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変態おじさんと不良銃騎士と白い少年  作者: 鈴田在可
第三章 不良銃騎士と専属副官

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29 専属副官の部屋

 その夜、ハロルドはゼウスやアランたちに振る舞う昼食用のお弁当の仕込みをしていた。


 最初は「より良い筋肉を育てるために」と言ってショーンが一人で「育筋弁当」を作っていたが、毎日では大変だろうと思い、料理が嫌いではないハロルドはショーンに「育筋弁当」の作り方を教わって、日々の訓練でヘロヘロになっているゼウスたちのために交代でお弁当を作っていた。


 支隊長の専属副官になったハロルドは他の一般隊員たちよりも優遇されていて、台所(キッチン)もお風呂も完備されている寮の一人部屋を当てがわれていた。


 ハロルドの部屋は、支隊長の専属副官用の部屋であり、ハロルドの前任者、故ジェフリー・フロスト専属副官が生前使用していた部屋でもある。


 ジェフリーの殉職後、この部屋は手つかずでそのままにされていたが、ハロルドがいきなり副官に任命されたことで専属副官の部屋を空けねばならぬと、副支隊長カイザーの主導により急遽部屋の片付けが実行された。


 ハロルドが支隊に赴任した日、フランツは支隊長の部屋で夕刻までハロルドに専属副官の仕事を教えていた。


 だからフランツは、ジェフリーの荷物が勝手に部屋の外へ運び出されていたことは知らなかった。


 ジェフリーの部屋をフランツの許可なく片付け始めたことを巡って、フランツとカイザーは言い合いをしていた。


 獣害孤児であったというジェフリーには身寄りがなく、遺品の引き取り先もないらしい。カイザーもすぐに荷物を処分するつもりはなくて、とりあえず支隊の倉庫にでも移動させ、まずはハロルドのための場所を確保しようとしたらしい。


 ハロルドは「片付け魔」だ。ハロルドのための部屋を整えるのだから、自分も片付けに参加した方がいいのかなとも思った。


 しかし、カイザーと口喧嘩しながらも、フランツがずっと苦しそうな顔をしていたから、事情を良く知らない自分がしゃしゃり出てもろくなことにはならない気がして、成り行きを見守るだけにした。


 論争の末、カイザーは渋い顔をしていたが、ジェフリーの荷物の大半がフランツの部屋に運び込まれることで一旦の決着はついた。あとはフランツが少しずつ遺品を整理していくらしい。


 それから、この専属副官の部屋は隣室の支隊長の部屋と扉一枚で繋がっていて、廊下に出ずともお互いの部屋の行き来が可能らしい。


 ハロルドはこれまでの訓練生時代の遠征等では、男用の共同風呂に入るしかなくてとても大変だったので、寮の共同風呂ではなくて、一人でのんびりとお風呂を使える環境はありがたかった。


 専属副官になっていなかったら毎日他の隊員たちと風呂に入っていたかもしれないし、もしかしたらゼウスと同室になるのはアランではなくてハロルドだった可能性もあって、そんな毎日煩悩と戦わねばならないことにはならなくて本当に良かったと思った。


(そうだ、支隊長のお弁当の分も準備しないと)


 支隊の母島勤務の面々は、大抵朝も昼も寮のおばちゃんが提供する食事を食べている。支隊長もたぶんそうだと思うのだが、昼間、仕事の合間に趣味の話になった時に、「チビは料理もするのか?」と仲間の弁当を作っていることを驚かれた。


 話の流れで「俺も食べたい」と言われて、明日は支隊長の分もお昼のお弁当を作ることになっていた。


 フランツはハロルドのことを「チビ」か「おい」としか呼んでこないので、何だか支隊長のペットになったような感じだなぁと思わなくもないが、(あざけ)って呼んでいる雰囲気でもないし、彼にとって自分は身内のような立場なのだろうと何となく察したので、呼び方の訂正は求めずにそのままにしている。


 ハロルドは弁当の仕込みをした後に部屋のお風呂に入った。湯上がりには南国の陽差しに負けないようにと、毎日のお肌パックも欠かさない。


 やるべきことをパパパッと手際よく終わらせたハロルドは寝台に横になると、睡眠不足はお肌の敵とばかりに早々に寝ることにした。


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《転章直前と転章以降の時間軸の、本作品以外のシリーズ別作品に書いたハロルド周辺の話のまとめ》
※【 】の中はその時のフランツの状態やフランツとの関係性など

・シリーズにハロルド初登場とハロルド家族(父、四姉、五姉、六姉)が出てくる話【フランツと出会う前】
「その結婚…」の恋の危機編の「遠距離 2」から「同期と上官 3」あたりまでの約6話

・ハロルドたちが南西列島へ出立する直前の話【フランツと出会う前】
「その結婚…」の恋の危機編の「ハロルドの秘密」と次話「「彼女」との別れ」の2話

・南西列島に着いて以降、ハロルドが戦闘能力高めと仲間にバレていた話【フランツとは単に上司と部下】
「その結婚…」の恋の危機編の「友の実力」と次話「届かない便り」の2話

・南西列島が獣人に襲われたらしいと首都に伝わってる話【フランツにとってこの時にハロルドが特別な存在になる】
「その結婚…」の首都からの撤退前編の「アンバー兄妹 2」の後半部と、次話「銃騎士隊の魔王」の後半部の2話

・ハロルドとフランツの微ラブラブ話【フランツのハロルドへの思いは友情以上恋愛未満】
「その結婚…」の悲恋編の「慣れない距離感」

「その結婚…」の悲恋編の「告白」と、
次々話「ヒーロー(仮)は遅れてやって来る」にもハロルド視点の話あり

・【フランツ、ハロルドの服を乱す→胸を見る→殴られて恋と気付く】
「その結婚…」の悲恋編の「三角関係?」
と、
「その結婚…」の悲恋編の「疑問解消せず」の中頃 に脱がされシュチエーションになるまでの経緯等の説明あり

・フランツ、夜な夜なハロルドの寝袋に侵入する(セクハラ止まり)【フランツ、アタック中】
「その結婚…」の悲恋編の「疑問解消せず」の前半部

・ハロルドがゼウスを守ろうとして危機が去った後に、(以降は本編持ち越し)フランツたぶん襲いながら告白する予定【フランツぶち切れ】
「その結婚…」の悲恋編の「襲来」 と、次話「命を張らせないでよ」の2話


※※※


今作品はシリーズ別作品

完結済「獣人姫は逃げまくる ~箱入りな魔性獣人姫は初恋の人と初彼と幼馴染と義父に手籠めにされかかって逃げたけどそのうちの一人と番になりました~」

の幕間として書いていた話を独立させたものです


ハロルドの思い人であるゼウスの恋模様がわかる別作品

完結済「その結婚お断り ~モテなかったはずなのにイケメンと三角関係になり結婚をお断りしたらやばいヤンデレ爆誕して死にかけた結果幸せになりました~」(注:異性恋愛もの)

こちらもよろしくお願いします
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