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敏腕秘書歴50年のおばあちゃん、弱小国の宰相に転生する 〜孫のような幼王様を泣かせる悪臣は、容赦なく書類の山に沈めます〜  作者: ペクチン21時


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第4話 孫(王様)に手作りのおやつを振る舞います

「……あ、あの、シルバ様。ボルドー侯爵、本当にあのまま連行されて行っちゃいましたが……」

秘書官のアルが、未だに信じられないといった様子で、ガタガタと震えながら尋ねてきた。

財務大臣という国家の重鎮を、たった数分の「笑顔の書類チェック」だけで、一言の反論も許さずに完全論破し、近衛兵に引き渡してしまったのだ。宮廷内に激震が走ったのは言うまでもない。

「良いのですよ、アルさん。うみは早めに出しておかないと、組織全体が腐ってしまいますからね。さあ、それよりも大変ですわ」

シルバは、パッと表情を切り替えた。

「大変、ですか!? まだ何か別の陰謀が!?」

身構えるアルに対し、シルバはエプロンを叩きながら、真剣な顔で言った。

「ええ。もうすぐおやつの時間でしょう? レオン王様が、お腹を空かせて待っていらっしゃるわ」

「え……おやつ、ですか……?」

「そうよ。子供にとって、三時のおやつは一日のうちで最も重要な『ライフライン』です。あんな可愛い盛りの男の子に、ひもじい思いをさせるなんて、おばあちゃんが許しません」

シルバは、宮廷の厨房へと向かった。

本来、宰修が自ら料理をするなど前代未聞だが、今の宮廷料理人たちは悪徳貴族たちに買収されており、レオン王にはわざと冷え切った、栄養のない残り物のような食事ばかりを出していたことを、シルバは記憶から突き止めていた。

「まったく、子供の食事をケチるなんて、どこのブラック企業かしら」

シルバは厨房へ乗り込むと、料理人たちをその圧倒的な「主婦歴・秘書歴」のオーラで威圧し、大人しく隅に座らせた。

そして、厨房に残っていた小麦粉、蜂蜜、そして異世界の果物を使い、前世でひ孫によく作ってあげていた『特製のもちもちパンケーキ〜果実のハニーソース添え〜』を手際よく焼き上げた。

温かい湯気と、甘く香ばしい香りが厨房いっぱいに広がる。

王城の奥深く、薄暗い図書室で、十歳の幼き王・レオンは、小さな身体を縮めて古い本をめくっていた。

「うう……お腹すいたなぁ……。でも、シルバはいつも怒っていて怖いし、ご飯をちょうだいって言ったら、また『王としての自覚を持ってください!』って怒られちゃうかな……」

レオンは、いつも自分に厳しく接してくるシルバを恐れていた。先代の父王が亡くなってから、城の中には味方が一人もいないように感じていたのだ。

その時、図書室の重厚な扉が、静かに開いた。

「レオン様。失礼いたしますよ」

「ひゃっ!? シ、シルバ……!」

レオンは飛び上がって怯えた。いつも通り、冷徹な瞳で自分を叱責しにきたのだと思ったのだ。

しかし、入ってきたシルバの両手には、見たこともないような、おだやかで美味しそうな湯気を立てるお皿が握られていた。

「お勉強、よく頑張っていらっしゃいましたね。偉いですよ、レオン様。さあ、おばあちゃん特製のおやつを持ってきましたから、一緒に食べましょうね」

「え……? おばあ……ちゃん……?」

レオンは、シルバのあまりにも『ぽかぽかとした、お日様のような微笑み』に、完全に毒気を抜かれてしまった。

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