表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
変態おじさんと不良銃騎士と白い少年  作者: 鈴田在可
間章

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

37/52

36 線引き

 フランツの入校辞退届けは伯爵家の使用人によって確実に銃騎士隊本部に提出されたはずなのに、後日、なぜか受理されていないままの届けを持った一番隊長ジョージが、部下を引き連れてクラッセン伯爵家を訪れた。


 父親は隊服姿の銃騎士隊員がぞろそろと屋敷に入ってくるのを見て、明らかにビビっていた。


「いくら銃騎士隊の隊長とはいえ、向こうは新興伯爵家だ! こっちは歴史あるクラッセン伯爵家だぞ! 何を言われようとも、フランは絶対に渡さない!」 


 一番隊長ジョージは銃騎士隊での活躍が認められて平民から貴族になり、現在は伯爵家の当主もしている。


 父は自らを奮い立たせるようにそう言い放ち、フランツに自室待機を命じると、鼻息荒く応接間に向かって行ったが――


 自室では、カイザーの代わりが決まるまでのフランツ付きの役目を引き受けた侍従長が、「お茶でも淹れましょう」と言うので、フランツはソファに座っていた。


 フランツは侍従長の手付きを見ながら、カイザーが淹れてくれたお茶がまた飲みたいと思った。


 フランツがちょうどカップに口を付けようとした所で、「旦那様がフランツ様に応接間に来るようにとお呼びです」と、それほど時間が経っていないにも関わらず呼び出されたので、フランツは首を捻った。


 フランツは侍従長のお茶を一口頂いてから部屋に向かった。


 応接間では父とジョージがにこやかな雰囲気で話していた。


「ラドセンド卿、こちらが息子のフランツです。顔良し・技能良し・顔良し、な自慢の息子です。どうぞどうぞ一番隊でよしなに」


 先ほどは「渡さん!」と息巻いていたはずだが、「あっはっはっは」と上機嫌に笑っている父は、あっさりとフランツを一番隊長に差し出した。


 何だこの変わり身の早さは、とフランツは訝しんだが、要するに、「養成学校卒業後は獣人との直接の戦闘があまり発生しない一番隊に配属させるので、どうかこのままご子息を入校させてほしい」と、一番隊長が父に頼み込んだらしい。


 家格が同じとはいえ勢いでは負けている家の当主から頭を下げられたので、父も悪い気はしなかったようだ。


 その上、貴族で銃騎士になると出世も早く名声を得やすいだとか、銃騎士を出すとその生家の評判も爆上がりするとか、良い情報を次々と吹き込まれた結果、父は一番隊長とガッシリと固い握手を交わしていた。


 父の手の平返しに呆れつつも、でもこれでカイザーと一緒に養成学校に入校できると、フランツの胸は弾んだ。


 ただし、「どうせ辞めるのだから」と伯爵はカイザーの解雇を撤回しなかったので、そこだけはやっぱり許せなかった。


 フランツの養成学校入校に際して、伯爵は知人や周囲の者たちから褒めそやされることも多く、始終鼻を高くしていたが、フランツは父親との間に既に一本引いていた線を、さらに濃くした。






 入校後は父への悪感情に構っていられないほどの忙しさで、フランツはそれらの気持ちに蓋をして日々の訓練に勤しんだ。


 貴族ならば養成学校に一年在籍しただけで、特定の条件を満たせば正規の銃騎士になれるという特例があったが、フランツはカイザーや学校の仲間たちとの日々があまりにも充実していたので、できるだけこの時間を続けたいと思い、他の多くの者たちと同じように養成学校に二年間在籍することにした。


 そして二年次の時には、とうとう遂に、フランツの婚約者が決まってしまうという一大事が発生した。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
《転章直前と転章以降の時間軸の、本作品以外のシリーズ別作品に書いたハロルド周辺の話のまとめ》
※【 】の中はその時のフランツの状態やフランツとの関係性など

・シリーズにハロルド初登場とハロルド家族(父、四姉、五姉、六姉)が出てくる話【フランツと出会う前】
「その結婚…」の恋の危機編の「遠距離 2」から「同期と上官 3」あたりまでの約6話

・ハロルドたちが南西列島へ出立する直前の話【フランツと出会う前】
「その結婚…」の恋の危機編の「ハロルドの秘密」と次話「「彼女」との別れ」の2話

・南西列島に着いて以降、ハロルドが戦闘能力高めと仲間にバレていた話【フランツとは単に上司と部下】
「その結婚…」の恋の危機編の「友の実力」と次話「届かない便り」の2話

・南西列島が獣人に襲われたらしいと首都に伝わってる話【フランツにとってこの時にハロルドが特別な存在になる】
「その結婚…」の首都からの撤退前編の「アンバー兄妹 2」の後半部と、次話「銃騎士隊の魔王」の後半部の2話

・ハロルドとフランツの微ラブラブ話【フランツのハロルドへの思いは友情以上恋愛未満】
「その結婚…」の悲恋編の「慣れない距離感」

「その結婚…」の悲恋編の「告白」と、
次々話「ヒーロー(仮)は遅れてやって来る」にもハロルド視点の話あり

・【フランツ、ハロルドの服を乱す→胸を見る→殴られて恋と気付く】
「その結婚…」の悲恋編の「三角関係?」
と、
「その結婚…」の悲恋編の「疑問解消せず」の中頃 に脱がされシュチエーションになるまでの経緯等の説明あり

・フランツ、夜な夜なハロルドの寝袋に侵入する(セクハラ止まり)【フランツ、アタック中】
「その結婚…」の悲恋編の「疑問解消せず」の前半部

・ハロルドがゼウスを守ろうとして危機が去った後に、(以降は本編持ち越し)フランツたぶん襲いながら告白する予定【フランツぶち切れ】
「その結婚…」の悲恋編の「襲来」 と、次話「命を張らせないでよ」の2話


※※※


今作品はシリーズ別作品

完結済「獣人姫は逃げまくる ~箱入りな魔性獣人姫は初恋の人と初彼と幼馴染と義父に手籠めにされかかって逃げたけどそのうちの一人と番になりました~」

の幕間として書いていた話を独立させたものです


ハロルドの思い人であるゼウスの恋模様がわかる別作品

完結済「その結婚お断り ~モテなかったはずなのにイケメンと三角関係になり結婚をお断りしたらやばいヤンデレ爆誕して死にかけた結果幸せになりました~」(注:異性恋愛もの)

こちらもよろしくお願いします
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