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グランサンクチュア〜地底天空都市の伝説〜  作者: 大森六
第三章 ガイアの大地

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第94話 謎のダンジョン 01

《えぇ? もうレアラが壊れてしまうほどに魔土術まとじゅつを放ったってこと?》


《そうじゃ。正確なことは流石にわからんが近いうちにな》


「お兄ちゃん、リリーの中にエアルヴァがいる状態で放つ術は全てリリーのマナを流して、リリー自身が唱える魔土術って扱いになるみたい。だからレアラの力を借りて今までずっと唱え続けてきたんだけど……流石に精霊規模の威力を引き出すとなるとレアラが持つ膨大な魔素量ですら残量が少ないって状況みたい」


 珍しくノアが驚いていた。


「私は最近イフリートを宿したからあまり実感がないけど、イフリートが私の外で放つ炎の術は魔土術ではないんだって。だからレアラの使用魔素量をコントロールできるけど、リリーはちょっと……」


 申し訳なさそうにリリーが謝るが、ノアは気にしていない。


「多分それってエアルヴァが意図的にやっていることだろうからリリーも気にしなくて大丈夫だよ。だって、レアラのアクセサリーが壊れることもエアルヴァは知っていたんだから、事前に対処もできたはず。それをしなかったってことは何か意図があるんだよ。とりあえず、レアラはまだあるからそれで作り直すね。そこに何か特別な付与ができるようにイフリートと考えてみるよ!」


『これはこれで楽しみだな!』



 こうして最初に作るべき防具や武器が決まった。


『そうなると……ちょっと今のノアの手持ちアイテムだと少し足りない素材があるな。ヘンリーやエミラは魔物ストックあるのか?』


「僕の素材はノアほどいいものではないよ。村や町に着いた時に換金してもらうためのストックだから量はあるけど質は微妙かも」


「私は魔物は全く入れていないわ。強力なアイテムをつくるための素材なんて無いわね……」



『だったらよ。ちょっと行きたい場所があるんだがいいか? グランサンクチュアと方向はそこまでズレたりしねぇけど、強い魔物がウジャウジャでるダンジョンを以前見つけたんだ』


「何! 本当か! 行こう!」


 当然ノアはそういうがヘンリーは護衛の立場もあり、あまり主張できない。ティアは力を試したい気持ちもあって行きたがっているが、リリーの気持ちを尊重している様子だ。そのリリーは行くつもりのようだがこちらも主張はしない。そして……


「いいわよ! 私たちの新しい装備品のためだもの。行きましょう」


 ボスがOKを出す。


「よし! イフリート、そのダンジョンへ案内してくれ!」



 * * *



 フルーゲに乗って3日ほど移動したところでイフリートが呼びかける。


『あったぞ! あそこだ。あの奇妙なゴツい岩が三箇所ある中央部分に着陸してくれ』


「了解!」


 その時、ノアはふと上空からイフリートが指す地点を中心としてその周辺を見渡した。


(このあたりの地形……奇妙なほど中心に向かって――)


「魔物よ! 上空6時の方向から! あれは……ハイソイラホークよ!」


「S級魔物じゃない! ノア、急いで!」


「わかった! ティア! 戦闘の指示は任せたぞ」


「OK! リリー、突っ込んできたら壁つくって! 私が狙撃する。ヘンリーは接近した時に迎撃して欲しい。私の魔土術をかわしてくるかもしれない」


「わかったわ!」


「わかった! 安心しろ!」


 突っ込んできたハイソイラホークに向かってリリーがウインドウォールを唱えるが、なんと鋭く回転して風を打ち消して壁を突破した。


「くっ! 炎弾!」


 詠唱が間に合わず、急遽攻撃を変更したティアの火の弾丸をあっさりかわしてフルーゲの後方に接近してきた。エミラがヘンリーに補助系魔土術をかける。ノアがフルーゲを覆うようにバリアを張った。


「ヘンリー! 物理攻撃以外はバリアで防げる! あとは頼んだぞ! ティアとイフリートとリリーはヘンリーの援護だ」



 そして急接近したハイソイラホークがくちばしを大きく開けて脚の爪をヘンリーに向かって切り裂くように振り下ろす。なんとか剣で攻撃をさばくヘンリー。


「負けるか! くらえ!」


 スパッと横一文字斬り。ホークの両脚が切り落とされた。そこに至近距離の炎魔法の集中砲火を浴びて落下するハイソイラホーク。もはや丸焦げ状態だ。


「イフリート!」


『なんだ!』


「丸焦げの鳥は流石に素材回収の価値はないか?」


「いいから早く着陸させなさい!」



 フルーゲからガイアの大地に降り立ったノアたち。イフリートが入り口を案内する。


「なぁ、イフリート。前方にものすごく深そうな穴があったんだけど、あれがダンジョンの入口ではないの?」


「いや、あれは違うんだ。先へ進んだらあの穴が何かはわかる。そしてここが入口だ。進むぞ。途中までなら案内できる」


 先へ進めばわかる? 途中までなら? 不思議な表現をするイフリート。嫌な予感がしたエミラが確認する。


「ねぇ。イフリートはこのダンジョンを踏破して出てきたのよね? さっきから説明がちょっと変だから……」



『ん? 俺はこのダンジョンは踏破してねぇぞ。途中までしか()()()()()()


 ノア以外のメンバーの歩みがピタッと止まる。


「ん? 皆どうしたの? 進まないの?」


「ちょっと、待ってよ。イフリートが途中までしか行けなかったってどういうこと? そんなわけないでしょ。炎の精霊なのよ。踏破できないダンジョンなんか無いでしょ」


「そうだよ。冗談きつな……あんなに強烈な炎があれば魔物なんて一瞬で倒せるでしょ」


 エミラの発言にヘンリーが合いの手を入れる。


『いや、行けばわかるけど俺は先には進めなかったんだ。魔物も強いぞ。基本S級以上だ。普通に進んだらお前らの実力なら死ぬぞ』


「なんで先にそれを言わないのよ! そんなにレベルの高いダンジョンに行くわけないだろ! この炎バカ!」


 エミラがブチギレてリリーが止めに入る。ヘンリーは頷いている。ティアも同じだ。誰も想像していなかった。イフリートが苦戦するレベルのダンジョンなんて。


『おいおい、俺は最初から簡単だなんて言ってねぇし、踏破したなんて言ってねぇだろ! 来るって言ったのはお前らじゃねぇか!』


「だからダンジョンのレベルを言え! あんたと私たちを同じレベルで扱うな! そんなに強くないってわかるでしょ!」


『知らねえよ! 次からお前らが聞け! ほら、先に行くぞ』 


 ギャーギャー喚くエミラとティア。ノアは相変わらず気にせずにイフリートと楽しげに先頭をどんどん歩く。



「……まるで遠足なんだな。ノアたちにとっては」



 今回は流石にヘンリーもぼやく展開。



 そしてノアたちはこの後知ることになる。謎のダンジョンの真相を。





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