表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
変態おじさんと不良銃騎士と白い少年  作者: 鈴田在可
第四章 不良銃騎士と白い少年

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

49/52

48 三つの願い

『――――そうだな、一つとは言わず三つでどうだ? 俺の魔法を使ってお前の願いを叶えてやろう』


 ハロルドは魔法による防音措置の施された支隊本部の一室にて、魔法使いであるアーク・ブラッドレイ二番隊長と一対一で話をしていた。


『ただし、ここからは銃騎士隊の任務の範囲外になる。見返りなしでは俺も魔法は使いたくない。条件がある。


 ―――――――――…………。だが、たいていの願いなら叶えることができる。


 例えば――――――エリック・ホワイトの居場所を教えてやろうか?』


『生きて、いるんですか……?』


『その情報も含めてだ。知りたければ条件を呑め』






『……わかりました…………』
















 ハロルドは昨日アーク二番隊長と話をした場面を夢の中で見ていた。


 その光景を頭の中に残したまま翌朝目覚めると、なぜかフランツの寝顔どアップが目の前にあった。


 昨夜は、ショーンは個別でそれぞれと話をした後に、ゼウスの警護に戻って行った。部屋と続きの扉は両側から施錠されて、別々で寝るはずだったのに、朝起きたらハロルドはフランツに抱きしめられて寝ていた。


「支隊長…… なんで……」


 思わず声をかけると、フランツが目を覚ました。


「あんな扉は俺たちの間には不要だ」


 見れば、扉は開けっ放しになっていて、鍵の部分が取れて破壊されていた。


 フランツは夜中のうちに鍵を壊して、ハロルドの部屋に侵入し、寝台に潜り込んでいたようだ。


「ハロルド、昨日は悪かった。愛してる。俺と付き合ってくれ」


 おそらく、フランツも昨日ショーンと話をして、まずはきちんと恋人同士になろうと思ったらしく、目覚めて即、朝一で告白してきた。


「ハロルド?」


 けれど、ハロルドが戸惑った顔のまま黙っているので、フランツは不安そうにこちらを見返してきた。


「俺も、支隊長が好きです。


 でも、すみません…… 少しだけ時間をください」


「…………なぜだ?」


 フランツは告白を保留にされて憮然としていた。


 ハロルドは、昨日ショーンとジェフリーのことを話してから、いや、昨日アークと話をした時や、ゼウスと婚約者メリッサの事件が起こった時からずっと、心が晴れずに気持ちが沈んでいるのを感じていた。


 けれど、ジェフリーへの推察も含めてフランツに自分の考えを伝えるのは憚られてしまい、「誰かとお付き合いをするのは初めてで、心の整理が……」と言って、誤魔化してしまった。











 夜になるとフランツとの強制添い寝が待っているのはわかっていたので、ハロルドはショーンに話をして、ゼウスの警護要員の輪の中に入れてもらうことにした。


 昨日は、ハロルドにとってもゼウスとメリッサの事件が衝撃的すぎたので、言われるがまま部屋で休んでいたが、ゼウスを狙う魔法使いシリウスの脅威は続いているので、フランツとのあれやこれやがなくても、稀人であるハロルドは自分の力を使ってゼウスを守ろうと思っていた。


 ハロルドは昨日、アークと話をして、「三つの願い」の二つ目までは叶えてもらっている。


 二つ目の願いで知り得たエリックの現状については、本当に驚きしかなかったが、とにかく、命の危機があるゼウスのことを何とかしなければならないし、エリックのことも、何とかして、ハロルドはそれから憂いなくフランツとお付き合いをしたいと思っている。


