第54話 おばあちゃん、総本部のトップを「株主総会」で解任します
最大級の武力を失い、内部の金主に裏切られたとも知らず、『大陸教会総本部』の最高責任者である枢機卿は、残った二カ国の小国を率いてリトアニア国境へと進軍していた。
「リトアニアの小童め! 大国連合の力を思い知るが良い!」
国境の砦。傲慢に笑う枢機卿の前に立ちはだかったのは、数千の兵ではなく、たった一人、官服の袖をカチリと整えたシルバであった。若き美貌の青年宰相の背後には、アルと、完全にリトアニアのファンになったバレンシア公国のルードヴィヒが控えている。
「枢機卿閣下。ずいぶんと威勢が良いですが、あなたの背後にいる兵隊たちの『給与』、一体どこの財布から出ているかご存知ですか?」
「何だと……!? 我が教会の神聖なる財源に決まっているだろう!」
「いいえ」と、シルバは冷酷に言い放ち、一枚の『大株主名簿』を掲げた。
「あなた方総本部が運営している『教会開発銀行』の株式、および下部組織の資産の実に『五十一パーセント』は、昨日までに我がリトアニア王国、および我が国と業務提携したバレンシア公国、ガルディア帝国によって完全に合法的に買い占められました」
「な……五十一パーセント……!? 買収されたというのか、我が教会が――っ!?」
「ええ。前世でも、組織のトップが私利私欲のために無謀な戦争を始めた途端、大株主たちが激怒して『経営陣の刷新』を求めるのは当然の権利です」
シルバは青年としての怜悧な美貌に最高に冷酷な笑みを浮かべ、宣告するように右手を挙げた。
「本日これをもって、臨時株主総会を開催します。議案は、無謀な軍事行動によって組織の資産を危険に晒した『枢機卿の即時解任』。……過半数の賛成により、可決されました。あなた、本日付で『クビ』ですよ」




