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悪魔の島 ―選ばれし20人、生存率0%  作者: 虫松
塔の秘密編

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第1話 選ばれし者たち

悪魔の島の森は、静かだった。

風の音すらない、生き物の気配もない。


ただ“何かがいなくなった後”の静けさ。


慎吾たちは立っていた。


三人。


カテリナの血の跡だけが残っている。

引きずられた跡。

途中で、消えている。


彩花が口を開く。


「……直人生きてるかな。」


声は冷静。


だが、わずかに震えている。

慎吾は何も言わない。

理解しているからだ。


その時。

カサ……


背後で音がする。


三人が振り返る。

“それ”は立っていた。


マルコ。

目が合わない。

焦点がズレている。


口が、動いている。


マルコ(スペイン語)

「No… no… todos muertos… yo no… yo no… destruir… destruir…」


意味はわからない。


だが心が壊れている・

それだけは、全員に伝わる。


彩花が一歩引く。


「……危険人物」


慎吾もわかっている。

だが。

追い払えない。


マルコは、ゆっくりと一歩踏み出す。


ギシ……


足音が重い。


そして。


止まる。


一定の距離。

“ついてくる距離”


それ以上、近づかない。


だが離れない。


慎吾が低く言う。


「……来るな」


通じない。


マルコは、笑う。


少しだけ。


壊れた笑み。


「…jeje…… no estás solo…」


意味はわからない。


だが――


「一人じゃない」


そう言っているように聞こえる。


美和が、小さく呟く。


「……違う」


三人が見る。


美和は、森の奥を見ている。


「……呼ばれてる」


その視線の先。


巨大な塔。

遠くに見えていたはずのそれが。


近い。

明らかに。

さっきより。


彩花

「……距離、おかしい……」


あり得ない。


歩いていない。


なのに――


近づいている。


塔が。


ゴォ……


音がする。


低い振動。


地面が、わずかに揺れる。


慎吾が息を呑む。


「……動いてるのか……?」


違う。


動いているのは――


“空間”


距離が、縮んでいる。


逃げ場が、消えていく。


美和が一歩、前に出る。


「……行かなきゃ」


慎吾

「待て」


止める。


だが。


美和は振り返らない。


「……あそこに、“答え”がある」


その声は。


恐怖じゃない。


“確信”


彩花が呟く。


「……仮説が崩れる……」


論理が通用しない。


慎吾は歯を食いしばる。


「……行くしかねえか」


選択じゃない。

“誘導”


その時。

カサ……

また音。


振り返る。


マルコ。

同じ距離。

同じ笑み。


ずっと見ている。


マルコ(小さく)

「…la torre… te llama…」


誰も理解できない。


だが全員、同じことを感じる。


逃げられない

塔が、また近づく。


空が、歪む。

光が、強くなる。


そして“影”が伸びる四人分。


身体が震える。

押し返している何かに。


「……行かなきゃ……」


「違うだろ!!」


慎吾が引き戻す。


強く。


美和の足が、地面を削る。


それでも

前に進もうとする力がある。


「……終わらせるために……」


その言葉。


本人の意思かどうか。

もう、わからない。


彩花が震えながら言う。


「……これ……選別……」

「人を……呼んでる……」


塔の光が、一段と強くなる。


まるで。


“反応している”


慎吾の視線と。


美和の存在に。


マルコが頭を抱える。


「¡No mires! ¡No escuches! ¡Te lleva!」

(見るな!聞くな!連れていかれる!)


意味はわからない。


だが。


必死さだけは伝わる。


美和の呼吸が荒くなる。


涙がこぼれる。


「……怖い……」


その一言で。


慎吾の手に力が入る。


「……大丈夫だ」

「離さない」


美和が、わずかに振り向く。


いつもの顔。


「……うん」


だが。


塔の光は、止まらない。


脈打つ。

呼ぶ。



距離は変わっていないのに近い。


圧迫感。

存在感。

逃げ場がない。


彩花が呟く。


「……これ……時間の問題だよ……」


「いずれ……連れていかれる……」


沈黙。


誰も否定できない。


塔はそこにあるずっと待っている。

選ばれる、その瞬間を

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