第24話 おばあちゃん、孫(王様)に最高の成果(ほうれんそう)を
「シルバ! おかえりなさい!」
王宮の執務室に戻るや否や、小さな影がシルバの腰へと飛び込んできた。十歳のレオン王である。
シルバは驚きながらも、その小さな身体をしっかりと、そして壊れ物を扱うかのように優しく抱き止めた。
「レオン様、ただいま戻りました。お留守番、寂しくはありませんでしたか?」
「うん! アルから聞いたよ、悪い司教たちをみんな、書類の山に沈めてやっつけたんだってね! シルバ、すごいや!」
レオンは満面の笑みで、シルバの顔を見上げた。その瞳には、かつてあった「恐怖」の色は完全に消え去り、絶対的な信頼と憧れが宿っている。
シルバはふっと目元を和らげ、レオンの頭を愛おしそうに撫でた。
「ええ。レオン様を泣かせようとする悪いネズミ(悪臣)たちは、これで宮廷内からは一人残らずお掃除いたしました。明日からは、新しい、クリーンでホワイトなリトアニア王国が始まります。予算もたっぷり確保しましたから、これからは美味しいものも、着たいお洋服も、何でも我慢しなくて良いのですよ」
「わあ……! ありがとう、シルバ! ぼく、シルバが大好き!」
ギューッと抱きついてくるレオン。その温もりを感じながら、シルバの内面は、深い満足感に包まれていた。
真面目すぎて過労死してしまった元のシルバの魂も、きっとこれで浮かばれているだろう。
「さて、アルさん」
レオンを抱っこしたまま、シルバは背後に控える秘書官に視線を向けた。
「はい、シルバ様!」
「明日からの『新体制移行プラン』の書類、夜までに用意しておいてちょうだいね。定時退職……ではなく、定時退勤を目指して、効率よく片付けましょう」
「はいっ! お任せください!」
アルは目の下のクマを完全に消し去り、頼もしい一流の秘書官の顔で、深く一礼した。




