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【10.9万PV 感謝!】日輪の半龍人  作者: 倉田 創藍
少年期ノ參 血の覚醒編

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11話 魔眼の能力(アルクス12歳の冬)

2023/10/10 連載開始致しました。


初投稿になりますのでゆるく読んで頂ければありがたい限りです。


今回はローテンポなお話ですが、なにとぞよろしくお願いいたします。

 場所はルミナス家。


 目を覚ましたアルクスは魔術の師であるヴィオレッタから、


「完全な形で龍眼が発現できるかもしれない」


 と、告げられて母に抱えられたまま、幼馴染3人や人虎族の双子の前で龍眼を発動させた。


 結果としてアルの龍眼は喜ばしいことに、”もどき”から龍人族の扱う完全な龍眼となっていたが、右眼は魔眼となってしまっていたらしい。


 現在はヴィオレッタの魔術を視たせいなのか視力ごと効力を失っている。


 現在、当のアルはといえば距離感が掴めず、時折溢しながらガツガツと食事をしているところだ。


 5日間も寝ていたうえに血を大量に流している。


 かつてないほどの空腹だったし、血肉になる食べ物を摂らなければ快復も遅いだろう。


 トリシャはその様子をどこか安堵したような、嬉しそうな笑顔で眺めている。


 凛華とシルフィエーラも『良かった』と目を合わせて笑った。


 何かが一つでも掛け違っていたら、この光景を二度と見れなくなるかもしれないところだったのだ。


 マルクガルムはアルの食事の勢いに「わかるわー。最近腹減るよなー」という顔でうんうん頷いていた。


 2人ともそろそろ本格的な成長期を迎えようとしている。


 トリシャがマルクの母マチルダと同じ悩みを抱える日もそう遠くはないだろう。


 ちなみに人虎族の双子エリオットとアニカも腹が空いていたのか、アルに釣られるように小さな口と手を一生懸命動かしてハグハグと昼食を頬張っていた。



 ~・~・~・~



 元々小食のヴィオレッタが茶杯を置いて口を開く。


「ふぅ、旨い昼食じゃった。トリシャよ、馳走になったのう」


「おそまつさま~」


「それで、アルよ。まだ視力は回復せぬか?」


「もぐっ? んんんっ! んぐっ! はい、まだ見えないです。魔眼ってどんなのですか? 違和感があるくらいでよくわかんなかったんですけど」


 アルは急いで口の中のものを呑み下して師へと問うた。


 さっきから魔眼魔眼と言われているがちっとも実感がない。というか発動してものの数秒で視力を失った。


 パニックにならなかったのが不思議なくらいだ。


「むぅ、それもそうじゃろうな。では説明するとしようかの。”魔眼”というのは読んで字の如く、魔力を込めることで様々な効力を発揮する瞳のことじゃ。効果は千差万別。人によって大きく異なり、この世で己と同じ魔眼を持つ者と出会うことはないと言われておる。それほどに多種多様じゃ」


 部屋の雰囲気が一気にいつもの講義めいてきた。


 アルは口をもごもご動かしながらも一言一句を聞き逃すまいと耳を傾ける。


 トリシャと幼馴染組はいつもの光景であるため特に何を言うこともないし、ついでに言えば魔眼について知りたいのはアルと同様なので大人しくしていた。


 エリオットとアニカは食後の茶を啜りながら『何だかまた難しそうな話になったねー』と顔を見合わせて黙っている。空気の読める双子だ。


「魔眼の発現――正確には”発眼”と呼ぶが、それに必要なのは正気を失うほど、それこそ脳が沸騰するのではないかと思うほどに強い強い感情の嵐じゃ。怒りでも、悲しみでも、喜びでも、時には痛みでも何でも構わぬが脳を内部から強く刺激するものが必要でな。その刺激によって無意識に魔力を用い、理を歪めて眼に力を宿す。それが魔眼じゃ。


 さっき(なれ)に言うたであろう? 死ぬ気じゃったな? と。一頭は道連れにしようとしておったなぞと軽く言うておったが、『己がどうなろうと殺し切る、それまでは生首になったとしても死んでやらぬ』と、そのくらい強い気概と覚悟を伴わねば”発眼”などまずせぬ。


