↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
神威(カムイ)の流転と聖なる詩片  作者: カムイ ピリマ(神はひそかに教える)
第弐部 『時空を超えし幻の軍勢』ラーマーヤナ(一書)編――秘幻乃神謡 其之壱 昔日英雄乃詩――
101/102

詩片の夢 神威之文明に顕る想念英雄(イ・クレスイェ)

――『狭間』とは御柱前に詠う詩、還りし後は『夢』と直霊せん――


――此度、『夢』を詠い直霊せん――



 先の古代國は遥かいにしえの神話となり、神威と民衆が掌を取り合い、神威之文明(カムイ=ウタラ)として刻は進み征く。

 小さな鉢にて育った朝顔。

 其処に宿りし二体の、この世の理を助く存在、精霊神(ヤオヨロズ)。


「よぉしっ! これでどうだっ!」


 小さな子供のヤオヨロズが、葉の上で飛び跳ね、あらん限りで朝顔を吹奏し、高らかに福音を響かせる。


「とっても良いわ廣念(セルス)!

 来たわ!

 弥音舞(ネンノピッタ)にも降りて来たわよ!」


 弥音舞(ネンノピッタ)と名乗るヤオヨロズの乙女に降り注ぐ、緋緋色金(ヒヒイロカネ)の花吹雪。

 昂る想いに頬を紅潮させ、セルスの奏でる音色に合わせ彼女は華麗に舞う。


「廻れ廻れ輪廻の輪!

 次なる生へ祝福を……破魔神反呪(ホリピ)!」


 まさに神がかり的な美しさ。

 その情熱的で真寧な舞は、未だ浮かばれぬ彷徨う魂達に道を示し、歓喜と共に天へ還して逝く。


「……とっても素敵だよ弥音舞(ネンノピッタ)。

 でも、あんまり激しく踊ると下帯が丸見えだから、気を付けて」


 少しだけ照れて視線を逸らし、セルスは大胆な彼女を心配する。


「まぁおませさん!

 大丈夫よ、これは神聖なる舞。

 そんな想念(イレンカ)で誰も観ないわ」


 晴れやかな彼女の笑みにセルスはひとまず安心する。


(そうなんだろうけどね……。

 間近であの舞を観たら、善男乃子(ヲノコ)ならだれでも『想い』乱されるよ、本当……)


「なぁに廣念(セルス)ったら!

 大丈夫よ、ネンノピッタ、そんな想い全くないもの」


 真寧なる想いなくば神舞とはならない。

 当然よとばかりに彼女は自身の胸を軽く叩く。


「うん。

 みんながきれいに輪を廻り、この大地(モシリ)に新たなる想念(イレンカ)を注ぎ育むよう祈っておくよ」


 そう想い籠めてセルスが朝顔を吹き鳴らそうとした刻、突如虚空に顕れた裂け目より、昏き闇が噴き出て来る。

 そして世界から光が喪われてゆく。


「な、なんだあれは!

 この御柱に護られてた世界に、あんなものが出て来るなんて!」


 古代の神々の尽力により、平和の象徴「御柱」に護られし世界。

 この世においてあまりに異質な禍々しき闇。


「本当だわ!

 民と神威が掌を取り合うこの「神威之文明(カムイ=ウタラ)」の中、余りにおかしいわあの闇!」


 ネンノピッタも、未だ噴き出し続けている昏き闇を見つめ戦慄く。


《精霊神(ヤオヨロズ)達よ……。

 案ずることはない。

 今おれが裂け目を封じよう。

 暫し待つが良い……むぅん!》


 遥かなる天空より響く神威之啓示(カムイピリマ)。


「あぁ!

 あれはぼく等の王さま!

 精霊王、『猛ル宗像之(タケルムナカタノ)大王(・オオキミ)』さまのお声だ!」


 セルスは喜び露わに飛び跳ねる。

 観る間に巨大な神威が上空に顕現する。

 彼はその逞しい両腕を自身の前で重ね、神威を集束させ勢い良く放つ。


「万象を護り徹せ!

