第51話 ハゲタカ連合(大陸包囲網)からの宣戦布告
『大陸教会総本部』を中心に、西の軍事大国『ガルディア帝国』を含む周辺五カ国が結成した「リトアニア分割統治(敵対的M&A)連合」。彼らが突きつけてきた要求は、リトアニア王国の全財産と温泉利権を没収し、国土を六つに解体するという、あまりにも理不尽な「国家乗っ取り」の通告であった。
王宮の特別作戦室。
緊迫した空気が張り詰める中、十歳のレオン王は小さな拳を握りしめ、不安そうにシルバを見上げていた。
「シルバ……ぼくたちの国、バラバラにされちゃうの? ぼく、みんなと離れるの嫌だよ……」
ご安心ください、レオン様。前世でもね、自社の技術力や資金力で勝てないからと、数の暴力(資本の論理)で新興の優良企業を丸呑みにしようとする、みっともない大企業連合はたくさんありましたわ!
シルバはレオンの前に膝をつくと、その小さな手を両手で優しく包み込んだ。おばあちゃんとしての温かい眼差しが、幼き王の恐怖を瞬時に溶かしていく。
ですが、そういう急造の連合ほど、内情は一枚岩ではないもの(利害の不一致)。……アルさん、各国の『財務諸表』と、彼らが裏で結んでいる『密約のリークデータ』は揃っていますね?
背後に控える秘書官のアルが、徹夜で揃えた分厚い黒革のファイルをドン、と机に置いた。その目は、かつての気弱な役人のものではなく、シルバの元で鍛え上げられた一流の財務補佐官の鋭い光を放っている。
「はい、シルバ様! 連合を組んでいる五カ国のうち、三カ国は深刻な『財政赤字』に陥っており、今回の買収による掠奪でしか首が回らない状態です。逆にガルディア帝国は、単に教会の権威に付き合わされているだけで、本音では不参加を望んでいます!」
「ふふふ、見事なデータ分析です、アルさん」
シルバはエレガントに立ち上がり、官服の袖をカチリとまくり上げた。
「敵の足並みが乱れている瞬間こそ、こちらの『経営戦略』を叩き込む最大の好機。まずは、一番お金に困っている国から、順番に『個別撃破』といきましょうか」




