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悪魔の島 ―選ばれし20人、生存率0%  作者: 虫松
直人脱出編

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第2話 直人脱出編、発電所へ

悪魔の島の森の奥。


湿った土の上に、不自然な“線”が走っている。


黒いケーブル。


地面に半ば埋まりながら、一直線に伸びている。


直人はしゃがみ込む。


指で触れる。


「……人工物だ」


迷いはない。


「これを辿れば……」


顔を上げる。


暗闇の先。


微かに見える光。

巨大な塔。


あの光と、繋がっている。


「電源だ」


立ち上がる。


一人で、歩き出す。


森は静かすぎた。


虫の音もない。


風もない。


ただ、自分の足音だけ。


ザッ……ザッ……


ケーブルは、曲がらない。


迷わない。


人間の“意思”で引かれた線。


やがて。


木々が途切れる。


ぽっかりと開けた空間。


そこに建物。


コンクリート。


錆びた鉄扉。


そして。


ブゥゥゥゥゥン……


低く唸る音。


直人の目が細くなる。


「……動いてる」


廃墟じゃない。

電源は生きている。


ゆっくり近づく。

扉に手をかける。


冷たい。


だが、わずかに震えている。


「発電機……あるはずだ」


押す。


ギィィ……


重い音。


扉が開く。


中は、暗い。


だが完全な闇ではない。


壁に走るケーブル。

等間隔のランプ。

淡い光。


そして――


ゴウン……ゴウン……


巨大な何かが回っている。


直人は一歩、足を踏み入れる。


油の匂い。


鉄の冷たさ。


コンクリートの床。


「……完全に人工物」


確信。


この島は


「作られてる」


歩く。


奥へ。


その途中。


足元に何かが転がる。


片手ノコギリ。


錆びているが、刃は生きている。


さらに。


ロープ太く、強い。


白い布。

分厚い、防水加工。


「……帆になる」


直人の思考が跳ねる。


・木材 → 森

・切断 → ノコギリ

・固定 → ロープ

・推進 → 布


持ち運べる小型の発電機


「作れる」


小さく呟く。


「帆船……いける」


しゃがみ込む。


床に指で線を引く。


設計図。

浮力固定。

風力。


「全部ある」


その時。


ゴウン……


音が、変わる。


一瞬。


“脈打つ”ように。


直人が顔を上げる。


発電機を見る。


巨大な装置。

回転している。


だが。

規則的すぎる。

いや違う。


規則的に“揺れている”。


ドクン。


ドクン。


「……鼓動?」


冗談のはずだった。



壁を見る。

ケーブル。

その一部が、わずかに“脈打っている”。


まるで血管。


「……」


沈黙。


理解は、している。


だが切り捨てる。


「関係ない」


即断。


「使えるかどうかだ」


さらに奥へ。

小さな部屋。


机。

倒れた椅子。


そして紙。


束になったメモ。


直人は拾う。

汚れている。

だが読める。


英語。


震えた文字。


【記録ログ】


・出力安定

・塔への供給継続

・夜間に出力変動あり


その下。


別の筆跡。


荒い。


焦っている。


「The Tower is not a receiver.」


(塔は“受信機”ではない)


「It’s responding.」


(反応している)


直人の目が止まる。


さらに下。


血で滲んだ文字。


「We are not controlling it.」


(私たちは制御していない)


「It’s controlling us.」


(“あれ”が我々を制御している)


沈黙。


空気が重くなる。


ページの最後。


震える手で書かれた一文。


「DO NOT CONNECT YOURSELF」


(接続するな)


直人は無言で紙をめくる。


最後のページ。


ほとんど読めない。


だが、一部だけ。


「Seal is failing.」


(封印が崩れている)


「The island is—」


(この島は――)


そこで途切れている。


血が広がっている。

その先は、ない。

直人はゆっくり立ち上がる。


周囲を見る。

誰もいない。

死体もない。


だが“ここで何かが起きた”確信する。


静かに呟く。


「……人間が作った」


塔。

発電所。


すべて。


「でも……制御できてない」


視線を上げる。


天井。


その先にある塔を思う。


「なら関係ない」


即断。


「使えるなら使う」


ノコギリを拾う。

ロープを肩にかける。

布を持つ。


「脱出用の材料は揃った」


外へ向かう。


一歩。

踏み出す。

「作る」


「発電機の電気で海を封じる」


「この島を脱出する」


すべてが繋がる。


その時。


ゴウン……ゴウン……


発電機が、低く唸る。


わずかに。

リズムが変わる。


まるで直人の思考に“応答する”かのように。


外に出る。

森。

その先に、海。


そして塔の光は変わらない。


だが、ほんのわずかに。

脈打った。

直人は言い切る。


「……攻略できる」


恐怖はない、あるのは確信。

だがこの時、まだ知らない。


廃村の壁画と、この記録が。

同じ“答え”を指していることを。


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