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グランサンクチュア〜地底天空都市の伝説〜  作者: 大森六
第四章 地底国家ドワーリア

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第127話 入国許可証 01

 目が覚めたエトラスたちは改めてイフリートの姿を見てそれが夢ではないことを確認する。ただ、状況が把握できていない。なぜ伝説の炎の精霊がここに? 


 目が点になっている二人にティアが説明する。


「あのね。イフリートは私と精霊契約したの。そしてこの希望のつるぎパーティーの一員として旅を続けているのよ」


「た、確かにティア殿からはイフリート様の炎のマナを感じますね」


「ティアお姉ちゃんすごい! まさか僕があの炎の精霊様と直接会えるなんて!」


 久々に敬われて気分が良くなるイフリート。ここ数ヶ月、パーティーメンバーが皆とんでもないキャラのせいか、自分の存在がマッチの炎くらいに弱まっている気がしていたが、ここにきてあの元気で生意気な態度が復活し始めた。


『おいおい、俺様がティアを選んでやったんだぞ。そこを忘れるなよ』


「あんた、調子に乗ってたら二度と外へ出せないように私のマナの中に閉じ込めるわよ!」


『あ、はい。すみません』


 上下関係が理解できたドワーフ族の二人。そしてティアがノアの妹であることを知り納得する。


「あとね、精霊ついでに言っておくとリリーは風の精霊エアルヴァと精霊契約しているわ」


「…………へっ? エ、エアルヴァ様?」


「……一体何があったがね……100年以上ぶりに気絶したがね……」


「あ、ウサ婆大丈夫? ごめんね」


「……ウサバ? 獣族で賢者でウサバって言ったら……」


「ひゃっひゃっひゃ。なるほど、そういうことがね。ボイドの息子と孫、よろしくだがね〜」


 青ざめてまた気絶しそうなドワーフ族にエミラが精神回復魔土術(まとじゅつ)をかける。


「あ、ありがとうございます。聖女エミラ様。は、初めて聖女様にお会いしました。どのように接すれば良いか……」


「あ、そういうのいいから普通でお願いします。私も普通の人族ですから」


 エミラがサラッと自然体で断りを入れる。そしてヘンリーの方へ向かって腕を伸ばし、補足説明する。


「ヘンリーはあの黄金の大地のリーダー、ロイ・グリードの最初の弟子よ。相当強いからね」


「えぇ! ロイ様の? 俺たちドワーフ族はあの人に助けられたんだ! どれだけ感謝しても足りないくらいに!」


 つい興奮してしまったエトラスにエミラが更に補足する。


「で、そこにいる無茶苦茶な馬鹿リーダーノアが、ロイの息子よ」


「…………え?」


 ニカっと笑顔でエトラスを見ているノア。



「…………ノア。やっとさっき鍛冶場で言っていた意味がわかった。お前のいう通りだな。俺は今度こそ、ノアとノアの仲間たちを心から信じると誓う。そして何か助けになるようなことがあるなら、俺たちにできることはなんでもすると約束する」


「ありがとう! エトラスさん!」


「ノアはやっぱりすごい人だったんだね! 僕も一生懸命頑張るよ!」


 ウォールの言葉に皆が笑顔で頷いた。そして早速今後の展開について話が始まる。


「何をするにしてもやはり、正規での入国許可を全員分取得することが必須だ」


 エトラスが国内の入国関連の状況をざっくり説明する。


「まず、紹介状のゲートは今回通ることはできないから無視するとして、ノアが最初に入っていったドワーリアゲートに関してだが、5年ほど前からその難度が急激に上がったんだ。初見であの罠を潜り抜けて無事入国するなんてどんな冒険者でも不可能というレベルにな」


 全員が冷たく、そして白い眼差しでノアを見る。


「な、なんだよ。僕はVIP扱いで入国したいと思って頑張ったんだよ。そしたら……まぁ……簡単過ぎてあっさりと……」


「いや、まぁノアが凄過ぎるという点は置いておくとして、あのギミックはレーテル・グリムス女王様が直々に考案なされたんだ」


「えぇ? それを軽々と突破してしまったの? 本当にこのソイラバカときたら……」


 エミラのツッコミは結果論だが、しかし状況は最悪だ。王国の象徴である女王のトラップをサラッと解かれては王国のメンツに関わる問題へと発展する。


「俺が知るレーテル女王はそんなことで怒ったりはしない。むしろノアに興味を持つはずさ。あの方は生粋の職人だからな。だがそれを許さないのが周囲のクソ参謀だ」


 エトラスの語気が強まる。


「とある人族がドワーリアゲートをあっさり突破したという事実は王都へも知られただろう。だがそれは女王には届かない。参謀長官のワルダーが情報規制してるからな」


「ワルダーっていかにも悪いことしてそうな名前ね」


 ティアが笑いながらツッコむ。


「あいつは父ちゃんを騙したんだ! 僕は絶対に許せない! あいつは父ちゃんの鍛治師の腕に嫉妬して……」


「ウォール、今そのことはいいから。まずは状況整理だ」


 ウォールが大きな声を出して何かを主張しようとしたがエトラスが止める。


「話を戻すが、おそらくノアはワルダーの手によって今頃犯罪者扱いになっているだろう」


「ガアア〜ン! 何もしてないのに……」


 エトラスは続ける。


「そこでとりあえず、ノア以外の仲間の入国許可証を取得するべきかと思う」


「どうやって? 私たちにはそのゲートの罠をクリアするのは無理よ」


「いや、罠をある程度避けて、ある程度魔土術で防御しながら進むんだ。それこそが一番自然な入国となるはずだ。一般の冒険者としての話だ」


「なるほど。確かにそうね。ちなみにウサ婆にテレポートで国内へ連れていってもらったらダメなの? 見たところ、ウサ婆にも何かある感じがしたけど」


「ウサバ様もワルダーにとっては敵となるだろうな。直接女王に会えたらいいのだが……なんでもテレポートで入れないような仕掛けが施されているみたいだ」


「結界か……さすがその辺の技術は高そうだ」


「じゃあ、決まったね。まず、僕のテレポートでヒューマニア王国に行くには安定した座標が必要だから王都に行かないとダメだ。先にテレポートでウサ婆とエトラスさんの工房で待ってるよ。皆が入国許可証を受け取って入ってくるのをね」


「なるほど。私たちはドワーリアゲートへ行って、ヘンリーを先頭にトラップを一つ一つ丁寧に喰らっていって努力して入国すればいいってことね」


 話しをするエミラの隣で青ざめた表情で固まっているヘンリーだった。


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