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敏腕秘書歴50年のおばあちゃん、弱小国の宰相に転生する 〜孫のような幼王様を泣かせる悪臣は、容赦なく書類の山に沈めます〜  作者: ペクチン21時


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第36話 業界最大手(本社)からの査察部隊

リトアニア王国が温泉ビジネスによる「インバウンド効果」で未曾有の好景気に沸く中、王都の城門をくぐる一団があった。

大陸全土の信仰と利権を牛耳る『大陸教会総本部』の特級監査官、ヴァルター卿が率いる聖堂騎士団である。彼らは純白の鎧に身を包み、周囲の市民を威圧するように冷酷な足取りで王宮へと進軍してきた。

「リトアニアの若き宰相、シルバ殿。お初にお目にかかる」

謁見の間でシルバと対峙したヴァルターは、挨拶もそこそこに、懐から金色に輝く『聖堂査察令状』を突きつけた。

「我が総本部は、貴国がルミナス教区の免税特権を不当に剥奪し、神聖なる神殿の財産を没収して『温泉』なる世俗の娯楽に流用した罪を重く見ている。これは明確な神聖法違反、ひいては信仰への反逆である」

ヴァルターの背後に控える聖堂騎士たちが、一斉に剣の柄に手をかけた。謁見の間に、かつてない重苦しいプレッシャーが広がる。秘書官のアルは、その威圧感に歯をガタガタと震わせていた。

しかし、レオン王の前に毅然と立ちはだかるシルバは、眉一つ動かさなかった。それどころか、官服の袖をエレガントに整えながら、ふっと端正な唇の端を吊り上げた。

「神聖法違反、ですか。業界最大手の総本部から直々の査察とは、ずいぶんと大層なご苦労様です。……ですが、ヴァルター監査官。前世でもね、地方支社の不正が発覚した途端、本社の幹部が『トカゲの尻尾切り』と『証拠隠滅』のために大慌てで乗り込んでくるケースはよくありましたよ」

「……何だと? 戯言を」

「戯言かどうか、今からご覧に入れましょう」

シルバは氷の瞳を冷酷にきらめかせ、アルに合図を送った。

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