 あの時、フランツに✕されそうになった時、ハロルドの心には、ゼウスでも、エリックでもなくて、フランツの存在しかなかった。


 フランツにすべてを明け渡しても構わないと思ったその時に、ハロルドは自分がフランツを愛していることを知った。


 ハロルドは既にフランツを選んでいた。











 ゼウスたちは夜、支隊にある集会室という学校の体育館のような場所でまとまって寝ていた。


 メンバーは支隊の猛者であるショーンと、別の島からちょうど応援に来ていた、支隊最強説もあった副支隊長のカイザーと、その専属副官のリオルだ。


 本当は昨日フランツもこのメンバーに加わる予定だったらしいのだが、「アーク隊長もいるなら大丈夫」とかなんとか言って、ハロルドに突撃するために寮に戻ってきたらしい。


 昨夜は何かあった時のためにアークも別の場所で控えていたが、今夜からハロルドも参加すると聞きつけると、「なら大丈夫だ」と言って、「何かあったらすぐに呼べ」とだけ言い残し、既に南西列島から離れている。


 ハロルドも含めた四人でゼウスの守りを固めるはずが、ハロルドが警護にも参加すると知ったフランツが「俺も参加する」と言い出したので、結局夜の集会室では、ゼウスの寝袋の周囲に五つの寝袋が用意されることになった。







「三つの願い」については「その結婚…」の「128 襲来」の真ん中あたりにも書いてあります。台詞の重複あり。

https://ncode.syosetu.com/n5840ho/131


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
《転章直前と転章以降の時間軸の、本作品以外のシリーズ別作品に書いたハロルド周辺の話のまとめ》
※【 】の中はその時のフランツの状態やフランツとの関係性など

・シリーズにハロルド初登場とハロルド家族(父、四姉、五姉、六姉)が出てくる話【フランツと出会う前】
「その結婚…」の恋の危機編の「遠距離 2」から「同期と上官 3」あたりまでの約6話

・ハロルドたちが南西列島へ出立する直前の話【フランツと出会う前】
「その結婚…」の恋の危機編の「ハロルドの秘密」と次話「「彼女」との別れ」の2話

・南西列島に着いて以降、ハロルドが戦闘能力高めと仲間にバレていた話【フランツとは単に上司と部下】
「その結婚…」の恋の危機編の「友の実力」と次話「届かない便り」の2話

・南西列島が獣人に襲われたらしいと首都に伝わってる話【フランツにとってこの時にハロルドが特別な存在になる】
「その結婚…」の首都からの撤退前編の「アンバー兄妹 2」の後半部と、次話「銃騎士隊の魔王」の後半部の2話

・ハロルドとフランツの微ラブラブ話【フランツのハロルドへの思いは友情以上恋愛未満】
「その結婚…」の悲恋編の「慣れない距離感」

「その結婚…」の悲恋編の「告白」と、
次々話「ヒーロー(仮)は遅れてやって来る」にもハロルド視点の話あり

・【フランツ、ハロルドの服を乱す→胸を見る→殴られて恋と気付く】
「その結婚…」の悲恋編の「三角関係?」
と、
「その結婚…」の悲恋編の「疑問解消せず」の中頃 に脱がされシュチエーションになるまでの経緯等の説明あり

・フランツ、夜な夜なハロルドの寝袋に侵入する(セクハラ止まり)【フランツ、アタック中】
「その結婚…」の悲恋編の「疑問解消せず」の前半部

・ハロルドがゼウスを守ろうとして危機が去った後に、(以降は本編持ち越し)フランツたぶん襲いながら告白する予定【フランツぶち切れ】
「その結婚…」の悲恋編の「襲来」 と、次話「命を張らせないでよ」の2話


※※※


今作品はシリーズ別作品

完結済「獣人姫は逃げまくる ~箱入りな魔性獣人姫は初恋の人と初彼と幼馴染と義父に手籠めにされかかって逃げたけどそのうちの一人と番になりました~」

の幕間として書いていた話を独立させたものです


ハロルドの思い人であるゼウスの恋模様がわかる別作品

完結済「その結婚お断り ~モテなかったはずなのにイケメンと三角関係になり結婚をお断りしたらやばいヤンデレ爆誕して死にかけた結果幸せになりました~」(注:異性恋愛もの)

こちらもよろしくお願いします
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