒煙が空を覆う。


油の匂い。

焼けた金属の匂い。


「……美和!!」


「しん……ご……!!」


数メートル先。


美和が必死に水を掻いている。


波に飲まれながら。

何度も沈みかけながら。


「こっちだ!!来い!!」


慎吾は泳ぐ。


だが、進まない。


波が強い。

体が重い。


「くっ……!!」


海の周囲を見る。

人。

人、人、人。


全員が必死に泳いでいる。


「Help!!」


「助けて!!」


「Ayuda!!」


叫び。

泣き声。

水を叩く音。


誰かが、誰かにしがみつく。


「離せ!!沈む!!」


二人とも沈みかける。


パニック。


「No!! No!!」


誰かが、沈む。

手だけが見える。

すぐに、消える。


慎吾は歯を食いしばる。


(見るな……!!)


前を見る。

砂浜。

遠い。


だが、ある。


「……行くぞ……!!」


腕を動かす。

足を蹴る。

その時。

目に入る。

機体の一部。

焼け焦げた座席。


そして。

動かない人影。


水に浮かびながら、揺れている。

慎吾は、一瞬だけ目を逸らす。


(……助けられない)


その現実が、胸に刺さる。


「慎吾……!!」


美和の声。

振り返る。


近い。

手を伸ばす。

届く。


掴む。


「離すな!!」


「うん……!!」


二人で泳ぐ。

波が来る。

飲み込まれる。


それでも。

前へ。

ただ、前へ。


やがて。

足に、何かが触れる。


砂だ。


「……着いた……!」


這うように、進む。


体が、言うことをきかない。


それでも。

砂浜へ。

倒れ込む。



……。


波の音だけが響く。


「……はぁ……はぁ……」


息が荒い。

体が震える。

横を見る。

美和がいる。


生きている。


「……よかった……」


慎吾は、空を見る。


青い。

何もなかったかのように。


だが振り返る。

燃え続ける海。


黒煙。


浮かぶ残骸。


そして。


動かない人の影。


「……っ……」


言葉が出ない。




慎吾は、自分の手を見る。

震えている。

だが。


傷が、ない。


「……なんで……」


美和も気づく。


「……痛くない……」


他の人間も、次々と気づく。


「……怪我がない?」


「No injuries…?」


「Impossible…」


あの墜落。

あの爆発。

あの海。


なのに。

無傷。

リディアが呟く。


「This isn’t normal… not at all.」」

(……これは……異常よ)


マルコが低く言う。


「Esto no es normal… algo está muy mal.」

(……何かがおかしい)


恵が震える。


「……ねえ……」


誰も反応しない。


「……見て……」


慎吾が振り向く。


その先。

砂浜の奥。

森の入り口。


そこに。

巨大な足跡。

人のものじゃない。


ありえない大きさ。


「……なんだよ……これ……」


その瞬間。


ズシン……


森の奥から、音。


何かが、いる。


ここは、事故現場じゃない。

“選ばれた場所”

そして。


ここから先は。

生き残るための戦いじゃない。

島から“選ばれるための戦い”だ。

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