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悪魔の島 ―選ばれし20人、生存率0%  作者: 虫松
直人脱出編

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第3話 直人脱出編、構築

悪魔の島の朝。

海は静かだった。


何も起きていないように見える。

それが逆に、異常だった。


森の中。


ギィ……ギィ……


木が軋む音。


直人がノコギリを引く。


汗が落ちる。


呼吸は一定。


無駄がない。


「……この太さでいい」


倒れる。


ドンッ。


乾いた音。


すぐに次へ。


数時間後。


切り出された木材が並ぶ。


長さを揃える。


削る。


組む。


ロープで固定。


ギシ……ギシ……


歪みを確認。


踏む。


体重をかける。


「……ふん!」


次へ。

ロープ。


蔓を裂く。


編む。

結ぶ。

引く。


切れないか確認。


「……使える」


白い布。

縫う。

結ぶ。


風を受ける面積を計算する。


「帆は大きすぎてもダメだ」


「制御できなくなる」


手を止めない。


直人は一切迷わない。

すべてが“判断済み”。

すべてが“必要”。


その時。


海岸に転がるものに気づく。

透明な容器。


プラスチックボトル。


いくつも。


流れ着いている。

直人は拾う。振る。


カラカラ……


空。


「……浮く」


一言。


次の瞬間にはもう動いている。


木材の下部。ロープでボトルを固定。


一本。

二本。

三本。数十本。


均等に配置。


「浮力を分散させる」


「沈まない構造にする」


ボトルを押す。


潰れない。


空気が入っている。


「……十分だ」


さらに追加。


“過剰”なほどに。


沈むリスクを消す。


組み上がっていく。


骨組み。浮力体。


最低限だが“完成している”


夕方ついに

帆船が完成した。


挿絵(By みてみん)


風が吹く。

帆がわずかに揺れる。


バサ……


直人はそれを見る。


計算する。

風向き。

波。

距離。


「……いける」


確信する。

だが。

視線が海へ向く。


静かすぎる。

あの時の記憶。

水面の魔シャチの大群。


引きずられる人間。

血の赤い海。


「……」


一瞬だけ止まる。


だが、すぐに切り替える。


「電気で防げる」


小型発電機を見る。

ロレンチーニ器官。


「近づけさせなければいい」


問題は“戦うこと”じゃない。


「避けさせることだ」


直人は帆船に手を置く。


ギシ……


まだ粗い。

だが機能する。


「無駄はない」


低く言う。




悪魔の島の夜。

星が出る。

塔が光る。


あの一定の光。

だが、わずかに“脈打つ”


ドクン。


ドクン。


直人は見ている。


「……関係ない」


言い聞かせるように。


「使うだけだ」


風が吹く。

帆が揺れる。

まるで“島”が試すように。

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