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悪魔の島 ―選ばれし20人、生存率0%  作者: 虫松
マルコ編

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第2話 マルコ編、違和感

※彼らはスペイン語で会話している。


悪魔の島の森。

湿った土の匂い。


重い空気。


ハンナが足を止める。


手を上げる。


「止まって」


全員が静止。


地面。


深く抉られた跡。

木の根が剥き出しになっている。


ハンナが低く言う。


「……イノシシ」


ただの動物じゃない。


土を“掘る”んじゃない。抉り取ってる。


マルコが前に出る。


「包囲する」


左右に分かれる指示。


距離。

位置。

角度。


全員が動く。

命令通りに。


だが風が変わる。


ハンナの目が動く。


「……待って」


マルコは止めない。


その瞬間。


バキィィィッ!!!


木が、折れる。


次の瞬間。


黒い塊が飛び出す。


速い。

重い。

低い。


地面が揺れる。


ドドドドドドドッ!!!


突進。


ただ走っているんじゃない。


まるで“弾丸”だ。


ハンナが叫ぶ。


「散って!!」


マルコの声が重なる。


「動くな!」


一瞬の迷い。


それが、致命的だった。


リディアが固まる。


判断が、遅れる。


その瞬間。


ドンッ!!!


衝突。


鈍い音。


骨に響く衝撃。


リディアの身体が宙に浮く。


回転。

叩きつけ。


ドサッ!!


息が、止まる。


「……っ……!!」


声にならない。


イノシシは止まらない。

そのまま突き抜ける。


木にぶつかる。


バキィィッ!!


幹が軋む。

それだけの質量と速度。


自然は、容赦がない。


静寂。


ハンナが駆け寄る。


「リディア!!」


倒れている。


呼吸が浅い。


腕が不自然に曲がっている。


「骨折……いや、それだけじゃない」


マリアが震える声で言う。


「今の……何よ……」


マルコが立っている。


動かない。


「命令を守れ」


ハンナが振り返る。


怒り。


「無理よ!!」

「風が変わったの!」


「位置もズレた!」

「止まってたら全員やられてた!」


マルコは一歩も引かない。


「動いたから崩れた」


マリアが叫ぶ。


「違うでしょ!!」


「人間よ!機械じゃない!!」


カタリナが冷静に言う。


「問題はそこじゃない」


「判断が統一されてなかった」


「それが原因よ」


ハンナが睨む。


「現場を無視した結果よ」


リディアが、かすかに目を開く。


痛みで呼吸が乱れる。


それでも、言う。


「……This is psychological collapse…」


(……これは精神崩壊よ……)


誰も、返せない。


リディアは続ける。


「命令と現実がズレてる……」


「だから……動けない……」


「……壊れる……」


沈黙。


マルコが低く言う。


「弱いだけだ」


その言葉。


空気が、変わる。


信頼が、揺れる。


その時。


ガサ……


全員が振り向く。


森の奥。

イノシシ。

立っている。


こちらを見ている。


逃げない。

観察している。

まるで“次はどう動く?”と試すように。


誰も動けない。

さっきの衝撃が、体に残っている。


恐怖。

迷い。

疑い。


全てが混ざる。


マルコが呟く。


「次は仕留める」


だが誰も、すぐには動かなかった。

その“判断の遅れ”。

それこそが崩壊の始まりだった。

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