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敏腕秘書歴50年のおばあちゃん、弱小国の宰相に転生する 〜孫のような幼王様を泣かせる悪臣は、容赦なく書類の山に沈めます〜  作者: ペクチン21時


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第18話 王都封鎖? おばあちゃん、流通の「バグ」を突きます

宮廷の業務効率化が驚異的なスピードで進む中、マクシミリアン司教による第二の矢が放たれた。

神殿と結託した下級貴族や悪徳商会たちが、王都へと続く主要な街道の検問所を実質的に封鎖し、食料や物資の流通をストップさせたのだ。

「シルバ様、大変です! 王都の市場から、小麦や肉などの生鮮食品が急激に姿を消しています! 商人たちが口を揃えて、神殿の許可が下りないため物資を搬入できないと言っているそうです。このままでは、市民の間で暴動が起きてしまいます!」

アルがまたしても血相を変えて報告にやってきた。

ストライキが通用しなかったマクシミリアン司教が、今度は「市民の飢え」を人質にとって、シルバに圧力をかけてきたのだ。

しかし、シルバはデスクで優雅に紅茶をすすりながら、ふっと端正な唇の端を吊り上げた。

「市民を飢えさせて政権を揺るがす……。前世でも、流通ルートを独占して価格を吊り上げたり、不当な囲い込みを行う悪質な談合がありました。ですが、そういう独占企業ほど、構造的な『抜け穴』が多いのですよ」

シルバは立ち上がり、壁に掛けられた王都の周辺地図を指差した。

「マクシミリアン司教たちが押さえているのは、陸路の『東街道』と『西街道』ですね。彼らは、ここを通る商業ギルドに免税の特権を与える代わりに、流通をコントロールしている。……では、アルさん。この王都の南側を流れる『レナ川』の水運ルートは、今どうなっていますか?」

「え? レナ川、ですか? あそこは流れが急で、岩場も多いため、大型の商船は通れません。そのため、現在はほとんど使われていない死んだルートですが……」

「大型の船が通れないなら、小型の船を何十隻も並べて、ピストン輸送をすれば良いだけの話です。水運の権利は、神殿ではなく王室の直轄のはずですよね?」

シルバは、鋭い眼光をアルに向けた。

「さらに言えば、先日我が配下となったバルカ伯爵の騎士団がいます。彼らの軍用輸送舟ボートをすべて徴用し、川を使って一気に食料を王都へ運び込ませなさい。軍の演習トレーニングという名目にすれば、神殿側も文句は言えません」

「なるほど……! 軍の物資輸送能力を、民間の流通に転用するのですね!」

「それだけではありません。アルさん、ギルドの商人たちに『王室直轄の水運ルートを使うなら、神殿の許可証なしで、関税を通常の半額にする』と触れ出しなさい。商人という生き物はね、神への信仰よりも、目の前の『利益』に動かされるものですよ」

シルバは不敵に笑い、黒革の手帖を閉じた。神殿が仕掛けた流通封鎖は、シルバの「物流コンサルタント」顔負けの奇策によって、一瞬にして無力化されようとしていた。

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