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グランサンクチュア〜地底天空都市の伝説〜  作者: 大森六
第三章 ガイアの大地

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第98話 謎のダンジョン 05

 朝を迎えてノアとイフリートはパーティーメンバーに今後のダンジョン踏破に関して説明する。みるみるうちにエミラの表情が青ざめていくのがわかるほどのインパクトだった。


「ちょっと待って! 昨日経験した以上の密度と数量でもっと強い魔物が襲ってくるですって? 嘘でしょ?」


「ノアの剣、ちょっと外で馴染ませてこようかな……ちょっと不安になって来た」


 ヘンリーの言葉では足りないと言わんばかりにエミラが吠える。


「剣を馴染ませるとかそういうレベルの問題じゃ無いでしょ! このダンジョンを踏破すること自体を断念するべきってことでしょ! ねぇ、ティア? あなたもそう思う……」


 ティアが目を輝かせてノアの話を聞いている。


「腕が鳴るわね、ウフフ……」


「いやいや! 警告アラームが鳴るべきでしょ! 危険すぎるわ! リリーはそう思うでしょ?」


 リリーがティアの方を向いて頷いている。ニヤッと笑顔で握りこぶしをつくって静かに闘志を燃やしているとしか思えない。



(こいつら……ノアウイルスに感染したわね……ダンジョンへの興味、強い魔物への興味……まともなのは私とヘンリー……)


 ヘンリーが戻って来て笑顔で話しかける。


「ノア! この剣、やばいね! これならいけるよ! 魔物全て僕がぶった斬ってやるぞ〜」


「…………ヘンリー、あなたも感染してるわね」


「え?」


 諦めてリーダーの指示を聞くエミラだったが、やはり気になったのがエアルヴァも話していたこの場所の名だ。


(ガイア創世記なら私も読んだわ。でも海ってものの記述はほとんどなかったし、湖なんて初めて聞いた言葉だし……)


「よし、それじゃあ今から下層へ進んでいくよ!」



 こうして希望のつるぎのダンジョン探索、二日目がスタートした。



「前方からハイソイラゴーレムが4体! 右側の壁からも何かが迫って来るぞ!」


 壁をぶち破って来たのは巨漢のキングソイラボアだった。


 ノアの的確な索敵によりギリギリのところで突進をかわすパーティーメンバー。体制が崩れたところでノアが指示を出す。



「ティア! ヘンリー!」


「何! どうすればいい?」


「ゴーレムの核は絶対に傷つけちゃダメだ! しかもコア以外を先に攻撃するのもコアの質が弱るからダメだ!」


「だから攻撃の仕方に細かい要求出すのやめなさい!」


 エミラの言葉をガン無視して指示を続けるノア。S級魔物のキングソイラボアの攻撃なんて全く眼中にないようだ。


「ティアはまず、詠唱しながらゴーレムの懐に潜り込んで左手でコアをしっかり掴んでから胴体に向かって右手でどデカイ魔土術をかませ! 同時にコアを引き抜くんだぞ! 失敗したら飯抜きだ!」


「要求が細かいわね! わかったわよ!」


「ヘンリーはロングソード使っちゃダメだぞ! 腕力でコアをエグリとってくれ! リリーがその瞬間に風でぶっ飛ばすから直ぐに逃げて!」


「無茶苦茶言うな! 剣士が剣使えないって意味がわからないよ!」


 リリーはノアの指示通り詠唱を始める。イフリートはボアを丸焼きにした後、ノアと共にゴーレム狩りに参戦する。


『よっしゃ! 俺が一番デカイやつもらうぜ!』


「イフリート! コアだけは傷つけるなよ! お前ただでさえすごく熱いんだから気をつけてよ!」


「まるで子供がごっこ遊びでもしているかのよう……いや、あれでもまだ子供なんだけど……」


 呆れて何も言えないエミラの横で準備を整えたリリーが強風をぶっ放す。


「いけ〜!」


「ちょっと! リリー早すぎ!」


 ギリギリのところでゴーレムの攻撃をかわし、コアを抜き取り、風を避けたヘンリーは開始早々謎に疲れてしまった。


「取った! コアゲット!」


 無事に四つのコアをゲットしてご満悦のノアとイフリート。


「これで何をつくるかだな!」


『おうよ! ハイソイラゴーレムはダンジョンでもそう簡単に現れねぇからな。これはラッキーだぜ!』


 一方、上級のキングソイラボアの胸肉を笑顔で回収するリリー。


「こんなにも柔らかいお肉は初めてだわ……このダンジョンでしっかり運動していたのね。昨日のノアが焼いていたキングソイラコングのお肉も油がそこまで重くなかった……これは何か秘密が……もっともっと食材を確保してガイアグルメを楽しもうっと!」


(私の可愛い妹、リリアナがノアウイルスに侵されていく……しかも食材という新しい境地で……)


 落ち込むエミラの背中をポンと叩くノア。


「さあ、どんどん行くよ!」



 3時間ほど螺旋状の坂道をひたすら下っていく。とんでもない魔物の出現率で疲れるかと思いきや、意外にテンポよく戦闘を終えているからか、皆笑顔で休むことなく前進していた。


「ところでさ、初日からそうなんだけど、ずっと一本道だよね。壁の中から突然魔物が湧いて来るけど、ルートとしてはこの下り坂をひたすら時計と反対周りに緩やかに回りながら降りている感じだね。しばらくはこのままなの?」


 ヘンリーの質問に頷くイフリート。


『そうだ。この螺旋の中心部分はぽっかり大きな穴が空いてるんだ。俺たちは今その穴の周りを下っているわけだ。ガイアの地上から続いている縦に長い大きな穴だぜ』



 それは初耳だとばかりに目を大きく開けたノア。ダンジョンに入る直前にフルーゲから見えた穴はこれだったのかと気づく。


「なんか不思議な地形のダンジョンよね。ひたすら真下に深く広がる感じというか……普通のダンジョンとは違うわ」


 ティアが言うようにノアたちはひたすら下っている。具体的にどれくらいとは言えないがかなりのスピードで下層へ降りていることは確かだ。しかし、まだまだ先が見えない。


「魔物よ! ハイソイラオークが5頭!」


 ヘンリーとティアが対応し、エミラが回復魔土術(まとじゅつ)をかける。こんな流れでさらに3時間が過ぎたころ、ふと疑問に思ったティアがイフリートに問いかける。


「どうしてイフリートはその下層の水を蒸発させてさらに奥へ進もうとしなかったの? あなたの炎なら水くらいなんとでもなるでしょ?」



『いや、そこにとんでもねえ化け物がいたんだ。俺の炎が効かない化け物がよ。そいつがその場所を守っていたから勝負がつかなくてよ。飽きたし仕方なく諦めて帰っただけだ』


 驚いた表情でティアが聞き返す。


「あなたでも勝てない魔物って何よ? どんなやつ?」



『…………ドロイムだ。お前たちもよく知っているE級ダンジョンに現れるゲキ弱のあの魔物の仲間だよ』




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