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グランサンクチュア〜地底天空都市の伝説〜  作者: 大森六
第三章 ガイアの大地

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第109話 聖なる祠 01

 背中を向けて魔物回収作業をしていたヘンリーがやっと状況を把握する。


「くそ! ティア、今行くぞ!」


 ドボン!


 ヘンリーが飛び込んで救助を試みたが、そもそもヘンリーは泳げない。いや、ガイアの人族は泳ぐという考えがない。ただもがいているだけだ。


「グババァ! ダメだ。全然潜れない……」


「ヘンリー! 私が行くわ!」


 エミラが美しいフォームで飛び込んでそのまま泉の中へと潜っていった。


 そしてゴールデンドロイムは別の怒りを買う事になる。リリーから強烈な憤怒のマナが溢れている。


「あなたたち、全員消えて」


 リリーがティアに攻撃したゴールデンドロイムに向かって右腕を伸ばす。


「ま、待てリリー! 冷静になれ! ティアは大丈夫だ! エミラが回復してくれるから落ち着――」



「……リリーインパクト」


 ボシュ! 


 ゴールデンドロイムが消し飛ばされた。風魔土術かぜまとじゅつではない。これはマナの塊を風で強化した最強の衝撃波だ。他のゴールデンドロイムがビビって動けなくなる。


「リリー! それだと完全に消し飛んで貴重なアイテムがゲットできないから落ち着いてくれ!」


 必死の訴えもティアの耳には入ってこない。ノアはリリーとドロイムとの間に割って入って強行手段に出る。


「おい! お前ら! さっきみたいにこのまま消え去りたいならこのまま戦え! だがもしも、この先の生涯をダンジョンから出て楽しく過ごしたいと思うなら今すぐ僕らの仲間になれ! どっちがいいか今すぐに決めろ!」


 ノアの言葉を聞いて一瞬で5匹のゴールデンドロイムがノアに完全服従の意思を示す。即座にノアは5匹全てをテイムした。後ろでリリーが衝撃波を放つ姿勢を取る。


「お前ら! 今すぐこの袋に飛び込め!」


 ガバッと開いたアイテム袋の中に一斉に逃げ込んだゴールデンドロイムたち。

 ギリギリのところでリリーの攻撃をかわして避難に成功した。


「……ノア、そいつらをどうする気ですか?」


「まぁまぁ、落ち着けって! あとで冷静になってからね!」


 リリーのプッツンお怒りモードがまだ解けていない。危険を感じたノアが急いでヘンリーの元へ。


「エミラとティアが戻ってこないんだ! でも僕は水の中を上手く進めないから」


 これはチャンスとばかりにノアが持ち物を全てヘンリーに預けた。


「ヘンリー、これら全てリリーに渡すなよ。ここには大切な仲間が入っているんだ。わかるよな? 僕は今から泉に飛び込んで潜ってみる」


「わ、わかったけど、ノアは水の中で動けるの?」


「ヘンリー。()()っていうんだよ! 見てて! 僕は王宮の巨大浴場でずっと泳いで鍛えていたんだ」


 ザボン! ついにノアも飛び込んだ。ティアの心配というよりも、リリーの追求から逃れたい一心で。この男は妹の事も第一王女のことも一切心配していない。何故なら生きていると分かっているからだ。



 深く潜水しているが不思議なことにここは明るい光が差し込んでいる。おそらく地上の穴から光が差し込んでいるのだろうがそれにしても明る過ぎる。


(……やはりこの水は聖水だ。もしかしてこの聖水に含まれているマナが光を帯びているのか? 疲れを取り除いてくれている感覚が……いや、本当に回復しているぞ!)


 ノアがしばらく潜り続けると小さな洞窟のような場所があることに気づいた。そこから微かにティアとエミラのマナを感じる。その洞窟の中へ進んでみると不思議なことに空気が満ちた空間が存在していた。



 聖水の泉からノアがヒョコッと顔を出す。地面があって何故か聖水が侵入していない。


「空気を溜めた結界を張っているのか……だから聖水も侵入してこないんだなぁ」



「その通りじゃ。さすがはアジールの一族と言ったところかね〜」


 ペタペタと陸に上がったばかりのノアに不思議な獣族が近づいてきた。その姿を見たノアが驚いて言葉を発する。


「あ、あれ? ウサ爺? いや、背丈は同じだけど見た目がちょっと違うような……」


「ヒャッヒャッヒャ。わしはウサ()の娘のウサ()だがね。仲間は奥で休んでおるがね〜」


「やっぱりここだったんだ。ありがとうございます。えっとウサ()が助けてくれたんですね?」


「ヒャッヒャッヒャ。ウサバお姉さんだがね〜。まだまだ若いがね〜」


 ペタペタと歩いて奥へと案内するウサ()。そしてベッドに横たわるティアとエミラを発見する。


「ティア! エミラ! 無事か?」


 二人の元へ駆けつけて息をしていることを確認し、ちょっとだけホッとするノア。


「大丈夫じゃ。とりあえず、他の仲間もここへ連れてくるといいがね〜」


 頷いてノアが再び潜って滝の麓へと戻った。ヘンリーとリリーが心配そうな表情で待っている。


「ノア! ティアたちは? 無事か?」


 ノアに詰め寄るヘンリーとティア。ノアが落ち着くように言って状況を説明する。


「大丈夫だ。二人とも生きている。そしてとある獣族が助けてくれたみたいだ。今からリリーとヘンリーを連れてそこへ向かう。リリーは泳げるか?」


 首を横に振るリリー。プッツンモードは解除されたようでホッとするノア。


「じゃあ、ヘンリーは僕の真似して足をバタバタさせて前進する練習を少しやろうか。リリーは僕にしがみついて離れないようにしていればいいよ。ヘンリーの片手を僕が握ってフォローするから慌てないで大丈夫。息も十分に持つから」


「えっ! ノアにしがみ……」


 リリーが顔を真っ赤にする。ヘンリーがそれを見て何かを理解してニヤつく。


 少し泳ぐ練習をした後、3人で飛び込んだ。ノアのフォローもあってヘンリーは聖水をどんどん潜って進めている。問題はなさそうだ。問題があるとすればむしろリリーだった。ノアを抱きしめたままの状態を維持するだけなのにイフリートが宿っているのかと思わせるほどに顔が熱を持っている。


 必死でノアが泳いで二人を洞窟の中へと誘導する。ヘンリーの手を離すと笑顔で泳いで上がっていく。どうやら泳ぎのコツを掴んだみたいだ。


 そして両手でリリーを抱きかかえながらノアも必死で泳いで上がっていく。息がギリギリだ。


「ブハァ〜!」


 リリーを抱きかかえたまま、ウサ婆洞窟へとたどり着いたノアに待ち構えていたのは仁王立ちのエミラだった。


 ゴゴゴゴゴ……


 今度はエミラにイフリートの炎が宿っているかのような……


「いやぁ〜死ぬかと思った。なんとかリリーも連れてこれ――」


「早く可愛い妹から離れろ! この変態ソイラマニアがぁ!」


 強烈なエミラキックが炸裂し、泳ぎきって疲れているノアを壁に突き刺すほどに吹っ飛ばしてしまった。



「な、なんで……僕が……」



 そして今度はノアが気絶した。


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