設定:第2部第1章の追加魔術と新規登場人物まとめ
2023/10/10 連載開始致しました。
初投稿になりますのでゆるく読んで頂ければありがたい限りです。
なにとぞよろしくお願い致します。
〈 追 加 魔 術 〉
〇『転移陣』:ヴィオレッタがアルクスの言葉で研究を進めて刻んだ術式。ラービュラント大森林にある中でも長寿である万年樹と万年樹の500m以上にある洞同士を結ぶ転移術式。500kmの距離を一瞬にして埋める。
この『転移陣』が刻まれるまでの『転移陣』は100kmが精々だった為、ラービュラント大森林の横断時間が大幅に短縮されることとなった。
〇『念動術・括束』:隠れ里建造時、ヴィオレッタが物資を纏めて運ぶために各個に掛けていた『念動術』を束ねたもの。名称が雑な理由もヴィオレッタが面倒臭がったためである。
術をかけた対象をすべて手元で制御できるようにしているため魔力の多い者が使えば手荷物を全て浮かせていられる非常に便利な術。主にアルクスが使用。
〇『陸舟』:アルクスの独自魔術。ありそうでなかった術。土製の幅広いカヌーとゴムボートに近い形状の舟。ラービュラント大森林の横断中に何とか楽が出来ないかと考案されたもの。
凛華が冰でコースを造り、シルフィエーラが『精霊感応』を使う前提ではあるが、移動手段としては非常に安定している。森林内ではあえて底面とコースを接地させてスピードが上昇し過ぎないように調整していた。
ラービュラント大森林を抜けた後に使用した『陸舟』は底面にエッジを出すことでソリのように滑らせて使用した。
主な使用者はアルクスだが、隠れ里でヴィオレッタが使い出してからは隠れ里の大抵の者が使うようになった。
〇『燐晄』:ねだられたアルクスがシルフィエーラのためにカスタマイズした光属性の『気刃の術』。エーラの放った矢に光属性の熱量と速度が増すことで破壊力そのものが大幅強化されている。元が森人の闘気、つまり霊気から作られた光属性魔力なので、容易く鎧を灼き貫く。シルフィエーラ専用魔術であり、彼女のお気に入り。
・ 専用派生>>『燐晄一矢』:エーラの武器である複合弓を強弓型に変形させたときに使う『燐晄』。強弓で放たれた矢勢そのものが途轍もなく速いため、熱量の大幅増加と鏃の空気抵抗を抑えるように光り属性魔力を纏うよう調整された魔術。
放たれてしまえばエーラにも調整不可能な速度で目標へ飛翔し、着弾地点もろとも消し飛ばす。
・ 専用派生>>『燐晄縫駆』:上記の『燐晄』とコンセプトの異なるもう一つの『燐晄』。こちらはエーラが放てる追尾矢としての特性を最大限生かす為。鏃に光属性魔力が収束し、長大な針のような形状をとる。洋弓型で主に使用するが、和弓型でも問題なく機能する。
矢が縫うように奔り、先端に集中した光がその熱量で溶かし射貫く。エーラの弓の腕も合わされば、光がとんでもない速度で無軌道に駆けまわる光景を見ることになる。
〇『流幻冰鬼刃・流幻冰鬼槍』:『燐晄』と同じくねだられたアルクスが凛華のためにカスタマイズした冰属性の『気刃の術』。
アルの『蒼炎気刃』同様、鬼人族の闘気――鬼気を冰属性魔力に変換して尾重剣に纏わせる。発動させると重剣より一回りほど大きくなるが凛華の調整次第で分厚くしたり、剣先を伸ばしたりすることが可能。高密度の冰属性魔力によって触れたところから凍結させていく。例え死ななくとも触れた部位は凍傷になってしまう。
凛華が元々使っていた『冰気槍刃』は名称だけ変更された『気刃の術』だった。無駄に冰が太かったり、槍のように扱いたい場合には術を掛け直す必要があったりと制約が多く、また後述の『吸魔陣』が組み込まれていたため非常に燃費が悪かった。
流幻の名の表す通り、重剣から馬上槍のような形態へとスムーズな移行が可能になっている。一応大盾のようにも出来るのだが凛華はあまり使わない。