 汝の強過ぎた感情が脳に作用したのじゃ。この大バカ弟子め、そういう時は何が何でも皆で逃げよ。まだ十二歳じゃろうが。勝手に死に急ぐでない、本当に肝が冷えたのじゃぞ」


 魔眼の説明から急にお叱りに変わったことで不意討ちを食らったアルは身体を小さく丸めた。


 母もその通りだとばかりに強く頷いている。


 アルが助けを求めて幼馴染組の方を見れば3人は窓の外へ、スッと視線を逸らした。


 この件に関わるつもりはないらしい。


「う? あ、えと、ご、ごめんなさい。その……刺されて動けなくていっぱいいっぱいだったから」


 頭を下げて言い訳を重ねてみる。


「「言い訳無用じゃ(よ)」」


 が、実母ともう一人の母は甘くなかった。


 双方からギンッと睨まれたアルは再度謝りつつ急いで話題をズラしにかかる。


「あぅ、ごめんなさい。もう二度としません……それで、この右眼ってどういう魔眼なんですか? ていうか魔眼ってどんなのがあるんですか?」


 しかし『ちゃんとわかってるのか?』という視線でアルをじいっと見つめるヴィオレッタとトリシャ。


 数秒の沈黙後、アルが居心地悪そうに冷や汗をかき始めたのを見て『やれやれ』といった風情でヴィオレッタが語り出した。


「まーったく……魔眼は様々あると言うたが大きく三つに分類することができる。魔力消費の多い順に説明していくとしよう。


 一つ目は魔力を大量に消費する代わりに、それに見合うだけの大きな効果を()()()()齎す魔眼じゃ。儂の知っておる中には魔力の三分の一を都度消費して視界内の場所ならどこへでも術式なしで転移する魔眼持ちがおった。『跳脚の瞳』などと呼ばれておったのう。


 二つ目は魔眼を発動し続けることで、己の肉体に常軌を逸するほどの強化を施し、変異型”魔法”のような効果を得ることが出来る――つまり()()()()()()効果を齎す魔眼じゃ。これは昔戦ったことがあるがかなり鬱陶しい奴じゃった。


 そして最後、三つ目は魔力消費が少なく本人の()()()()()()()()()()()()ものじゃ。儂の魔眼などもそれに当たる。そしてアル、汝の右眼もおそらくそうじゃ」


 トリシャと食後で眠くなっていた双子以外が思わず「えっ?」と耳を疑う。


「へ? 師匠、魔眼持ってるんですかっ?」


 暗くなっていた右眼も見開いてアルが身を乗り出した。幼馴染組も興味津々だ。


「うむ。両眼とも魔眼じゃよ」


「両眼とも!?」


 これにはアルより先にエーラが声を上げた。


「うむ。片方は儂を魔導師として大きく飛躍させてくれた。その名も『時明かしの魔眼』じゃ。術式を視れば魔力を流さずとも――つまり術式を起動させずともその効果や結果を詳細に視ることが出来る魔眼じゃ。その名の通り、この左眼だけは術の時を明かしておるのじゃよ」


 そう言うとヴィオレッタの左眼、その深紫の虹彩に金色(こんじき)の蜘蛛の巣模様が広がる。


「ずるい」


 アルは即座に口を尖らせた。自分は術式であんなに苦労しているというのに。


(チートってやつだ)


 するとヴィオレッタがクスクスと愉快そうに笑う。


 それに近しいことを言われることくらい予想できていたからだ。


「くふふ、アルからすればズルかろうな。じゃが少なくとも三百年はそんなものなしに研鑽を積んでおったのじゃ。そのくらい良かろ?」


 あやすような口調の師にアルは何も言えず唇を尖らせる。


「むぅ」


 でもやっぱりずるい。そう思う。


「もう一つはどんな魔眼なんですか?」


 そんなアルを無視して凛華が訊ねた。


「もう一つはもっと昔――それこそ百も超えぬ頃に発眼した。名づけもそのまま『冥瞳(めいどう)』という。死者の魂を見る、ただそれだけの魔眼じゃ」


 ヴィオレッタの右眼、深紫の綺麗な瞳に灰闇色の雲が掛かった。その雲は瞳孔をすっぽり覆い隠している。


 アルの動きがピタリと止まった。


「死、者……? じゃあ――」


「うむ、汝の父ユリウスの魂も見た。トリシャにも言うたがの、死した者の魂は長いこと現し世には居られぬ。瞬く間に薄れてしまうものでの。次元でも移すかのように消えてゆくのじゃ。じゃからユリウスはもうここにはおらぬ。そして、この眼は生者の魂を映さぬ。儂がこの眼でその姿を確認した者で、息を吹き返した者はただの一人もおらなんだ。仮令(たとえ)『時限逆行術式』を掛けたとしても、それだけは覆せぬ」