 深山神威(ヲヲヤマツミ)!!」


 瞬く間に、見渡す限り盤石の大地の天蓋に覆われてゆく。


「すごいすごい!

 流石ぼく等を育んでくださる大地の神威さま!」


 喜び踊る彼の元、耳元に纏わりつく、彼とは全く異なる「神威之啓示」……。


「オマエ五月蠅いね。

 邪魔者は滅すると良いよ……!」


 瞬間炸裂する漆黒の雷光。

 悲鳴を上げる間もなくセルスは誰かに突き飛ばされる。


「痛っ――ネンノピッタ!!」


 近づく事すら敵わぬ無慈悲にして峻烈なる雷。

 その迸る爆雷の中、セルスの身代わりになり、静かに悲し気に微笑む乙女。


「……ごめん廣念(セルス)……。

 先に……『輪を廻る』……わ……」


 彼女の姿が見えなくなるほど雷光が強まり、弾け飛ぶ瞬間齎される絶望(ピリマ)。


「何言ってるんだ?

 この完全抹消(ロウ・レベル)、魂ごと消滅させるよ?

 まぁ安心しなよ。ほら」


 視線を促す混沌とした昏き闇。

 崩れ逝き光の粒子と化した彼女を、受け入れて天へ還す大いなる存在。


「観ての通りさ。

 彼女は自由意思を喪い、全なる一へと還り、新たなる存在へと造り変えられてゆく。

 喪くなる事はない。

 その存在の重さはこれからも遣うから。

 姿も想いもどうでも良いが、魂の重さは遺るし、それで問題ない」


 闇は、静かに這い寄ったかと想うと、虚空に浮かび上がり、例えようもない形へ絶えず変化しながら蠢いている。


「ほら……完全に滅して還って逝く……。

この刻ばかりはすべての存在が綺麗に観える……」


 溢れる涙を構いもせず、セルスは跳び掛かろうとするも、小さな彼では届くべくもない。


「キミは変わった精霊神(ヤオヨロズ)だね。

 『歯車』は『歯車』」らしく廻っていればいいのに……。

 なんか、目障り。

 君も消えておくか?」


 混沌として蠢く彼の中から、腕の様なものが伸びあがって天へ翳される。


「――させぬ!

 我等が神威よ!!」


 「猛ル宗像之大王」の裂帛の気合。

 齎される緋緋色金の閃光。

 光の中から産まれ直霊するは、輝く真輝銀の長髪を棚引かせ、煌く法衣を纏い、紅玉の神瞳(アラフレ=インカラ)の瑞光を発する万象の父神、統治之神威 弥致鉾《シュメールカムイヤチホコ。


《……理を捻じ曲げる者は許しません……》


 彼は、自然に輝く「紅玉の神瞳」で混沌を見据える。

 それだけで噴き出てきた昏き闇が「浄化」されゆく。

 続けざまに蠢く混沌たる彼自身も、次元の裂け目へと、この世界から追い出されてしまう。


「すまぬ。

 助かった、ありがとうヤチホコ」


 彼は統治之神威に向かい深々と長揖する。

 そして猛ル宗像之大王の顕現を解き、褐色の肌の屈強な青年の姿へ還る。

 彼の傍へ降り立ち、実の身へと顕現する統治之神威。

 

