第34倭 天神地祇人皇 此処に集いて 究極神呪直霊せん
その刻、厳かに慈愛を以って響き渡るは、「根源の国」より世界護りし紅蓮の父神の想い。
「統治之神威よ、今こそすべての存在と、『想い重ね、掌を取り合わん』とせよ!
まさに、『究極の神呪』を詠い直霊せん刻なり!」
スサノヲの波動が、凄まじい勢いで飛翔して近づいてくるのをオオトシは観じ取る。
彼と入れ替わる様に、天之磐船より地上へと、オオトシの霊体は舞い降りる。
そして聖塔に安置されていた自神の「神威之色身体」へと宿り直霊する。
「……舞い戻りしか……!
然らば此処が正念場なり!
地上之王よ、心して征くが良い……」
梵天王之代行者は新たなる地上之王に檄を飛ばす。
「……はい!
地上之王オオトシ、参ります……!」
オオトシは地上に降り立つと、真輝銀の剣を天へと翳す。
「父上! 天之磐船はお任せいたします!
何卒、『儀』に必要な氣力の集束と調律を!」
「うむ! 案ずるでない。
ここはわれに任せよ。
其方らは神呪に全てを注ぎ込まんとするが良い!
――統治之神威!
日超至火之王!
参るぞぉっ!!」
響き渡るスサノヲの咆哮。
遥か虚空、仏界の空へ浮かび上がるヤチホコ。
そこで放つ覚醒させし虚空の「神威之力」。
「我、世界之王たる『統治之神威 伊弉諾』が命ず!
すべて受け入れんと、此処に目覚め給え!
封よ、解き放たれよッ! 光明之世界乃虚空!!」
ヤチホコの絶唱で、瞬く間に際限なく拡大してゆく虚空。
それは、この惑星を呑み込まん程の、絶対的な「希望之神器」。
「我が……王とは……未だこれ程の差があるのか……!」
ミケヒコは、緋徒の身である自分には、到底達する事叶わない程の、途轍もなく強大なる神威に逡巡する。
その刻己の内より響く、力強くも優し気な助言。
「……左様。なれば我が裔よ……。
我、此処に一つ詠い直霊せん。
『閃光くは 身命と想い 火に焚べて 刹那の輝き 神超乃華』……!」
ミケヒコに呪縛されし火明が、笑みを湛え朗々と詠い上げる。
「始祖王よ、それは一体……?」
「我が裔よ……其方、我を何と観る?」
突然の詩、そして問い掛け……。
「何と、とは……。
まごう事無き『火の神威』……では?」
火明は不敵な笑みを浮かべ身震いさせる。
「……とくと観るが良い……! ぅぉぉおおおっ!!」
それは……夥しい数の……日向代々の英霊達の居並ぶ姿……。
「こ、これは……ま、まさか!?
ば、莫迦、げてる!」
火明は、最高に不敵に腹の底から大声をあげて笑い上げる。
「……神威なれば、根源神威に楯突けぬ。
天に上がり神威になりし刻、『書き込まれて』しまうであるからな!
故の……直向きに泥臭いまま……練り上げしが……!」
代々の英霊が一斉に叫ぶ。
「我々……『緋徒』なり!!」
およそ知り得る「緋徒」の範疇を超越した「火明」。
それは、先祖代々英霊達の、「想いの結晶」の力を宿した姿であった。
「……オレを日超至火之王へと目覚めさせし神呪……。
それは、『祖神顕現』……ではないの、か?」
ミケヒコは全く要領を得ず、火明に尋ねる。
「はっはっはっ!
我等は『神威』ではないので、な!
故の無理筋、故の刹那の煌き、故……緋徒なり!!
『境涯』が足りていない故の無理筋であり、故の……」
悟りしミケヒコの叫び。
「――『自由』か!!
何者にも縛られぬ……その為の故の」
火明は、感慨深そうに目を細め、頼もしそうに笑みを浮かべる。
「――恐れ入ったであるか!
先のルース殿然り、その前にも……」
想いが閃光となりミケヒコを劈く。
「――そうよ!
