↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
僕の婚約者は人生2回目なのかもしれない。  作者: 織子


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
11/31

第十一話―少女たちの思惑




メロディ・カッサンドラ。彼女の悲劇の逸話は首都では有名だった。

一夜にして両親を失った事は人々から同情と憐れみを受けたが、侯爵家の養子となった事を羨む人が殆どだった。

ニ大公爵家に令嬢がいない今、帝国の貴族の中で、最も高貴な令嬢になったのだから。


侯爵家にもすぐに受け入れられ、侯爵家に相応しい装いをしたメロディを見て憐れむ人はいなくなった。同じ年頃の令嬢達は、なんとしても彼女の関心を得たいと取り巻くようになった。


リアナ・コーディ子爵令嬢も例外ではない。



初めて呼ばれたカッサンドラ侯爵邸でのお茶会で、リアナ・コーディは浮かれていた。


「リアナ嬢も、皇城のパーティーに参加されるのでしょう?」


メロディに一番に声をかけられたリアナは優越感に包まれた。コーディ子爵家は高位貴族ではないが、子爵領で質のいい毛皮を産出するようになり、皇帝の目に留まり今回のパーティーへ呼ばれた。


「え、ええ。私はコーディ家の長女ですから。カッサンドラ侯爵家からは、オリヴィエ様が行かれるようですね」


「そうなのです。それで、その……リアナ嬢、会場でお姉様に会うことがありましたら、お気をつけください。姉は、その……自分より身分の低い者には厳しいので……」

「えっ…」


震えながら言うメロディに、リアナは慌てた。オリヴィエがメロディに辛く当たっているとは噂に聞いていたが、事実だったのだろうか。


コーディ家が首都を訪れる機会は、これまでほとんどなかった。リアナの父が首都で新たな毛皮事業を始めることになり、一家で領地から出て来たばかりだ。


「わたしに忠告する為に、今日は呼んでくださったのですか?」


父や母にも、いきなり侯爵家のお茶会に呼ばれるなんて……と不思議がられていたが。


「はい。いきなりお姉様に会って驚かれてはいけないと思い……」


俯き加減に言うメロディは、とても可愛らしく見えた。


「メロディ嬢にも、オリヴィエ様は辛く当たられるのですか?」

リアナの言葉に、メロディは俯いたままだ。


(虐げられてる身なのに、私に忠告してくださるなんて。優しい方なのね)


「ご忠告、ありがとうございます。もし何か言われましたら、私も黙ってはおりませんわ!デビュタントを済ませた後ではそうもいきませんけれど、子供同士の諍いでしたら、大抵のことは大目に見ていただけますもの」


これには心当たりがあった。先日、ハワード伯爵邸に呼ばれた際に、二つ歳下の令息を泣かせてしまったのだ。父には叱られたが、侯爵夫人からは何も言われなかった。お咎めなしだったのだ。


リアナが意気揚々とそう言うと、メロディは朗らかな笑顔を見せた。


「まぁ……!リアナ嬢は勇ましい方なのね。私の助言など、必要ありませんでしたね」


メロディの笑顔に、同じテーブルを囲んでいた子どもたちも皆うっとりとメロディを見た。


「そうだわ。私がメロディ嬢のぶんもオリヴィエ様に恥をかかせてやります」


リアナの言葉に、テーブルの令嬢達は感嘆の声をあげた。


「強気ですね!リアナ嬢」

「オリヴィエ様にそんな事が出来る方がいるなんて」

「僕は次男なので見れそうにないです。残念です」


「まぁ。だめよ、リアナ嬢がお姉様に目をつけられてしまいます。危ない事はなさらないでね」

メロディが心配そうな声を出す。


リアナの冗談で場が和んだまま、子ども達のお茶会はお開きになった。



◇



「到着しました。お嬢様」


馬車の扉が開くと、侍従がエスコートの手を差し出している。

カッサンドラ邸から連れて来た侍従だが、皇城の前なのでさすがに礼を尽くしているようだ。


本来ならばエスコートする役目の兄のライボルトが手を差し出すはずなのだが、さっさと先に降りて行ってしまった。



入り口に立ち、皇城を見上げる。回帰前は皇太子妃教育やパーティーなどで通い慣れたものだが、この人生では初めて訪れる。


(皇城の門をくぐるのは、これで最後にしたいわね)


「オリヴィエ!」


いらいらとオリヴィエを呼ぶ侯爵に視線を向けた。


「グズグズするな。お前の今日の役目は分かっているな?」


「……はい。お父様」


オリヴィエは頷いた。もちろん父の言うとおりに動くつもりなど、さらさらない。オリヴィエの今日の目的は、問題を起こして皇太子の婚約者候補から外れることなのだから。



回帰前にも同じパーティーで問題を起こした。だから難しいことではないが、同じ問題は起こしたくなかった。


回帰前に起こした問題は、会場での口論。絡んで来た令嬢との口ゲンカが激しくなり、近くに居た皇女殿下のドレスを台無しにしてしまったのだ。


オリヴィエも侯爵にものすごく怒られたが、侯爵家の立場と、皇太子の婚約者であったことから、自身の謹慎と元々低かった評判が下がるだけだったが、相手の令嬢はそうではなかった。

あれ以来彼女を首都で見かけることはなかったし、家名も聞かなくなってしまった。


周りには迷惑をかけたくない。


(今回は私一人で問題を起こさないといけないわ)


オリヴィエは気を引き締めて会場へ入った。







読んでいただきありがとうございます。


いいね、ブクマ、☆☆☆☆☆など応援いただけると励みになります(^^)

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
話数が溜まってから読もうと思い今日から読み始めました。次の展開が気になりあっという間に最新話まで読んでしまいました。オリヴィエの境遇が辛く読み進める度に心臓がドキドキします。早くオリヴィエが幸せになる…
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。