「礼には及びませんよタカヒコ義兄さん。

 それよりも、あの精霊神(ヤオヨロズ)……」


 昏き闇は消え去り、混沌たる存在も吹き飛ばされた。

 だが、統治之神威の浄化の波動でも、ネンノピッタはもとに還らない。


「……ヒメさん、これは一体如何なる事でしょう……?」


 ヤチホコの掌から、七絃に輝く虹光が迸り、神威之巫女が一柱顕れる。

 万象を見抜き先世を見据える、如意宝珠(イレンカ・タㇰ)の乙女、ヒメ。


「お久しゅうございます我が崇敬すべき神威殿。

 ……これは、執念(イレンカ)による呪詛……!」


 彼女は自神が持つ、万象を見抜く真理眼(シンノ=インカラ)を輝かせ驚愕する。


「恐らくは……聡き石版(ラムアン・ピリマ)を通じ集まりし物かと」


 自身の想いの儘、欲する事象を顕す事叶う「聡き石版」。

 そのもう一つの機能、「想いを送る」事により齎された魂の侵蝕であると彼女は告げる。


「……同じ権能を用い、『善かれの想念』を集め直霊すれば、彼女もいずれ癒し直霊され黄泉還る事叶うでしょう」


 固唾を呑んで傍で聴いていた廣念(セルス)。


「神威さま方……。

 ぼく、どうしたら弥音舞(ネンノピッタ)を救ってあげられるの?」


「光あれば闇あり。

 禍々しき想念(ウェンイレンカ)あれば善かれの想念(イレンカ)あり。

 この世は須らく、陰陽の番による調和によって保たれております。

 故、其方が『陽』の体現者となり、『禍々しき想念』に蝕まれし彼女を『陰』の体現者と直霊し、『陰陽抱きし民の希望の顕現』となりて、この世に蔓延る怪異を祓い浄めて征くのです!」


 ヒメから齎される途轍もない道筋。

 セルスは想い折れそうになるも、消え去りそうなネンノピッタを観て、己の想いを奮い立たせる。


「ぼくは単なるヤオヨロズ。

 なんの権能も無い。

 でも、でも……!

 ネンノピッタを救いたい!

 この想念(イレンカ)だけは誰にも負けません!!」


 静かに厳かに、そして冷徹に微笑むヒメ。


「よろしいでしょう。

 今の覚悟の想念(イレンカ)、努々お忘れなき様。

 『他者を慮り、己を鼓舞し立ち上がらんとする者』……。

 其れこそが、いにしえの英雄に連なりし者でございます!

 そして……」


 彼女は虚空に幻像を浮かび上がらせる。

 それは、聡き石版に向かい「善かれの想念」を送る民衆(ウタラ)……。


「彼等の想いを重ね合わせて纏め上げ、見事『産まれ直霊(なおひ)』するのです……!」


 ヒメが言うには、「善かれの想い」により、権能の身体を得られ現世に行使叶うと。


「神威ならぬ緋徒(フィト)の境涯の其方……。

 緋徒の極み、『聖仙之色身体(アスカンネ=ケゥエ)』となり、民の希望の英雄となられよ!」


 その刻、先の昏き闇の残滓に「禍々しき想念」が集まり、徐々に形を成して具現化してゆく。


「潜土蛇竜(トィヤラサラゥス)!!

 此の現世に!?」


 その獰猛なる姿に戦慄くセルスに対し、静かに響く統治之神威からの神威之啓示。


「……僕達が動くと『御柱』が揺らぎを起こしてしまい、この世全てに問題が産まれ直霊してしまいます。

 廣念(セルス)さん……。

 あなたが弥音舞(ネンノピッタ)さん……。

 彼女へ抱く想念(イレンカ)で、あの潜土蛇竜を『癒し直霊』して下さい……」


 彼が言い終えると共に、天空より静かに舞い降りる金色の法輪。


「……これは金剛法輪(イレンカアカム)です……」


 静かにタカヒコの頭上にて輝く。

 すると消耗した彼の疲れが、「存在しなかった」かの様に癒されてゆく。


「えぇ!