わたしも『百数える程』の刹那だけど……。
その間なら……わたしは……『想うが儘に無限』よ!!」
彼同様、いやそれ以下の単なる民衆の乙女である、ミチヒメからの「絶対の自負」。
「ミケヒコくん。私を観たまえ。
権能無きただの『民』だが、想い如何で無理筋徹せる!」
ルースから届く、彼を導かんとする助言。
「たかが『神威』なるぞ?
対する我が裔、其方の内に眠りし『無限乃希望』は」
火明の言の葉を継ぎ、七絃真理を滾らせる「如意宝珠乙女」の霊力付与。
「ミケヒコ! 我等が祖王の進言の通りでございます!
ワラワなど、民衆ですらありませぬ!
ですが、ワラワ達それぞれが胸中に抱く『無限乃希望』。
己の『想いの受け皿』……。
それこそが、此処まで成し得た、奇跡の『根源』でございます!
ワラワは『絶対の覚悟』で信じ上げます!
そなたは、我等が日向の――いえ!
『すべての民の希望』であると!」
「ミケヒコくん!
良いの、難しさなんていらないわ!
『神威』だろうと『告発の担い手』だろうと……。
想い籠めて全力でぶつかるのよ!!
それで開闢かれない道なんて……絶対にないわ!!!」
爆発的な氣力を迸らせて彼へと送るのは……。
もうひとりの民衆の希望、聖乙女ミチヒメ。
「がぁぁぁああっ!! 不甲斐ない!
すまぬ、ヒメ、ミチヒメ! ルースさま!
そして日向代々の英霊たちよ!
オレは……『すべてを護らんが為ならば、あらゆる力を欲す者』!!
オマエ達……いや、「そなた等」の想いも抱きて必ずや成し遂げん!!」
ミケヒコは迷いを振り祓い、力強く雄叫びを上げる。
「ぅぉぉおおおっ!!
日を超え、『神威』を超えんと猛り狂え!
『赫之紅蓮』!!」
爆発的に赫之紅蓮が迸る。
その火焔を観て火明も叫ぶ。
「今であるぞ! 先の詩、詠い直霊せよ!!」
「ぅぉぉぉおおっ!
『閃光くは 身命と想い 火に焚べて 刹那の輝き 神超乃華』!
これこそオレ達緋徒の矜持なり!!
目覚めよ! オレの内なる『無限乃希望』!!」
ミケヒコは限界を超えて紅蓮の流星となる。
己を「刹那の無限」に滾らせた、日超至火之王、ミケヒコ。
彼は一心不乱に聖塔最上四大王天、究極神呪の中心を目指す。
「今です、『人皇』よ!
すべての緋徒の、民衆の『王』よ!
貴方の先導で『あの神呪』を唱えます!!」
地上の「十丈の巨神」より響く、熱い想いの籠った「絶対の信頼」。
「ぅぉぉぉおおっ!!
『天神地祇人皇』! 此処に集いて、今まさに願い直霊せん!
世界に弥くすべての存在に、苦楽伴いし流転の果ての安寧を!
我が王ヤチホコ! 地上之王オオトシさま! いくぞぉっ!!」
身体中から赫之紅蓮を迸らせて、世界に響き渡るミケヒコの絶唱!
「征けい! 我が希望の末裔達よ!!」
スサノヲが操る天之磐船から莫大な氣力が押し寄せる!
「「「『天照国照彦天火明櫛玉饒速日尊』!!!」」」
天 (ヤチホコ)・地 (オオトシ)・人 (ミケヒコ)が、想い合わせ詠い直霊した瞬間、新たな宇宙が開闢かれる!
「おぉ……!――皆の!
ヤチホコ殿方へ! 己の全ての想いと力を!」
七絃輝かせ迸らせるヒメに導かれ、十界が己の権能を注ぎ込む。
そしてヤチホコは、天超飛翔神威之城へ願う。
「神威之城よ! この想いと絶唱を、弥く世界へと!」
「……了解しました。
これより、世界之王の想いと言の葉を、『神威之城』が増幅し、『天地を貫きし叡智の聖塔』を、「波動源」として遣い、極限増幅して世界各地へと伝えます……」
浄化されし城より響く返答。
「……任せるが良い……。
汝等の働きにて、今此処に、『城』も『聖塔』も完全に調律叶いしなり!
