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グランサンクチュア〜地底天空都市の伝説〜  作者: 大森六
第三章 ガイアの大地

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第107話 ダンジョンの幻獣 05

 メンバー全員でマリーボイドを組み立てる。そして疲れている身体に鞭を打って、ストックしていた食材を使って調理開始。リリーが中心となって手際よく進め、ハイソイラボアの特製シチューがあっという間に完成した。


「ダンジョンの恵みに感謝して、いただきます!」


「……ダンジョンの恵みって何よ」


 疲れきった身体に染み渡る。皆が言葉にしなくても美味しいことが表情でわかるほどだ。それほど今日の戦いと訓練は過酷だった。


「そういえばさ、ノアがテイムしたイシパス(カトブレパス)はケルベロスを相手に石化することができるのかな?」


 ヘンリーの質問になるほどとノアがリアクションする。


「お〜い、イシパス! お前よりも強い相手に石化はかけられるのか?」


主人あるじ、それは無理。石化を試すことはできるが、成功する確率は極めて低い』


「だって。皆聞こえた?」


「「「…………牛が喋った」」」


「幻獣が喋ったわ! 嘘でしょ!」


「テイムしたら話ができるみたいだね。ビーストテイマーって便利だなぁ」


 あまりにノアが普通に話すものだから衝撃が弱まってしまったが、エミラはノアの才能に驚かされていた。魔土術まとじゅつの活用方法があまりにも画期的で先人が思いつかない技を身につけるし、魔物を味方につけるなんてこれまでのヒューマニア王国の歴史では誰も成し遂げていない奇跡だ。精霊もノアに対してはどこかその存在を認めているような態度を見せている。


「……まぁ、今はこの先のダンジョンボスを倒すことだけ考えましょう」


「ん? どうしたのエミラ?」


「なんでもないわ。ちょっと考え事をね……さぁ! 食べましょう!」



 * * *




 笑顔で食事を済ませた後、ゆっくりと休息をとって万全の体制で次の日を迎えた。


 いつもの朝練を終えて、パーティメンバー全員が揃う。



「じゃあ、そろそろ行こうか! ダンジョンボス討伐だ!」


「「「おう!」」」



 観音開きの扉をゆっくりと開けるノアとイフリート。


 ゴゴゴゴッ!


 突然響き渡る途切れることのない衝撃音。そして目の前に広がる垂直に流れ落ちる水の情景。パノラマビューで見渡しても途切れることなく水が流れ落ちている。

 パーティー全員が言葉を失ってその場でフリーズしてしまう。


 扉の先はいきなり崖。その先に広がるのは一面を覆う滝だった。初めて目にする滝。書物でしか見たことがないその存在を目の当たりにしてノアは素直に感動していた。


「すごい……水が流れ落ちている。そしてその先でできた水の溜まり場のような存在は……泉か? 湖? もしくはあれが海っていう存在なのかな?」


 誰も答えることができない。ガイアで生きる人族の大半は信じていないのだ。湖や海といった存在を。しかし、ここにいる5人の人族だけはその疑いが確信に変わった。ガイア創世記の記述内容は全て真実なのだろうと。


「ノア、あそこに階段……のような岩の塊が壁沿いに造られているよ。ジャンプして降りていけそうな感じで幾つか造られているね……」


 滝に見とれていたノアが振り向いて後ろを確認する。ヘンリーが背面の扉付近から下へと向かうための岩の突起物を見つけた。確かに滝の麓まで降りていけそうだ。


「明らかに誰かが魔土術で施しているわね。自然に形成されたものではないわ。こんな危険な階段……とも呼べない奇妙な塊を誰がなんのためにつくったのかしら?」


 エミラの問いに笑顔で首をふるノア。わからないと嬉しそうに答える。


「皆、警戒しながら降りてみよう! おそらくダンジョンボスはこの下にいる」



 ポンポンとジャンプしながら軽快に壁から飛び出した岩の塊を降りていく。いざ降り始めてみると思っていた以上に高さがあることに気づく。


(確かにこの高さを階段で繋げるのはちょっと厳しいよな……これは魔物がつくったものではないぞ。誰かがこのダンジョンを出入りしているのはもう間違いないな)


 ここまで途中で発見した結界を張った安全なエリア、今回の階段のような岩の足場など、誰かがこのダンジョンにいるとノアは確信した。


「きっと全ての答えは降りてみたら分かるはずだ」


 30分ほど経過してようやく麓へと降り立ったノアたち。目の前の滝の音しか聞こえてこない。想定通りマナフォンを使っての会話に切り替える。


《皆、疲れていないよね? 魔物の気配を強烈に感じる。いよいよボスがくるぞ!》


《補助系魔土術をかけておくわ。皆気をつけてね》


「クアトロ!」


 ノアも4倍のバフを全員にかけて体制を整えた。ゆっくりと正面の滝へ近づいていく。


 円形の広場にいるノアたちを巨大な滝が覆いかぶさってくるかのようなプレッシャー。そしてその中央からひょこっと何かが滝の麓から姿を現した。


「……ド、ドロイムか? 金色のドロイム?」


《あいつだ! 皆! 気をつけろ! とんでもなく速いし頑丈だぞ! それから……》


 イフリートが念話で伝えていたその時、想定していなかった状況が訪れる。


 なんと麓から更にドロイムが数匹現れた。それぞれが歩幅程度の大きさで一般のドロイムと変わらない。しかし、半透明で金色に輝いたドロイムなどこれまで見たことがない。


「……10匹とはまた……厳しい展開なのかな? でもドロイムの見た目だからわから――」


 ズドーン!


 ヘンリーの身体が後方の壁に吹っ飛んでしまった。


「ヘンリー! 大丈夫か!」


 ノアが急いでパーティーに指示を出す。

 

《エアルヴァ! リリーとエミラを分厚い風で完璧に守ってくれ! エミラはヘンリーに回復を! ティアとイフリートはまず炎の魔土術を放って牽制してくれ!》


《了解!》



『久々に喰らえ! 金色野郎!』


 イフリートが渾身の特大火炎をドロイムたちに向かって放つ。ドロイムは逃げることなくその場で炎をまともにくらったが一切のダメージを受けていない。


『やっぱり火の耐性がヤバすぎる』


「炎弾!」


 ティアの一撃をサラッとかわした。とんでもないスピードを横目にヘンリーの元へ向かうノア。


《ヘンリー大丈夫か?》


《……あ、あぁ。エミラのおかげでなんとか。しかし、アイツの攻撃が見えなかった。打撃を喰らった感じでは、おそらく正面から突進されたと思うんだけど、全く見えなかったよ……》


 まずはヘンリーが無事でホッとするノア。そして全員に伝わるように念話で話す。


《そりゃ、ヘンリーが見えなかったのも仕方ないよ。あれは衝撃波のようなものだ。あのドロイムは遠隔でとんでもなく鋭い魔素の塊を放ったのかもしれない》




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