 王さまの疲れが……消えちゃった……?」


 静かに優し気に統治之神威は頷く。


「その通りです。

 この法輪には、『刻を逆巻かせる』権能があります。

 皆さんの想念(イレンカ)を集め、法輪を発動させてください……。

 そして刹那の刻、今世へと黄泉還る彼女と掌を取り合い、想いを重ね合わせて祈るのです……」


 全く理解が及ばない。

 解る事は、これを遣ったら一刻彼女に逢える事。

 そしてふたりで祈ればあれをどうにかできる事。


「全然何もわからない。

 でも、弥音舞(ネンノピッタ)に逢える、ふたりでなら何とか出来る!

 それだけは分かったよ!」


 静かに降り注ぐ緋緋色金(ヒヒイロカネ)の花吹雪。


「あぁ! これってさっきの!」


 世界の民の善かれの想い籠められた花弁が一片、また一片と彼女へ降り積もる。

 観る間に彼女の存在力が膨れ上がり、実の身体を形造ってゆく。

 花弁に籠められた神威の想いと共に、彼女の胸に吸い込まれてゆく。


「……わかったわ……!

 廣念(セルス)……良いわね?

 刻が無いわ、行くわよ!!」


 具現化して開口一番、弥音舞(ネンノピッタ)が齎す覚悟《ピリマ》。


「ネ、弥音舞(ネンノピッタ)!

 嬉しいよ!

 え? わ、わかった! 行くよ!

 で、でもどうやれば……?」


 静かに微笑みを湛えネンノピッタが近づいてくる。

 静かに額を重ね合わせ寄り添う。


「難しく考えないで。

 強く『想う』、それだけで良いの。

 だってここは……神威さま達が創って下さった『想い即現る』世界だもの!」


 彼女の言葉に意を決し、セルスも全霊で祈る。


「……これを皆へ届け直霊致しましょう!!

 雷鳥(フミルィ)殿!」


 ヒメの裂帛の咆哮。


「了解しましたわヒメ!

 『天地を貫きし叡智(ウパスクマ=エ=テメ)の聖塔(ン=アンキ)』!

 全世界へこの光景を!!」


 雷鳥の掛け声と共に聖塔目掛け雷光が迸る。

 受け取った聖塔は雷光を集束し強さを増して全方位へ放出する。

 それは、世界各地の聡き石版(ラムアン・ピリマ)の光紡ノ想念網(つうしん)を一刻絡め捕り、今此処に産まれ直霊しようとしている存在を万民へと届ける。


「え! な、なにこれ!

 新手の幻像……いや、これホンモノだ!」


「なんか健気ね、この精霊神(ヤオヨロズ)達……」


「こんな愛らしい姿で世界を護ってくれていたのか……!」


 その姿を観た多くの民から寄せられる、「好意と共感」の嵐。

 それは聖塔を通じヒメの眼を徹し彼等へと還されてゆく。


「――想い重なり産まれ直霊せよ!

 民の希望想念英雄(イ・クレスイェ)よ!!」


 セルスとネンノピッタが生命之法具、「如意宝珠(イレンカ・タㇰ)」と化す。

 彼等から伸び征く権能の道筋、眞理乃命脈。

 それは霊性乃身体へと直霊され、真輝銀の輝きを放つ。


「宜しいです、次なるは実の身体!

 顕れよ聖仙之色身体(アスカンネ=ケゥエ)!!」


 世界中から集まりし民の想い。

 それが今、ヒメの揮う指先を導とし、氣力を迸らせ、先の霊性乃身体と重なり直霊してゆく。


「……まさに『別たれし道筋の彼女』の如し!

 さぁ、目覚めよ、新たなる英雄!」


 見た目はしなやかで引き締まった青年。

 だが、その身体に性差はなく、逞しくも清廉かつ妖艶な気配(けわい)を纏う。


「まさに、この妖艶なる事こそ、民が神威を得た証左!」


 静かに立ち上がり宙に浮く彼が目覚め、自身を観て驚く。


「……こ、これは一体……?

