第3話 レベッカ・レイチェル編、平原の違和感
※彼らは英語で会話している(日本語表記)
悪魔の島の朝。
焚き火は、まだ燻っている。
夜を越えた。
誰も襲われなかった。
それが“確信”に変わる。
エヴァ
「やはり正しかったわね」
ソフィア
「安全性は高い」
レイチェルは淡々と記録する。
「夜間、捕食者の接近なし」
レベッカは、わずかに笑う。
「この環境、興味深いわ」
だが、違和感は、すぐに現れる。
少し離れた地点。
草が――
異様に、潰れている。
それも広範囲に。
まるで、何か巨大なものが
何度も通ったように。
レイチェルがしゃがみ込む。
「……踏圧が異常」
手で地面を触る。
固い。
押し固められている。
さらに。
その先。
草が倒れている。
一直線に。
遠くまで。
ソフィアが不安げに言う。
「……これ」
レイチェル
「通り道?」
レベッカは、迷いなく答える。
「ええ」
少し考え。
そして、言い切る。
「大型草食動物の移動ルートね」
エヴァが腕を組む。
「つまり?」
レベッカ
「水場に来るルート」
「危険ではないわ」
ソフィアが眉をひそめる。
「でも……量が多すぎる」
レイチェルも補足する。
「単体じゃない」
「群れ」
レベッカは頷く。
「むしろ好都合よ」
全員が彼女を見る。
「水と食料が同時に確保できる」
沈黙。
エヴァが静かに言う。
「……効率的ね」
レイチェルも頷く。
「狩猟対象になる」
ソフィアだけが、少しだけ視線を落とす。
「……本当に草食?」
レベッカは即答する。
「痕跡がそう示している」
その言葉に、論理はあった。
データもあった。
だから疑わない。
だが
その“道”は。
ただの獣道ではない。
踏み荒らされた地面。
深く刻まれた跡。
えぐれた土。
それは“逃げ場のない通路”だった。
風が吹く。
草が揺れる。
その奥で。
ズン……
ズン……
かすかに。
地面が震える。
まだ遠い。
だが確実に“何か”が通る。
レベッカは、それを知らない。
彼女たちはまだ、信じている。
「理解できれば、生き残れる」
だが、この悪魔の島で最も危険なのは
“理解したつもりになること”だった。




