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グランサンクチュア〜地底天空都市の伝説〜  作者: 大森六
第三章 ガイアの大地

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第101話 謎のダンジョン 08

『ここも安全地帯だぜ。今日はここまでにするか!』


 イフリートが振り向いて笑顔で話しかけたが、ノア以外誰もリアクションできないほどに疲れ切っていた。気力がもう無くなっている。


「よ〜し、今日はイフリートと僕でマリーボイドを建てるから皆は休んでていいよ!」


 少し責任を感じているのか、ノアとイフリートはせっせと組み立てる。そして完成後に夕食まで準備した。安全な場所ではあるのだろうが、滝の音が徐々に大きくなってきていることに恐怖を感じるリリーたち。


「今日の食事はリリーの指示で作ったキングソイラボアのステーキとシチューだよ! 皆ゆっくり食べて今日の探索で気づいたことを話そうか」


 ノアに疲れは見えない。皆初日と比べて少し慣れがあったのか、今日はまだ余裕が少しあるみたいだ。


「そろそろ滝が近づいてきたけど、イフリートのいうドロイムの生息地までは後どれくらいなのかな?」


 ヘンリーが冷静に情報を聞き出そうとしている。いつも感覚的で適当過ぎる説明にこれ以上惑わされたくない。


『あと二、三日で到着すと思うんだが……ただ、俺の時よりも魔物の量は多いし、出現率も高い。比較はできないけどな』


「そのドロイムには完璧な炎耐性があったってことだよね?」


『……それに関してはもし、炎だけならいいんだがなぁ。他の属性も耐性がある可能性の方が高そうだぞ』


「そのドロイム……実はすばしっこいとか、魔土術まとじゅつを使うとか、何か特徴はあるかしら?」


『今のあいつがどうかは知らねぇけど、とにかく素早さも攻撃力もすごかったぞ。魔土術は当時は使えていなかったな。今いるかどうかもわからねぇからそこまでビビる必要もないと思うぞ』


 ドロイムのことが気になってしまうヘンリーとティア。


「そんなに奈落の滝に魔素が集まっているなら、そこまでノアが全員を連れてテレポートできないの?」


「それは難しいなぁ。一人なら兎も角、全員となると失敗すると思う」


「そうか。それは残念。楽はできないものね」


『あと、このダンジョンのこれまでの変化を考えると下層の深さも変わっている可能性があるから、数日でたどり着かなかったとしても落ち込むなよ! 前進あるのみだ!』


 陽気な性格のイフリートはこのフォーリングディープでの盛り上げ役になってくれるので非常にありがたい存在だとエミラは思う。同時におそらく明日、明後日ではたどり着かないであろうと覚悟した。



「一応、知識として皆に知っておいてもらおうと思うんだけど、滝の正体はガイアに降り注いだ雨だ」


 ノアの話にヘンリーが食い付く。


「雨で滝が? あのものすごい音を立てているあれらすべてが雨水なの?」


「そうだ。この辺り一帯はものすごい緩やかではあるけど、ガイアの大地に勾配が付いていて、この穴に落ちるように傾きができていた。広範囲で魔土ソイラにしみ込みながらも雨水はどんどんこの穴に向かって流れてくる。その結果、滝ができたんだと思う」


「そんなにうまくいくものなの? まぁ、お兄ちゃんの仮説は大体当たるからそうなんでしょうけど」


 ティアはあまり興味が無さそうだ。


「まぁ、実際に『滝』ってものを見てから答え合わせするつもりだよ」



 その後もあれこれ話した後、しっかり睡眠をとって身体を休ませた。次の日、朝練を一緒にこなすノアとヘンリーとティア。激闘の次の日の朝でも訓練は欠かさない。


「よし、皆が起きたら朝食を食べて出発だ!」


 そして今日も大量の魔物が希望の剣パーティーに襲いかかる。しかし戦闘経験をどんどん積んで、分刻みにたくましく成長していく彼らにとって、一般のS級魔物はもはや相手にはならない状況となっていた。


「なんか……信じられないくらい今日はスムーズだね。一撃の破壊力が上がったような気がする。もちろんエミラとノアのバフのおかげなんだろうけど……」


「ヘンリーの言うこと私もわかるわよ。魔土術の使い方が少し容量良くなっている気がする。もしかしたらイフリートのおかげかもしれないけどね」


「それを言うなら私も回復魔土術を唱えるスピードが格段に上がったわ。流石にこんなに頻繁に唱えていたらレベルアップもするわよね」



 皆、各々何かを感じているようだ。ノアも同じでサーチライトを使わなくても感覚で魔物がどこにいるかがわかり始めている。以前よりもさらに的確に。形や大きさだけでなく、種別なども。



 その後も順調に魔物を狩って進んでいったが、結局3日目に最下層へと到達することはできなかった。そして4日、5日、6日とモチベーションを維持し続けながらひたすら下層へと降りて行くノアたちは7日目の朝を迎える。


「おはよう! ノア!」


 トレーニング中のノアにヘンリーが話しかける。


「ヘンリーおはよう! 今日も下層への挑戦、頑張ろうね!」


「うん、なんか今日はたどり着きそうな気がしているんだ」


 ノアも頷く。二人だけではない。パーティー全員がそう感じている。ザァ〜としか聞こえてこなかった音がドドドと迫力すら感じさせるような低音と共に響いてくるからだ。


「魔物のレベルもちょっとおかしくなってきたしね」


 そこへティアたちも話に加わる。


「昨日のサーベルガイアタイガーには正直驚いたよね。デカイし、2頭いるし補助系魔土術唱えて能力あげてくるし。本当にパニックになったわ。S級超えてるでしょ」


「イフリートが最後仕留めてくれたからよかったけど、あそこでノアが牙を折るなよってヘンリーに注文つけていた時には後でぶっ飛ばそうと思ったわ」


 エミラの怖い一言に苦笑いのノア。


「まぁ、おかげで最高の素材を回収できたということで。皮も貴重だしね」


 笑顔で談笑する仲間にノアが改めて気合を入れる。


「今日、最下層に到着すると思う。奈落の滝をいよいよこの目で見れるんだぞ! 地獄か天国かは僕たちが決めたらいい。今この瞬間を楽しんで僕は冒険がしたい! 皆を巻き込んでしまっているかもだけどね。あはは!」


「今に始まったことじゃないからもうそこは諦めたわ。その代わりものすごい防具を造ってよ!」


 エミラが笑顔で要求する。私にもとばかりにリリーが笑い、ヘンリーもウンウンと頷く。


「それじゃあそろそろ行こうか!」


 出発した希望の剣、軽快に最下層へ向かって降りて行く。暫く前進していたところで通路両脇に彫刻が二つおかれているのを見つける。


「みんな。あれは魔物だ。銅像とかじゃないぞ!」


 ノアが止まって警戒する。クアトロを全員にかけて戦闘体制に入る。


 すると彫刻が鳥人系の魔物へと姿を変えてパーティーの前に現れた。


「勉強嫌いな私ですら図鑑で見たことあるわ……本当にいるだね」


 ティアのつぶやきにエミラも頷く。


「ダンジョンの番人、ガーゴイラ」





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