表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
グランサンクチュア〜地底天空都市の伝説〜  作者: 大森六
第三章 ガイアの大地

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

88/128

第88話 ガイアの祠 05

 ヘンリーの剣に水がまとっている。ティアが唱えて水属性魔剣へと仕立てていた。若干ではあるがイフリートの炎の再生スピードを遅らせる。


「ウォーターボックス!」


 畳み掛ける様にティアが至近距離でイフリートの上半身に水のボリュームをぶつける。


『ウガァ! ちくしょ〜いい加減にしやがれ! 炎圧!』


 力を込めて熱風を全方位に一気に解き放つイフリート! しかしそれより一瞬早くノアが動いていた。


「ミラーウォール!」


 4人の前面に炎を跳ね返す古代魔土術(まとじゅつ)の壁を同時に四枚つくり出す。


『なんと! 古代魔土術を無詠唱で離れた四箇所に向かって同時に放ちおった。しかも瞬時に生み出すとは……あやつの力の底が知れんな……』


 エアルヴァがノアに感心しているがエミラには聞こえない。集中して詠唱し、4人に回復魔土術ハイソイラを唱える。熱風によって消耗する体力は尋常ではない。


『やるじゃねぇか。同時にハイソイラを唱える奴も久々に見たぜ。だが、それじゃあ俺は倒せねぇぞ!』


 イフリートがノアに向かって強烈なハイキック! 蹴りというより炎による攻撃と言うべきか、防御した腕が熱く焼けてしまう。


「熱っ! くそ〜。 ハイソイラ!」


 腕を回復し、水弾で応戦するノアの攻撃を全てかわすイフリート。後ろからヘンリーが斬りかかるがそれを読んでヒラリと避ける。そしてヘンリーに強烈な炎のボディーブロー。


「グハァ!」


 吹っ飛んだヘンリーがガイアの地層にめり込むほどの力。


「ティア! いくぞ!」


「了解!」


『なんだ? 二人で打撃ってお前ら馬鹿になっ――』


 ジュウ……


 ノアとティアの両腕に強力な水の渦が纏っている。イフリートにもダメージが入った様だ。


『クッ……喰らっちまった。動きが鈍く……』


 畳み掛けるノアとティア。しかし、イフリートの炎は消えない。弱りはするがまた元に戻る。一次的なダメージに過ぎない。それが精霊の強みだ。


 ヘンリーが戻って垂直に一閃。真っ二つに割れたイフリート。しかし同様に復活してしまう。一旦下がって体制を整えて再び接近戦を挑む3人に段々とイフリートのフラストレーションが溜まっていく。


 炎攻撃をすれば跳ね返され、打撃で地味に攻撃を仕掛けてくる。チョロチョロと回復魔土術をノアがかけるため、3人の攻撃は継続される。しかし、イフリートにはなんのダメージもない。そんな状況がしばらく続く。


『あぁ! クソ! お前ら何がしてぇんだよ! もういい加減に諦めて燃え尽きやがれ!』


 イフリートが強烈な一撃を放とうと力を溜めた。


《今だ、皆! やるぞ!》



『剛炎圧! 消えろ!』



 イフリート渾身の全方位攻撃。激しい炎が周囲一帯を巻き込んで燃やし尽くす。エアルヴァは風で身を守って無事だが、それ以外が……消し飛ばされた。ノア達の姿が無い。


『ハッハッハ! 俺様に勝てるわけがないだろ! 馬鹿が!』


 イフリートが警戒を解いたその瞬間だった。



「……テレポート」



 イフリートを囲う様にノアたちが突然現れた。そしてヘンリーが水斬で再び真っ二つにして時間を作り、エミラが全マナを集中させて唱える。


「結界!」


 完全に隙を突かれたイフリート。エミラに渾身の結界魔土術を目の前の超近距離で放たれて完全に結界で囲われてしまう。


『しまった! 結界か!』


 大きな卵の様な形に閉じ込められてしまったイフリート。そこに追い打ちをかける様にティアが水属性魔土術で結界表面に分厚い水流をコーティングする。そこにノアがありったけのマナを込めて再び結界を張った。


「できた! 完全にイフリートを封印したぞ!」


 喜び合う希望のつるぎメンバー。そしてその一部始終を観ていたリリー(エアルヴァ)が驚きの表情と共にあまりに間抜けな姿のイフリートに対して大笑いする。


『クソ! 卑怯だぞ! ここから出しやがれ!』


 ドンドン結界の内側から破壊を試みるが結界は破れない。



『素晴らしい! なんと素晴らしい戦術か。わらわも思わず唸ってしまったぞ』


 そう。結界は精霊にとって絶対的な壁である。逆に人族を始め、その他の種族からすると結界から出ることは容易い。外からの魔土術や邪念術を弾き返す結界という存在は、マナと霊魂で生み出された精霊にとっては絶対に壊せない壁なのだ。


 さらにその結界はノアたち3人が接近戦で時間を稼いている間、エミラが丁寧に詠唱して生み出した精度の高い結界。そこに分厚いティアの水流とノアの結界という何重にも掛けられた仕掛けはもはや絶対脱出不可能なものだった。



『結界は発動の際に若干隙が生まれる。そこを突かれない様に俺をぶった斬って時間を稼いだのか……やるじゃねぇか。確かにこれだけ完璧に封じ込まれたら俺でも脱出不可能だ』


 ニヤッと笑ったイフリートが続ける。


『だが、俺は負けを認めないぜ。そうなったらお前たちはどうするんだ? 俺を宿したかったんだろうがそうはいかないぜ。ケッケッケ!』


「あんた本当に炎しか能の無いバカね」


 ティアの強烈なツッコミにイラつくイフリート。


『おい! どういう意味だ』


「私たちはあんたを宿せなくても別に構わないわ。もともとあのほこらも旅の途中で偶然見つけたのよ。炎で焼かれずにグランサンクチュアへ辿り着けたらそれでいいわ」


 ヘンリーもエミラも頷いている。当然イフリートにはティアの言動が駆け引きとは思えない。そしてノアが畳み掛ける。


「おい、炎バカ。お前自由が欲しいんだろ? でもお前に自由は無くなったぞ。負けを認めないならそれで構わないが、僕が持つこのアイテム袋の中に結界ごと入れてしまうからな。このアイテム袋はレアラ製だ。簡単に壊れないから軽くみても数百年は出られないと思うぞ」


『な、なんだと! 本気か? 俺は炎の精霊様だぞ』


 焦るイフリートを見て笑ってしまうエアルヴァ。そしてノアとティアの顔を見てやはり兄妹だと感じるヘンリーたち。どう考えても交渉でこの二人に勝てるものはいない。


「さて。最後にお情けで聞いてあげるわ。おとなしく精霊の誓いに従って負けを認めて、私に宿って自由なガイアの旅を一緒に楽しむか、何百年もの時間をこの暗くて動けないアイテム袋の中の結界の中の水流の中の結界に閉じ込められて過ごすか。どっちが良いの?」


 ノアがアイテム袋をせっせと広げてその中から更に巨大なアイテム袋を広げ始めた。



(ぐぅ、こいつら……本気だな……)




「わかった……俺の負けだ。お前たちに宿ってやるよ」




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