同級会で
それからしばらくして、高校時代の同級会の案内が届いた。
卒業してから、まともに参加したことはなかった。
智樹は最初、欠席に丸をつけようとした。
けれど、ふと亮の顔が浮かんだ。
もしかしたら、来るかもしれない。
そう思った自分に気づいて、少し笑った。
以前なら、そんなことを考えることさえ避けていた。
けれど今は違う。
「……行ってみるか」
そう呟いて、参加の返信をした。
当日。
会場の店に入ると、懐かしい顔がいくつも並んでいた。
「智樹!」
名前を呼ばれて振り返る。
高校時代の同級生だった。
「久しぶり!」
「本当に久しぶりだな」
何年も会っていないのに、話し始めると不思議と昔に戻ったような気がした。
近況を話したり、当時の先生の話をしたり、昔の写真を見せ合ったり。
そんな中で、少し遅れて亮がやってきた。
「ごめん、遅れた」
その姿を見た瞬間、智樹の胸が少しだけ高鳴った。
けれど、それを隠す必要はもうなかった。
「亮、こっち」
智樹が声をかける。
亮が振り向き、笑った。
「智樹、来てたんだ」
「亮も来ると思ってました」
「俺も、智樹は来ると思ってた」
そんな二人のやり取りを、少し離れたところから見ていた同級生がいた。
「……なんか、安心した」
「何が?」
別の同級生が聞く。
その人は、二人を交互に見ながら笑った。
「いや、高校のときさ。二人、途中から急に離れたじゃん」
「そうだったかな」
「俺、結構心配してたんだよ」
「そうなの?」
「うん。智樹が一人でいることが増えたし、亮もなんか妙に元気なくなったし」
智樹は、その会話が聞こえてきて、少し驚いた。
自分たちのことを、そんなふうに見ていた人がいたのだ。
同級生は続けた。
「だから、今日こうやって二人が普通に話してるの見て、なんか嬉しいよ」
亮もその言葉を聞いていた。
少し照れたように笑う。
「……いろいろあったからね」
「まあ、そうだよな」
同級生は深く聞かなかった。
ただ、二人の肩を軽く叩いて言った。
「でも、今は仲良さそうでよかった」
智樹は亮を見る。
亮も智樹を見た。
二人とも、何も言わなかった。
けれど、その沈黙は昔とは違っていた。