想うが儘、放たれるが良い!!」
遥か地上より、聖塔を伝わり響く梵天王之代行者の制御。
三柱が放った、地上から仏界までを繋ぐ希望の御柱は、皆の想い集まる程に巨大化してゆき、その輝きを鮮烈なまでに増してゆく……。
「……アビヒコ、全力で注ぎこみたまえ!」
ルースの掛け声で、新たなる真理の導き手として顕現した、アビヒコの莫大な氣力が、「先代」の想いと共に流れ込んでゆく。
「……わたくしも、私も、そしてボクも……!
全てを我が背の、『竜輝』達の神呪へと!」
スセリは、かつての「イザナミ」の如く、四氣王全てから氣力を呼び込んで放つ。
それはまさに、この惑星すべての生命の息吹。
「――負けられないわ! 師匠達!
わたしの『根源』のすべてを籠めるわ!」
ミチヒメの根源の氣力を、限界を超えて受け取った四獣王達が放つ。
「流石だわ! アタシたちも負けてられないわ……!
ぼうや! アタシの大地と『掌を取り合いて』!
一緒に行くわ! やぁっ!! 『慈愛之女神』!!」
微笑む赤子を抱く彼女が放つのは、稲穂の「黄金」と「純白」の大海の氣力。
それを「掌を取り合いて」溶け合い直霊し、慈愛と豊饒の「白金」の波動として放つ。
「――アンタも! ミヅチィッ! そして……『瑞月』ィィッ!!」
陽の究極、白金の九尾を震わせる、倉稲之魂となったキクリからの絶唱。
「ハイですの(わかりました)ーっ!!
ミヅチの大海よ極まり猛るですのっ!
いーくーでーすーのーっ!!
『水龍神瀑布』-っ!!!
――そして『私』も征きます! 『鏡水乃湖月』ッ!!」
紺碧の強大な波濤が押し寄せる。
追いかける様に、陽光を照り返し鍛え直霊した、純白に煌く清廉にて凄絶な、眩い月光が迸る!
「素晴らしい。
ならばおれも……!
この惑星に弥くすべての波精霊神よ、我が声を聴き届け給え!
此処に『想いの限り』、霊力を注ぎ込み給え!」
タカヒコが、己の権能で世界中の「精霊神」に呼びかけて霊力を集束させる。
「ワタシが磨き直霊致しますわ!
極まり高まりて、輝け霊力!
真輝銀へと直霊せよ!!」
刹那、いつもの変成男子とは、まったく異なる、荘厳なる絶対的な姿を顕すミカツヒメ。
燃え盛る朱金の火焔を以って、霊力の極み「真輝銀」へと磨き直霊する。
「地上之王……!
そして彼の刻の生半な虚空……!
真に目覚めおったわ!!」
四大王天にて、彼等を眺めていたヴィジャーヤが、喜び露わに拳を突き上げる。
「……ヴィジャーヤよ、我等四大王の権能、『兜跋毘沙門天』に重ね直霊す故、すべてを籠めて其方が放つが良い!」
持国天からの「篤き進言」。
「持国天様、それは一体何故……?」
廣目天が後を継いで力強く頷き、「万象見抜きし千里眼」を輝かせる。
見い出したるは……まさに浄土の光景……。
「ヴィジャーヤよ、至極当然なり!
これからまさに『産まれ直霊』せんとするのは、『民』と『神威』が掌を取り合う世なり」
「左様である!
故、緋徒たる其方が想いをしかと籠めよ!!」
廣目天に続き増長天が、浄化の炎を滾らせて、熱く握り拳を突き出す。
「――ならば任せよ!
共に参ろう! 兜跋毘沙門天!
