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グランサンクチュア〜地底天空都市の伝説〜  作者: 大森六
第三章 ガイアの大地

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第93話 新しい装備品 02

 ノアとイフリートの話はまだ終わらない。次にヘンリーの武器についても考え始めた。


『そもそもヘンリーの剣、もうボロボロじゃねぇか』


「そうだね。大切に使うことはいいんだけど、ヘンリーの攻撃力に剣が耐えられなくなる日も近いと思う。だからヘンリーには新しいロングソードを造りたいんだよね」


 地獄耳なのか、ヘンリーの耳がピクピク動く。そしてダッシュで近寄ってきた。


「ノア本当かい? 剣を新調してくれるのか?」


「う、うん。ボロボロで流石にもう限界だろうしね。ちなみにティアには短剣を用意しようかとイフリートと相談して決めたんだけどティアはそれでいいかな?」


「うん! 私もスピードを活用できる戦いの方がいいともうから短剣がいいわ!」


 ものすごく嬉しそうなティア。


「ヘンリーにはもう少し長いロングソードがいいかと話していたんだけど、ヘンリーは何か希望はあったりするかな?」


 ノアからの問いにワクワクしながら話し出すヘンリー。


「うん。もう少し長いほうがいいかも。重さも少しアップして耐久性をあげてもらえた方が安心して全力で剣を振れそうだな。実は今まで全力で剣を振ると折れちゃいそうな気がして力を抑えていたんだ」


『おい、そういうのは真っ先にパーティーメンバーに相談しろよ。王女を守る騎士の武器がボロボロでどうするんだよ』


「そうなんだけど、ここガイアで相談したってどうしようもないよね? 武器を買うところも鍛冶場もないんだから。だからダンジョンで剣が見つかったら嬉しいと思いながら待っていたんだけどね……」


 ヘンリーの剣も悪い品質のものではない。しかし毎日が魔物との戦いとなるガイアでは武器の磨耗が尋常ではないのだ。


「ヘンリーの言うことも正しいね。なんせ、鍛冶場が無いんだからそう考えるさ」


『フッフッフ。これまでは、だな。これからは違うぜ!』


 イフリートの存在を頼もしいと思うヘンリーとティア。そしてリリーとエミラが起きてきたところでマリーボイドへ戻って朝食を摂ることにした。


 朝食をとりながら、ノアはエミラとリリーに新しい武器を造ることを打ち明ける。


「これからも厳しい戦いが待ち受けていることを考えると、我々希望の剣の武器や装備品事情は極めてショボいと思うんだよ。例えばヘンリーの剣はボロボロに刃こぼれしているし、リリーは自身に見合った武器を持っていない。リリーとエミラからも意見を聞いて皆に何かを造って攻撃力か防御力をアップさせようと思うんだけど……」


 エミラの顔をチラッと見る。このパーティーのリーダーはノアだが、ボスはエミラだ。それは新人のイフリートも加入初日で理解していた。ボスがイエスと言うかノーと言うかで展開は大きく変わる。


「……確かに重要ね。先へ進むことを優先しすぎてもパーティーが全滅したら意味がないし、武器や防具に時間と労力をかけるのは必要みたいね」


 ノアとイフリートの表情がパァッと明るくなる。そしてグルリとリリーの方へ振り向いて意見を仰ぐ。


「わ、私はリーダーのノアとエミラの意見に同意します」


 こうしてパーティーメンバーの武器及び防具製作が決まった。優先的に造るものとしてティアとヘンリーは防具より武器を選んだ。そしてリリーたちに関して話が始まった。


「まず、エミラはパーティー唯一の聖属性の回復系、補助系魔土術士(ソレイジ)だ。武器というよりは防具だよね。最初に魔物にやられたら困るし。そこに魔土術まとじゅつの効果を高める機能を付与するっていうのはどう?」


「そんなものが造れるの? でも私、甲冑とかそういうのは嫌よ? ローブとか着てみたいわ……」


「素材は魔物の皮と糸、ハイソイラの魔素を使えば造れると思うけど、デザインが問題だな。僕もイフリートもローブに関する知識がないし、エミラが気にいるローブを作る自信がない」


『……エミラのセンスだったら自分でデザインできるんじゃねぇか? 無理でもイメージを俺たちに伝えてくれたらそれでつくれそうだぜ』


「それいいわね! やりたいわ! デザインは私に任せて! リリーとティアも一緒に考えましょう!」


 女性陣が初めて製作側の立場で喜びを感じている。よしよしとニヤつくノアとイフリート。ここガイアで製作するにはエミラの同意は不可欠だ。男のロマン、魔土ソイラのロマン、そしてガイアの魔物のロマン等、1ミリもなびかないエミラに、ガイアの大地で時間をかけてモノづくりを行うことへの理解をもらうのは非常に難しいことだった。


「毎日、寝る前の30分だけ研究に時間を使えたくらいだから。この反応は大きいぞ!」


『お前も相当苦労して名作を生み出していたんだな……』



 話はリリーへと移る。


『リリーはエアルヴァがいるからなぁ……攻撃力もあるし……防御力もやべえぞ。なんせ俺の炎を弾き飛ばすからな……』


 悔しそうに自虐的な説明するイフリート。


「あはは。確かにそうだね。じゃあ、リリーは今の自分の戦闘スタイルで足りないと思うことや、こうしたいという希望とかあったりする?」


「……私はもっとティアやヘンリーみたいに戦闘でお役に立ちたいです。そのためにももっとエアルヴァさんの力を意識を保ったまま発揮できるようになりたいです」


「いやいや、リリー。あなた十分に活躍してるでしょ」


「そうだよ。僕はむしろ羨ましいよ。あんなに強い風の防御、攻撃。枯渇しないマナとかもね。怒りモードの時はびっくりしたけどね」


 リリーは恥ずかしそうに俯く。今回、初めて意識を保ったままエアルヴァとイフリートの戦いを見ていた。もしも自分がエアルヴァのように戦えたならと考えてしまう。


 リリーの肩をポンと叩いてエミラが笑顔で話す。


「伝説の風の精霊と自分を比較しちゃダメよ。リリーはリリーのよさがあるわ。大丈夫!」


 そうだよとティアもリリーを抱きしめる。少し落ち着いたリリー。


『リリーの精霊との関係に補助系アイテムを使ってフォローするのはやめたほうがいいと思う。それはゆっくりリリーがレベルアップしていく中で身につけるべきことだからな。精霊もそれを望むしよ。でも悲観することは無いぜ。もうすぐだ!』


「ありがとう。イフリートさん」


「じゃあ、エアルヴァに聞いてみようか!」


《リリーにどんなアイテムを授けるべきかな? 魔土術が強くなる杖とか?》



《いや、レアラのアクセサリーに変わるものを新しく作って欲しい。もうすぐ粉々に壊れてしまうからな》




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