詩片の狭間 番外編 『流転之理(ことわり)(五大権能相関図)』
神前比武に向けての修行中、ヤチホコはウガヤより氣力の肝要を伝授されていた。
それは、世界の権能の理を顕すものであり、遣いし氣力は須らくこの法則に準えると。
(――そうか、こうなっていたのか、この世界の権能は……!)
今一度、ヤチホコは己の頭に強くあの理を想い描く。
「……雷鳥、これをまとめて紙に記す事叶いますか?」
「……可能です。それでは一度確認を兼ねて綴りますので、提示した内容をご確認ください……」
ヤチホコは、操舵の座の薄膜へ映し出された内容を確認する。
「……そうか、あの刻のキクリ姉とミヅチちゃんがまさに……!」
「……その通りです。相生を更に想念者が受容・増幅したのです。完璧な理の運用です……」
ヤチホコが確認したのを見届け、雷鳥が紙に記すと、掌にして眺め、ミチヒメが頷く。
「……こんな風に記してまとめられるなんて、流石、ね。わたしもこの理を掴むまでは、かなりの錬を積んだわ」
窓の外、流れゆく雲海を眺め、ミチヒメは彼の刻を懐かしむ。遥か過去に跳び、英雄王と共に成し遂げた冒険の日々。その中で掴みし己の究極技。
今、彼女の横には、未完成ながら同様の想いと眼差しを持つヤチホコがいる。
「きっと今後、あらゆる事を遣いこなしきらないとならないと思う。みんなにも見せてあげると良いわ」
己と世界の関りを今一度噛み締めて、ヤチホコは雷鳥を、夕闇だけではない昏さを湛えた西域へと羽ばたかせた。