 ぽかんとする弟子の言わんとすることを察したヴィオレッタが先んじて述べる。


「そう、ですか……」


「すまぬのアル。死者の魂を呼び戻せる眼があれば、と儂も当時何度も嘆いたものじゃ」


 ――残念だ。


 そこに居て、視える人がいるのなら父と話せるかもしれないと思ったが、現実はそう甘くない。


 死人に口無しとはよく言ったものだ。


 魔術や魔法で溢れた世界でも生と死に関わる絶対のルールは不変らしい。


「……あ? 戻った。師匠、視力が戻りましたよ」


 そんなことを考えていたアルの視界が急に開けた。


 真紅の右瞳も明度を取り戻している。


「大体……一時間くらいってとこかしら?」


 トリシャが息子の眼を覗き込んで言う。なんとなく時間を測っていたらしい。


「そのくらいじゃの。とりあえず下手に『水鏡(みかがみ)』は使えぬな」


 師の言葉にアルは頷いた。


「もう一回使ってみます」


 次いで魔眼を発動させる。


 右眼の虹彩が押し広がり、放射状の青白い光が瞳孔へと吸い込まれるように奔り始めた。


此度(こたび)は龍眼を使わんかったか」


「なにか影響あるのかもって」


 弟子の返答にヴィオレッタがふむふむと頷く。


 凛華とエーラは「やっぱり綺麗ね」「ねー」なんて呑気に感想を述べている。


「なるほどの。龍眼と同時に発動できた時点で三つ目なのはわかっておったが、何かいつもと違うものが視えたりせぬかの?」


「うー……ん? んー、いや特にそういうのはないみたいです」


「俺見てなんか出たりしないのか?」


「なんかって言われてもなぁ。いつものマルクだよ」


 女子の会話に参加しなかったマルクがアルに己を視るように言ってみた。


 しかしやはりアルの見えている景色に変化は一つもない。2人は揃って首を傾げる。


 ヴィオレッタが「やはりやってみるしかないが、良いか?」とトリシャへ視線を飛ばす。


 一瞬きょとんとしたトリシャだったが親友の意図を察して問題ないと頷いた。


「アル、やはりもう一度『水鏡』を使ってみようと思う。間違いなく魔術に対して反応しておったからな。一時的な失明もその様子なら多少の時間を置けば回復することもわかったことじゃし、良いかの?」


「お願いします」


 アルがこくりと頷く。何が原因で失明するのかわかるだけでもめっけものだ。


「うむ。では……『水鏡』」


 ヴィオレッタが手を軽く叩き合わせる動きに連動して術式がパッと浮かび、手を開くのに合わせて水で出来た反射率の高い鏡が出現した。


 すぐにヴィオレッタとトリシャの視線がアルの魔眼に注がれる。


 だが今回はアルの右眼には変化が起こらず、流星が吸い込まれ続けていた。


 一時的な失明(エラー)が起こっていない。


「今回は大丈夫じゃったか。先程は何ぞ他にきっかけでもあったということかのぅ……?」


 パッと『水鏡』を空中に溶け散らせながら呟く師に弟子が「待った!」というように手を上げて口を開いた。


「師匠! もっかい! もっかい、今度はゆっくり見せてくれませんか?」


「む、何か視えたのか?」


「早すぎて視えなかったけど、それっぽいのが」


 これは答えがわかるのも時間の問題だろう。


 研究意欲を大いに湧かせたヴィオレッタがすうっと術式を描いて見せながら、意気揚揚と語り始める。


「ではしっかり術式を描きながらやってみるとしよう。『水鏡』は第一に空気中の水分を集める術式、第二でそれを空中に象らせる術式、最後に――」


「あっ、なるほど。水底に闇で覆いを作るんですね」


 ところが、最後の式の説明をしきる前にアルが遮った。


 ヴィオレッタが「おぉぅ?」とよくわからない声を上げて驚きを表現する。


 男性にはあまり使い道がない術式であるため『水鏡』を教えたことはない。


「『水鏡』はまだ説明したことはなかったはずじゃぞ?」


 戦闘に扱う場合にも更に派生させる(いじる)必要のある術式だ。


 何が見えたんだ? と視線で問う師へ、アルは自分の右眼(魔眼)に視えたものを話す。


「たぶんこの魔眼()は、魔術鍵語を読めるんです」


 ヴィオレッタはその返答に固まった。


 術式を構成するために必要な魔術鍵語が一般的な言語として理解できる、と言っているのだろうか?