祖神顕現!!」
朗々と響き渡るヴィジャーヤの絶唱。
そこに籠められる四大王の神威。
「私たちからも!」
「我が神威への愛を籠めて!」
「私も!
私たちすべての想い、兜跋毘沙門天さまに重なり直霊ます!
お受け取り下さいませ!」
謙虚乙女と敬愛乙女も、己のすべてを自身の神威へと捧げ、ヴィジャーヤへと送り届ける。
布施之乙女は……。
多聞天、双角武神、そして彼女の分身となったアワリティアの総ての氣力を纏め上げて、兜跋毘沙門天を徹しヴィジャーヤへと捧げる。
「民と緋徒の王が一、ヴィジャーヤ=キールティ!
今此処に、余の預かりし、持ち得るすべてを捧げ直霊せん!!
おおおっ! 『四大之極龍波』!!」
その奇跡の光景を、慈しみを籠め、眼を細めて見惚れる二柱。
「……素晴らしいですわね、英雄之神威……」
「まさに……。
彼の刻に、余が無理筋徹し開闢かれし『因果』……。
此処に大輪の白蓮華と成りて咲き誇らん……!
――余も参ろう!
『清廉之神女』よ……。
其方の神威を以って余を『民衆』へ直霊せよ!」
「ラ、英雄之神威……!?
そう、そうなのですね……。
承知いたしましたわ!
神威之力! 『流転反魂』!!
『我が背』、此処に詠い直霊せん!」
朗々と詠い上げる清廉之神女。
観る間に、彼の真輝銀に輝く髪が肌同様の褐色へと変貌する。
瞳に宿る「紅玉の神瞳」が、静かに紺碧へと、紅の輝きを鎮めてゆく。
「――実に不可思議なり!
何ゆえかは解り兼ねるであるが、心地良き事この上なきなり! いざ!」
民の姿のラーマは……迷わず天より「舞い落ちる」!
「もう……心配させないで欲しいですわ……!」
呆れ顔を一瞬みせるも、シータは愛おしそうに彼を見つめる。
そして彼を包み込む一陣の「大凬」。
それは穏やかな「竜巻と成りて」彼を優しく大地へと降ろす。
「ははっ! すまぬすまぬ!
そなたならば『必ずや』の想い抱きし故なり……!」
遥かなる天空を見つめラーマは笑みを浮かべ掌を振る。
「……まさに無理筋徹せし『先代』なり……。
その想い、素晴らしきなり」
ラーマが降り立ったのは……聖塔の扉の前。
程無く出て来たのは「梵天王之代行者」。
彼はラーマの破天荒ぶりに喜びを隠せない。
「して、ここから……『民衆』として放つつもりで……あるな?」
いつになく、不敵な笑みを浮かべる梵天王之代行者。
「――あぁ! 世界之王、地上之王に並びて……。
『人皇』が……。
あれほど無理筋徹す姿を見せ付けてくれたんだ!
応えるしかなかろう!!
参る! シータよ!!」
天空より巻き起こる一陣の深碧の大凬。
「はぁぁぁああっ!! 目っ覚っめっよっ! 虚・空ーッ!!」
その死力を尽くした絶唱は、遥かなる虚空、仏界まで轟く。
「ま、ま、まさか!?
ラ、ラーマ『お兄さま』!!
――こ、この気配! 民衆!?
なら……それなら……!!」
驚嘆するも、すぐさま察してミチヒメは拳を握りしめ、全力で猛る。
「啊啊啊啊啊啊っ!! 我が根源の氣力よ!
民の姿のラーマお兄さまに、無理筋徹させ給えっ!
究極付与生氣呪!!」
遥かなる仏界の虚空にいる、「魂の妹」から降り注ぐ、驚天動地の氣力の暴威!
「ミチヒメ、流石なり!
――ならば足りぬ『霊力』、我が補い直霊せん!
究極付与神威霊呪!!」
満面の笑みを湛え、拳を握り締めて放つ梵天王之代行者の「神呪の絶唱」。
「我が虚空よ!
極まりて光明之世界と直霊せよ!
そして此処に、無理筋徹し給え!!