凛華専用魔術であり、彼女が最も好きな魔術。
〇『裂震牙』:シルフィエーラの『錬想顕現』から考案されたアルの独自。地面が一対の肉食獣のような顎となって対象を噛み砕く。ドリル状の牙を形成しているため、防具のない獣程度なら簡単に引き裂く。
アルの使用した『裂震牙・累』は上記の顎は大規模かつ多方面から中心部へ向けて収束するように弄っていた。
主にアルクスが使用するが頻度は低い。
〇『埋火』:魔族には馴染み深い一般的な魔術。手のひら大の火球を生成する。炎属性に適性が低い魔族なら大抵覚えている。
〇『吸魔陣』:初期の『気刃の術』に組み込まれていた独立駆動魔術。ひたすらに魔力を吸い上げ、その魔力を用いて術を維持する。それだけの機能しかないがゆえに人間の操魔核を鍛えるのに最適だと判明した。
〇『火炎槍』:帝国や王国で主流の定型術式。軍事術式とも呼ぶ。人の頭ほどの炎槍を投射する。非常に高い殺傷能力あり。
威力や効果範囲、投射速度をきちんと設定してあるため集団で用いやすい。ヴィオレッタ式魔術の対極にある術式。
武芸者で慣れた者などは威力や速度、範囲の項目を弄って用いることもしばしば。
〇『障岩壁』:上記と同様。分厚い岩で障壁を作る魔術。地面から吸い上げて形成する以上その地面の性質を強く受けやすいという特徴がある。
〇『雷閃花』:上記と同様。稲妻を広範囲に放出する魔術。投射する性質を持つ『火炎槍』や『水衝弾』と違い、飛距離は短いが破壊力はそれらを上回る。
現状ラウラが最も得意とする魔術。
〇『水衝弾』:上記と同様。拳大の水球を投射する。非殺傷魔術。大の大人でも頭に当てられれば一撃で昏倒するほどの威力を持つ。
〇連結霊装術式:大規模魔術。霊装に彫り込まれている術式と指揮官の指定した属性の魔晶石を使って起動する広範囲殲滅術式。神殿騎士もしくは霊装所持者の人数が多ければ多いほど威力と範囲が増大する。最低でも人員20名が必要。
・炎晶石派生>>『精霊の浄火』:炎の魔晶石を用いた巨大な火箭を形成する。衝撃力と爆発範囲なら前世の戦車を超える。
〇『裂咬掌』:『裂震牙』と『障岩壁』を用いて作った独自魔術。地面から出てきた岩の掌が対象を握り潰す。奇しくも『巨神の腕』とほぼ同じ大きさである。神殿騎士との戦闘後、アルが敵を殺傷することなく吹き飛ばす為に考案した魔術。
〇『蒼炎羽織・襲纏』:燃え盛る蒼炎のヴェールを幾重にも纏う魔術。アルクスが『蒼炎気刃』の刀身を己に見立てて完成させた。
つまり、幾重にも纏っている蒼炎の層はすべて闘気から成っている炎属性魔力。超高密度の蒼炎により、並大抵の属性魔力は一方的に掻き消され、『気刃の術』で作られた属性魔力すら圧し潰す。
全身から闘気を放出させる性質上、燃費が極悪と言っていいほどに悪い。アルでも瞬間的にしか使えない魔術となっているが、使えれば非常に強力な一手となる。
〈 聖 国 の 装 備 〉
〇霊装:聖国の一定以上の実力を持つ神殿騎士達が所持を許されている剣や弓、槍といった武具を指す。
細かくした精霊の雫(魔晶石)を散りばめるように配置している。握りや柄頭に主となる属性の魔晶石を嵌め込んで使用する。少量の魔力を用いるだけで属性魔力を放出し、彫り込まれている術式は連結霊装術式のためのものである。
〇聖霊装:聖国の古い偉人や英雄の『聖遺物』と呼ばれるものを使って造られた霊装又はそれそのもの。固有の能力を持ち、非常に強力。
・ 『巨神の腕』:魔力を籠めると前方に見えない巨大な魔力の右腕を形成する鎧小手。馬を掴めるほどの巨大さと潰せるほどの剛力が特徴。また装備者の実力に左右されない。
・ 『月朧の手』:完全に視認不可能な魔力の左手を形成する鎧小手。魔力の揺らぎすら見えない為、不意打ちや暗殺に向く。ただし、出力は装備者の腕力依存。
〈 新 規 登 場 人 物 ( 名 前 あ り ) 〉
