検察側証人、村島佳代
「あの2人は共謀してるわよ。」
村島証人はそう語った。
「2人が犯行計画を語ってるのを見たんですね。」
「ええ、見ました。」
「嘘よ、嘘言わないで!」
傍聴席に座っていた、木暮真奈が声を上げた。
「傍聴人は静粛にしてください。」
「だって、嘘なんです。」
「退廷を命じますよ。」
「私と先輩はそんな事してません。」
「退廷を命じます。」
女性の廷吏に連れられて、木暮真奈は法廷を後にした。
「私ね、怪しいと思ってたのよ。あれ、もしかしたら木暮さんが主犯かもね。」
「なるほど、それほど怪しかった訳ですね。」
「2人だけで、いつもこそこそしてたの。私が行くと、すぐに会話やめちゃうのよ。怪しくな〜い?」
「怪しいですね。具体的な計画も見ましたか?」
「ピーナッツパンを食べさせる練習してたわよ。2人で、公園でピーナッツパン食べてたんだけど、わざわざピーナッツパンにピーナッツクリーム塗ってたのよ。木暮さん、こうぎゅーってクリーム搾ってたわ。あれは恨みがある人間の搾り方ね。」
「それは、いつごろですか。」
「あれは……事件の3日前じゃないかしら?」
「以上です。」
検察官は、静かに椅子を引いて座った。
「弁護人は反対尋問をはじめてください。」
中野弁護士が立ち上がる。
「村島さん、あなたは2人が話している場に行った際に、2人が黙ったとおっしゃいましたね。」
「そうよ、だから、あの2人は秘密の話してたのよ。」
「ただ、あなたが嫌われてただけでは?」
「嫌われてないわよぉ〜失礼しちゃうわねぇ。」
「あの2人から、直接的な犯行計画をお聞きになったことは?」
「ありますわよ。」
「どのような内容でしたか。」
「え、えっと、と、とにかく聞きました。だいたい犯行の練習してたのよ。ピーナッツクリームぎゅーって搾ってたんだから。」
「それは、ただピーナッツクリームを塗ってただけですよね。」
「あれは恨みがある人間の搾り方でした。」
「なら、なぜ一審でその事を証言しなかったのですか。」
「え、えっと、き、聞かれなかったからよ。」
「今回は聞かれた?」
「そうよ。」
「つまり、あなたは思いこんだ訳ですね。」
「違うわよ、思いだしただけ。」
「あなた、過去に誹謗中傷で訴えられていますね。」
「異議を申します。証人の名誉を不当に傷つけています。」
「これは、証人の信頼性を揺るがす大事な事です。」
裁判長は、陪席裁判官の意見を確認する。
「異議を却下します。弁護人は尋問を続けてください。」
「では、あらためて村島証人。あなた、過去に誹謗中傷で訴えられていますね。」
「知らないわよ。」
「記録にあります。」
「黙秘します。」
「あなた、ある事ない事思い込む癖がありますね?」
「黙秘します。」
「判決文によると、見間違いでは済まされない思い込みをされたそうですね。」
「黙秘します。」
「あなたの証言は、どこまでが、本当なんですか?」
「うるさいわね!黙秘します!黙秘権の侵害よ!訴えてやる!覚悟しなさいよ!」
「以上です。」
「ちょっと!逃げる気!」
「証人は速やかに退廷してください。」
「何よ!偉そうに!黙秘権を侵害されてるのよ、あいつ捕まえなさいよ!」
「証人に退廷を命じます。」
村島は、女性の廷吏に両側から取り押さえられ、喚き散らしながら法廷を後にした。




