表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
敏腕秘書歴50年のおばあちゃん、弱小国の宰相に転生する 〜孫のような幼王様を泣かせる悪臣は、容赦なく書類の山に沈めます〜  作者: ペクチン21時


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
27/50

第27話 おばあちゃん、契約書の「特約事項」を見逃しません

「本日中に金貨五万枚、ですか。それはそれは、ずいぶんと急なご請求ですね」

シルバは慌てる風でもなく、フッと端正な唇の端を吊り上げた。その氷の瞳は、キリアンの背後に並ぶ書類の山を、すでに冷徹にスキャンしている。

「ふん、返せないのだろう? ならば話は早い。ただちに領土割譲の書類にサインを――」

「キリアン特使。前世でもね、自社の規模をカサにきて、無理な納期や理不尽な違約金を突きつけてくる悪質な取引先はたくさんありました。ですが、そういう急な督促を行う組織ほど、社内の書類管理がズサンなものですよ」

「……何だと?」

シルバは、秘書官のアルがあらかじめ用意していた、セピア色に黄ばんだ一枚の羊皮紙を取り出した。それこそが、三十年前に両国間で交わされた『第一次通商融資契約書』の原本である。

「お言葉ですが、こちらの契約書第十二条、第三項の『特約事項』を読み上げさせていただきますね。――『天災、地変、または宮廷内の重大な政変の際、債務の履行は最大百八十日間の猶予期間を設けることができる』とあります」

シルバはトントン、と長い指先で契約書を叩いた。

「リトアニア王国は先週、前財務大臣ボルドーによる国家反逆未遂という『重大な政変』が起きたばかりです。つまり、我が国には法的に、今日から数えて百八十日間の支払猶予権が認められています。本日中の即時返済など、契約書上、一ミリも応じる義務はありません」

「なっ……! そんな古い特約など、すでに形骸化している!」

キリアンは顔をしかめた。まさか、三十年も前の契約書の細かい文字を、相手の宰相が完璧に把握しているとは思わなかったのだ。

「契約は契約です。形骸化という言葉でコンプライアンスを無視されるなら、我が国はこれまでの帝国とのすべての取引内容を国際社会に公開し、監査を依頼する用意がありますが……いかがいたしますか?」

シルバの冷酷な正論に、キリアンは早くも額に汗を浮かべ始めた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