 なんかぼく、凄く大きくなった気が……」


 眼を開けた瞬間、彼の本体が宿る「如意宝珠」とこの身体の眼が重なり合う。

 そして想うが儘に動く。


「さぁ、はじめて故長くは顕現叶いませぬ。

 臆する事無く彼の者を屠るのではなく、『祓い浄め直霊』してくるのです!」


 ヒメに言われ先程顕れた潜土蛇竜を見つめる。

 それだけで音を置き去りに眼前に降り立つ。


「うわぁ! なんて迅さ!

 ほんの少し『想い』籠めただけなのに……!」


 己の理解の範疇を軽々と凌駕する権能。

 彼は迷いを振り切って潜土蛇竜に向かう。


「大人しく元居た処へ還るんだ!」


 その想い籠めて暴れる蛇竜を捕まえる。

 すると明滅をはじめ藻掻き苦しむ。


「其の儘『無事還り給え』の想いで放つのです!」


 暴れる潜土蛇竜に必死にしがみつき、彼は想いを発する。

 如意宝珠へ集束する氣力。

 重なり直霊する霊力……。

 霊氣掌を取り合い産まれ直霊する、根源の輝力(メル=ストゥ=マゥェ)。


(今よセルス!

 ――こう!)


 頭の内に鳴り響き齎されるネンノピッタからの啓示(ピリマ)。


「――ネンノピッタ!

 うん、やってみるよ!」


 セルスは意を決して、彼女から教わった神呪を詠う。


「憐れなる蛇竜よ……。

 本宮へ還り安寧の眠りにつかんと我は願い給う!


 ――浄化之閃光(メル・ストゥ・ポタラ)!!」


 

 燦然と輝く眩い真輝銀(シキンナカネ)の閃光。

 それは蛇竜から、「禍々しき想念」のみを祓い浄める。

 静かに浮かび上がり還りゆく魂……。

 それは、道行く車に轢かれ、無念のまま彷徨っていた野鼠……。


「あんな小さな野鼠だったの……?」


 驚くセルスに、ヒメは静かに告げる。

 皆の想いは良きにつけ悪しきにつけ、この世界では大いなる力を齎すと。


「此度の件にて、皆、其方等の存在を認知いたしました。

 今後、恐らくは其方等を応援してくれる民達が顕れるでしょう」


 そしてそれこそが、この姿顕現させ、万象を祓い浄める権能を産み直霊する力になると。


「努々励まれよ!

 其方の伴侶を取り戻さんが為に!」


「な!?

 は、伴侶なんかじゃ……ううん、それ以上だよ!

 弥音舞(ネンノピッタ)は……ぼくのすべて……必ず還って来させてみせるさ!」


 「期待しているわ」彼女もそう言の葉を遺し静かに消えてゆく。


「待ってよ!

 行かないでよ! 弥音舞(ネンノピッタ)!!」


(……安心して。

 ネンノピッタは輪を廻らない、廻れないの……。

 あなたがこの姿になろうと『想いを抱いた』刻……。

 ネンノピッタは必ずあなたに寄り添いに来るわ

 だから……)


 最後、彼の耳元で囁くように遺りし想念(イレンカ)。


「――『寂しさに負けずがんばれ』、か。

 わかったよネンノピッタ!

 またいつか必ずふたりで楽しく踊りうたえるその日まで!」


 観ると頭上には晴れ渡る蒼穹。

 緋緋色金(ヒヒイロカネ)と真輝銀(シキンナカネ)の輝く粉雪を降らせ、至高の神威達は去ってゆく。


「そうさ。

 すでに安寧にしてくれているはずのこの世界。

 ぼく等だけできっと何とかしてみせるさ!」


 小さなヤオヨロズに戻ったセルスが、意識せず振り翳した小さな「左手」。


 かつて泥臭く直向きな想いですべてを成し遂げた万象の父神は、最上の慈しみを以て彼の想いの掌を、遥かなる虚空の彼方から見つめていた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。