第五章 二千一年目の「その時」
〇山麓の街・パニックの雑踏(夜・現在へ戻る)大気が赤く燃え上がり、世界の終わりを告げる警報音がけたたましく鳴り響く。超音速で落下してくる直径10kmの巨大隕石。空一面を覆い尽くす灼熱の火の玉。人々が悲鳴を上げて逃げ惑う中、あの三馬鹿トリオもなりふり構わず走り回っていた。
鉄頭「ひ、ヒィィィッ! 兄貴、マジで世界が終わるぞ!どこ逃げりゃいいんだよ!」
飛猿「無理だよ!地球ごと吹き飛ぶんだから逃げ場なんてねえよぉぉっ!」
雷虎「黙って走れ!クソッ……なんだよあの巨大な塊は!冗談じゃねえぞ!」
転びながらも必死に空を見上げる雷虎。その視線の先、赤く染まる雲霧山の山頂に、ちっぽけな二つの人影が立っているのが一瞬だけ見えた。
〇雲霧山・山頂(夜)圧倒的な熱風と衝撃波が押し寄せ、草木が瞬時に燃え盛る。
沈陽「……本当に、来たんだ」
顧長青「二千年間……誰も信じなかった『その日』が……今だ!」
沈陽が前に出ようとする。
沈陽「師匠! 第三式『破』で叩き割ります!」
顧長青「ダメだ! 壊したら無数の破片で地球が滅ぶ! 破壊など、この拳の本質ではない!」
沈陽「でも、あの質量ですよ!?壊さなきゃ止められない!」
顧長青「壊す必要はない!!ほんの少し……横へ押せ!!『破』のその先……衝撃を受け流し軌道を変える『天返し』こそが、この拳の真の姿だ!」
沈陽「……っ! 壊さずに……横へ!?それが……『天返し』……!」
顧長青は壁から剥ぎ取ってきた歴代の肖像画を、風に舞わせる。原始人、学者、武士、全員が空を見上げる一枚絵が閃光に照らされる。
顧長青「二千年間、我らはただ拳を振っていたのではない!力を競うのではなく、巨大な運命の方向を変えることだけを計算し続けてきた! 二千年の蓄積を信じろ!」
沈陽「……はいっ!!」