顕現!! 『神威之垂迹』!!!
逆巻きて放たれよ!
はぁぁぁああっ!! 『鎮呪乃神呪』!!!」
かつて城を支配していた黒幕を封じ直霊した究極の権能。
今、ウタラの身にて無理筋徹し顕現したラーマが、「鎮呪乃神呪」の莫大な権能を、逆巻きて想い籠めて放つ!
「――緋徒の……民衆の想念……。
危うく……儚くも……なんて強いのかしら……!」
迸る波動に見惚れたシータから、思わず漏れる感嘆。
波動を観じ、神智都にて拳を突き上げ喜ぶ姿。
「やりおったか統治之神威よ。
そしてラーマ、『民』の身となりて……無理筋徹し放ったであるか!
しからばこの敬虔転輪聖王の全力も捧げんとしよう!」
カニシカは力強い笑みを浮かべ拳を振り翳す。
その様を見つめ、権能を喪った純潔乙女と、権能で翻り直霊した光輝
が掌を取り合って想いを籠める。
「お受け取り下さい……私達のこの『想い』も……!」
続けて眩い紫電が迸る。
それは、精進乙女の放つ磨き上げられた氣力。
「あれから楽しく精進しているわ!
受け取って!
あなた達に救ってもらい、私が懸命に育んだこの権能を!」
「海出自之帝さま!
お受け取り下さい、付与霊呪!」
大秦中に響き渡る、甘やかで清廉ながら、真寧なる善男乃子の絶唱。
「有難き! いざ参らん!
ぬぅぅっ!! 祖神顕現!!
我らが主神よ! 雷霆と共に!!」
顕現した天空之神威から、輝く白雷が迸る!
そして安息より来訪していた、秋帆のように輝く髪に、悋気に袖を引かれるも、思わず見惚れる。
見つめられた真理之神授者は、しなやかに髪を揺らしながら清廉な微笑を湛える。
「ふふ、さすがですね!
では……大いなる真理乃神よ、わが胸に宿り直霊給え!
祖神顕現!!」
迸る真理の火焔。
その炎も「全なる一」を目指し導かれてゆく……。
ヴィジャーヤ不在の、王子授乳せし大地……。
国を託され護りし班勇、そして純陀。
「ないだってみんななんまらすごいべさ!
よしゃっ! 『わしゃ』さ打ち直霊すれ!
思念金乃槌!!
いっくべさぁっ! 神威顕現《カムイ=エウン》!」
純陀は、紅蓮の瞳を輝かせ、一瞬だけウガヤばりの巨躯に直霊する。
そして凄まじい氣力を放つ!
「素晴らしき熱き想いたち!
某も負けておられぬ!
六百遡りし刻より封ぜし神威、今此処に解き放たん!
推して参る! 神威顕現《カムイ=エウン》!」
いつもと異なる純白の熱き風を吹き上げ、巨大な白猿神へと顕現した班勇。
横の隻眼巨躯の神威に倣い、今迄の間、遥かな刻を超えて溜め込んだ強力な神威。
そのすべてを一陣の白き神風として力強く放つ。
「今こそ我等が神威、顕し直霊せん刻でござりまするな!
北の主神殿!」
「んだべさ!
おめぇさんもよっく解ってきて、なんまらイイ感じだべさ!」
神呪の波動は、さらに砂の海を翔け抜けて征く。
「おぉ! 然らば、正しき強き想いを籠め……生氣究極発勁!!」
砂の海に生命を芽吹かせんと、精進していたヴァジュラ達が、二柱揃い踏みで強烈な勁を送る。
それは、民を真寧に慮る想い。
「此度こそ、余の全て猛らせん刻なり。
猛りて注がん! 『火焔旋風』!!」
カルマ王から爆発的に巻き起こる火焔の竜巻が、御柱目掛け飛翔していく。
「任せましたぞ……我らが『英雄王』の継承者……!」
「遂にこの神呪を、最高の形で放ちしか!
