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敏腕秘書歴50年のおばあちゃん、弱小国の宰相に転生する 〜孫のような幼王様を泣かせる悪臣は、容赦なく書類の山に沈めます〜  作者: ペクチン21時


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第15話 おばあちゃん、ストライキを予期します

その頃、王都の巨大な大聖堂の一室では、豪華な法衣をまとった初老の男――マクシミリアン司教が、怒りに震えていた。

「ボルドーが捕まり、バルカまでが若造に屈しただと……!? 馬鹿な! あの小鼻の利かないシルバに、そこまでの実務能力があるはずがない!」

彼の周りには、利権を奪われることを恐れた悪徳貴族の生き残りたちが、群れるように集まっていた。

「司教閣下! このままでは我らの商業利権も、神殿への寄進のルートも、あの若造にすべて暴かれてしまいます!」

「あやつは『ホワイト改革』などと称して、我らの既得権益を完全に潰す気です!」

貴族たちの訴えに、マクシミリアン司教は卑劣な目を細めた。

「ふん……書類仕事が少しできるからと、調子に乗りおって。ならば、こちらにも考えがある。我ら神殿の権威と、下級貴族たちのネットワークを舐めるなよ」

司教は不敵に笑い、周囲の貴族たちに命令を下した。

「宮廷の実務を支える下級役人のうち、我が教区の息がかかった者たちを全員、明日から『ボイコット』させろ。さらに、王都への食料の流通流通ルートを一時的に封鎖する。国政を完全に麻痺させてやるのだ。実務が完全に滞れば、無能な若造宰相など、泣きついて許しを乞うてくるに決まっている!」

「おお……! さすがは司教閣下!」

貴族たちは歓声を上げた。国を人質に取った、大規模な嫌がらせの計画である。

――しかし、彼らは知らなかった。

その大聖堂の床を、せっせと雑巾で拭いていた年配のシスター(宮廷お掃除おばさんネットワーク・神殿支部)が、その計画をすべて、懐のメモ帳に書き留めていたことを。

数時間後、宰相執務室。

「――というわけで、明日から彼らはストライキを敢行し、宮廷を機能不全に追い込む気のようです、シルバ様」

秘書官のアルが、ネットワークからの報告書を読み上げ、顔を真っ白にして震えていた。

「宮廷が麻痺したら、我が国は本当に終わりです……! どうしましょう、シルバ様!?」

だが、デスクに向かうシルバは、パニックになるどころか、むしろ待ち望んでいたと言わんばかりの、最高に美しく、そして最高に不敵な笑みを浮かべた。

「あらあら、まあまあ。ストライキ(業務ボイコット)ですか。……ちょうどいいわ、大掃除リストラの手間が省けましたね」

シルバはエレガントに、かつ機能的に、官服の袖をさらに上へとまくり上げる。

「アルさん、焦ることはありません。前世でね、理不尽な労働組合のストライキや、敵対企業のボイコットなんて、何度も経験してきましたわ。明日から来ないという役人たちのリストを作りなさい。全員、その場で一発解雇リストラです。……さあ、無駄な人員を削減して、我が宮廷の『業務効率化(DX)』を一気に進めましょうか!」

鉄血の仮面の下で、最強のおばあちゃん秘書の「組織改革スイッチ」が、完全に、そして苛烈に火を吹いたのだった。

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