〇ラウラ・シェーンベルグ:共和国交易都市ヴァリスフォルムの藩主ノーマン・シェーンベルグの娘。肩まで伸びたウェーブがかった朱髪に琥珀色の瞳。反魔族思想を植え付ける洗脳教育と人質として聖国の追手に捕らえられそうになっていたところでアルクス達と出会った。武器はシェーンベルグ家の家宝でもある杖剣。現在はアル達の一党仲間。
〇ソーニャ・アインホルン:上記のノーマン・シェーンベルグの養女。ノーマンの友人が遺した子供としてラウラと姉妹同然のように育てられた。明るい茶髪をそこそこ伸ばしているが凛華ほど長くない。
杖剣と同じくシェーンベルグ家にあった盾を贈られ、剣は紛失していたがダビドフ作の剣を打ってもらった。口調に反して線は細く、背もラウラよりは高いが凛華より低い。
〇ダビドフ・ラーク:ヴァルトシュタットの鉱人鍛冶師。隠れ里のキースの旧友らしく鉱人らしい鉱人。紙巻き煙草を好む。
〇『黒鉄の旋風』:人間4名、森人2名、計6名の一党。アルクス達と出会った時点で一党として三等級に昇級してひと月も経っていない。
・レーゲン:『黒鉄の旋風』頭目。ヴァルトシュタット出身の大刀使い。個人等級は三等級。闘気などを用いた近接戦を得意とする。同じ一党の仲間ハンナのことが気になっている。
・ハンナ:『黒鉄の旋風』副頭目。大都市出身の女性剣士。幅広直剣使い。個人では三等級。出がそこそこ良く、魔術なども齧っているので剣技と魔術を駆使した闘い方を得意とする。レーゲンの事を憎からず思っているが、今更恥ずかしいという理由で表には出していない。
・ケリア:『黒鉄の旋風』所属。森人の剣士で同一党内のプリムラの恋人。個人等級は三等級。風の精霊と共に戦うリズムを読ませない直剣での闘いが得意。
・プリムラ:『黒鉄の旋風』所属。森人の弓士でケリアの恋人。個人では三等級。シルフィエーラ同様、風を読んで不可避の矢を放つが、どちらかと言えば相手の動きを制限して矢を置くような戦い方を得意とする。
・ヨハン:『黒鉄の旋風』所属。直剣と盾を用いた堅実な闘い方を基本としているが、魔術も時折使う。個人で四等級。両親が元武芸者でエマの双子の兄。現在恋人募集中。
・エマ:『黒鉄の旋風』所属。槍と盾を用いた相手の間合いの外から攻める戦い方が基本。ヨハンの双子の妹。個人で四等級。兄同様魔術も使うが、闘気を一気に槍先に流して一点突破を狙う戦い方を好む。現在恋人募集中。
〇シルト家:アルクスの父ユリウスの実家であり、武芸都市ウィルデリッタルトの領主家。伯爵家。帝国は上から大公、公爵、侯爵、辺境伯、伯爵、子爵、男爵と別れており、上から5番目。
元々が皇族に敗した小国の騎士家であるため、そのままその地を治めることになった。武芸者を名乗って活動していた先祖がいるため民衆との距離が近く、支持も厚い。
>> トビアス・シルト:現ウィルデリッタルト領主。シルト家の次男。兄のユリウスとの仲は良く、自分自身も武芸者の認識票を持っているなど非常にシルト家の男児らしい一面を持つ。物腰は柔らかく、冷静な人物。アルクスが自分の親類だと一番に気付いた。
>> ランドルフ・シルト:前ウィルデリッタルト領主。自身の経験から長男であるユリウスの希望を尊重し、武芸者になる応援として剣と盾を贈ったりと話の分かる領主として長年ウィルデリッタルトを治めてきた人物。イリスに盾や槍の扱いを教えるのを楽しみにしている。
アルクスが自分の孫だとわかった時は激しく動揺したが、アルクスの中に息子の姿を見て確信した。
>> イリス・シルト:天真爛漫なアルクスの従妹。年齢は一つ違い。武芸者へかなりの憧れをもっており、アルクス達6人を兄や姉のように慕っている。
またアルとマルクガルムの稽古を見てかなり刺激を受けたらしく、最近は熱心に槍を練習したり魔術を学んだりしている。
>> メリッサ・シルト:ランドルフの妻。前領主夫人。穏やかな気性。ユリウスの死に一番ショックを受けていたが、6人が旅立った後隠れ里に招待されたときに気持ちの整理をつけた。義理の娘に当たるトリシャともリディアとも仲は良好。
>> リディア・シルト:トビアスの妻。現領主夫人。イリスと対照的に落ち着いた女性。良家の子女だが普通の貴族とは少々違うシルト家とかなり馴染んでいる。
アルクスの周囲を取り巻く人間関係に一番アンテナを張っているのがこの人物。
〇ディーノ・グレコ:聖国の準聖騎士。元は聖騎士であったが、ある一件を境に評価を落としてこの地位にいた。ディーノもアルクスもシルト家も預かり知らぬことだが、その一件とはユリウスが死亡した魔族狩りのことである。
序列が一つ上の聖騎士と神殿騎士達を引き連れて村を襲い、ユリウスに止められた。その時にユリウスの剣によって左目を失った。
図らずも二度も同じ剣でディーノは致命的な一撃を受けることになったのだが、死に際のディーノ以外は誰も知らない。
性格は残忍で元聖騎士らしく魔族への嫌悪感というより気分が良いからと言う理由で魔族を殺す。また自分より下の者を人形程度にしか思っておらず、焚きつけて扇動し失っても駒をなくしたという考え方をする。
アルクスの実力を見誤っていたことと、自身の聖霊装を見破られたため呆気なく死亡した。
〈 武 芸 者 等 級 一 覧 〉
武芸者と一口に言っても国ごとに認識が異なる。帝国では誇りある立派な職業として、王国では誰でもなれる職業として、共和国では質がピンキリの信頼性に難がある職業として見られている。聖国では認められていない。
また等級には個人の等級と一党の等級が分かれている。認識票は一党としての等級を表す素材が縁となり、中心部は個人の等級を表す素材で作られ、本人の名前と登録日、登録場所が刻印されている。
それぞれの等級を表した素材は以下の通り。また等級の審査は個人の武具防具すべて持ち込み可能。また宝石類は魔術の媒介や道具として非常に安価なものが多い。
・一等級:白金。滅多にいない等級であるため素材もかなり希少なものを使用している。滅多にいない理由はそこまで優秀な者なら国に仕えるよう交渉が行くからである。
・二等級:金。在野での一等級扱い。実力と実績のどちらも認められた者しかなれない。
・三等級:銀。登録が帝国内なら顔パスで関所を抜けられるくらいには信頼が置かれている等級。実力と実績の他にも人格や普段の依頼達成率も加味されて初めて昇級できる。二等級に上がる為の篩にかけられる為、審査はかなり厳しい。
・四等級:銅。登録日からなれる最上級の等級。実力と実績で昇級可能。人格や依頼への姿勢を重視されない最終ライン。
・五等級:黒鉄。中堅と呼ばれるくらいの等級。ここで終わる武芸者も多い。魔族が登録した場合、”魔法”があるためここらへんの等級からスタートする。
・六等級:水宝玉。一般的な帝国兵士がこのくらいの実力と言われている。可もなく不可もない程度。
・七等級:柘榴石。武装したチンピラ数人程度なら追い払える程度の実力。
・八等級:紫石英。帝国の新兵訓練を受けている者およそ16~18歳くらいの実力。新兵級とも呼ばれる。
・九等級:雪石。誰に師事することもなく訓練した人間16~18歳くらいの実力。素材である雪石は真っ白な建材として用いられるもの。
・十等級:木。武芸者登録が可能な12歳の特に訓練も受けていない人間の子供程度。素材が木である理由は、格の違いを理解させるためではなく、単に認識票を落としたり壊したり無くしたりといった紛失する自体がやたらと多いからである。
彫る手間も考えて刻印ではなく、焼印が刻まれている。小遣い稼ぎの子供も半数以上いる等級。
評価や応援等頂くと非常にうれしいです!
是非ともよろしくお願いします!