女媧よ、我等も共に詠い直霊せん!」
法理之城に覆われた大地すべてから、莫大な氣力が御柱へと注ぎ込まれてゆく。
「……ヤチホコ、オオトシ……ミケヒコ!
あぁ、今まさに……。
ならばわたくしもすべての想い籠めさせていただきましょう……!
発動、『原初乃八卦』!!」
向津日霊女は、「ヒルメ」ならぬ民衆の身に、限界を超えた権能を迸らせる!
「い、今まさに我らが悲願達成せん!
『我が背』よ!
あとはお任せいたしましたぁっ!」
彼女は想いを籠めて算木を振り切る。
「……任せるが良い。
すでに集まりし氣力は、『全なる一』へと、練り上げ直霊されしなり!」
スサノヲは、力強い慈愛の笑みを浮かべる。
「法理之城」を通じて向津日霊女の下へ想いが届く。
それを受けた彼女は、さらに権能を迸らせ、彼の元へと想いを猛らせる。
「……ヤチホコ……とうとう叶えし、か……!
然らば、ぬぅん!!」
ウガヤは、遠く西天の御柱を見据え、スサノヲの再来と言われし莫大な氣力を全力で放出する。
「鏡水顕導神!
我等が『希望之神器』、徒率いて極みの神呪を放つまでに……!」
九姿異祢沱乃日霊女は、歓喜の涙を浮かべながら大海の氣力を放出する。
「……実に素晴らしきかな。
そして成し遂げたりか……ミヅチに瑞月よ……!
新たに詠い直霊されし統治之神威。
四氣王の理を超え、我が個なる神威も捧げよう!」
鏡水顕導神は嬉しそうに頭を垂れ、爆発的に水龍瀑布を逆巻いて強烈に放つ。
「とうとう来ましたわよあなた!
あたしたちも……はぁっ!」
「其方の如く滾りおるわ!
久方ぶりの全解放……!
大地よ、水に住まいを!
火に我が権能を捧げ猛らせん事を!!」
意宇之國貴は、横のタギリに当てられるように、大地の氣力を極限まで滾らせる。
「我が子等よ……。
誇るべき『十界の顕現』よ……。
先の世に幸あらんこと、確信を以って待ち侘びんとしよう!」
七絃に輝き朱金の迸る天蓋を、力強く笑みを浮かべ意宇之國貴は眺める。
「……愛すべき我が子『告発の担い手』……。
さぁ、共に 『掌を取り合いて』詠いましょう……!」
我に還った告発の担い手は、現状を観じとり驚愕する。
「……これが……想い……想念……!
ならば、我が秩序も管理も元より必要など……」
ゆっくりと首を横に振り、優しく微笑みを湛えて創世之女神は応える。
「この想いが力を成す為の、『理を護りし存在』こそが、貴方なのです……。
『わたくしの愛すべき息子』、サタンや……」
「……愛、すべき……『理を……護りし存在』……」
アシュナ)は神威で顕現させた想いの掌で、サタンを優しく抱擁する。
「……至らぬ母でごめんなさい……。
でも、『これからも』貴方の力を貸して下さりますか……?」
その言の葉を聞いた瞬間……サタン自神が詠い直霊されてゆく……。
「おいきなさい……。
そして必ずや母のもとへ……還りなさい……」
顕現せし御柱へ、全てを注ぎ込みに飛翔していった告発の担い手。
その還りを信じてアシュナンは、慈しみを籠めた笑みで見送る。
最後、サタンを受け入れた瞬間、天地を貫きし御柱は、この惑星を超えて「星々之海」を翔け廻り、遥かな次元の中心へと繋がってゆく。
今、ヤチホコ達が想い籠めてr詠い直霊し歩みの全てが、「真なる十界」へと、余りし処と足りなき処を重ね嵌め合うかの如く、納まりゆく。
瞬間、十界の顕現達をはじめ、全員の胸中を翔け抜ける想念……。
それは……この星の海の開闢まりから、今に至るまでの、すべての存在の想念の記憶……。
あらゆる魂の歩みを刻む「大いなる真理」の想いであった……。