「……つまり、『水鏡』の第三術式を読み解いて理解したと言っておるのか?」


「えと、はい。たぶん? 第三術式のとこに覆いとか、底とか、塗り潰すとか描いてあるのが読めました」


 だとすれば、相当だ。自分の弟子ならではという気もする。


 術を覚えて行使するのが魔術師。


 その術式の構成鍵語の意味を理解して行使、もしくは独自術式として正しく効果を発揮出来るようになって初めて魔導師と言える。


 そして魔術師と魔導師を大きく隔てるのが魔術鍵語への理解だ。


 既存の言語体系とは大きく異なるうえ、数がやたらと多い。古いものもあれば新しく発見されるものもある。


 だからこそ魔術師は数え切れないほど数多いるものの魔導師は少ない。


 ヴィオレッタでさえ、自分で作った鍵語表と様々な文献を矯めつ眇めつして新術式を開発しているのだ。


(それが全部要らぬと言っておるのだろうか? なにそれズル過ぎぬか)


 ヴィオレッタは己を棚に上げて素直にそう思った。


 魔術に携わる者ならば誰もが欲しがる能力()だろう。


「だとすればじゃ、汝は魔術を扱う者として相当優位に立つことになるぞ。視るだけで鍵語の意味が分かるのじゃから」


「そう、なんですか? あ、視力がなくなったのはどういう理屈なんでしょう?」


 アルはあんまり凄さを理解してなさそうだ。


 便利なのは間違いないが「思ったよりなんか……地味じゃね?」って顔をしている。


「そっちはまた要検証じゃの。鍵語の数か、術式の質か。一つずつ検証していくが良かろう。さて、どちらにせよ今日はここら辺にしとこうかの。儂も今思い出したが汝は怪我人じゃ。きっちりと休んでおくように。散歩くらいなら問題はなかろうが、癒院へは通うのじゃぞ? それと探してくれた者らにも礼を言うておくこと。見舞いにずっと来てくれていたそこな双子にものぅ」


 そう言って立ち上がりかけたヴィオレッタはピタリと動きを止めた。


 部屋の面々が「ん?」と顔を向けると、


「魔眼の名を考えておらんかったな。何ぞ案でもあるかの?」


 と言ってきた。アルは軽く脱力する。


 ――ただ魔眼って呼んだって困らないだろうに。


「そういうことならあたしがカッコいいの考えたげるわ!」


「ボクも! なんか考えてあげる~」


 途端に凛華とエーラが会話に参加してきた。


「いいよ、なんか仰々しい名前つけてきそうだし。遠慮しとく」


 アルが抵抗するも、


「んー……流星眼とかどうかしら?」


「えぇ~、星光眼がいいよ」


 一瞬で弾かれる。


「どっちも似たようなもんじゃね?」


 マルクのツッコミも空しく少女らは姦しく囀る。


 アルの右眼を覗き込みながらあーだこーだと楽しそうだ。


 当のアルも一応心配させたみたいだし、と受け入れてはいるものの憮然とした表情は隠せていない。


玩具(おもちゃ)になった気分だ)


 そう思っていると微笑ましそうにヴィオレッタが口を挟んできた。


「まぁまぁ、二人とも。昔は見た目だけで好き勝手につけておってな、似通った名前で全然違う魔眼保持者たちが大量におったんじゃ。それがまたややこしくてのう。ある時から魔眼の名は効果がわかりやすいもの、と暗黙の了解が生まれたのじゃよ」


 その言葉に2人はうんうんと悩みだす。


「鍵語が読める魔眼? う~ん」


「カッコいいの思いつかない……」


「儂も手伝おうぞ」


 ヴィオレッタは座り直した。


(もう何でもいいや)


 きっと自分は魔眼としか呼ばないだろう、とアルは傍観を決め込んだ。


 トリシャも息子の魔眼の名前はどうでも良かったのか、優雅に茶を楽しんでいる。


「鍵語、語……言葉…………あっ、言の葉とか言わない? それか式とか」


 と凛華。効果をかみ砕いて言い換えてみることにしたらしい。


「言うのう。では葉か式を生かすとして」


 ヴィオレッタが中空に水属性魔力で候補となる字をスラスラと書いていく。


「言葉がわかる、術式の意味がわかる? ……わかる、理解する、読み解く……なんか他に言い換えられるかしら?」


 凛華は『この調子だ』と鍵語の意味を理解するという部分に着目した。


「ん~……んん~…………悟る? とか? あ、解釈するとかは?」


 エーラがちょっと捻って案を挙げてみる。


「ふむふむ。では”悟式”や、”釈葉”、”解式”と組み合わせとしてはこんな感じじゃの」


 候補を中空に並べていたヴィオレッタがなんとなしに意味合いが取れる並びに替えて口に出す。


「”釈葉”ってなんか洒落てていいんじゃない?」


 おおっ! という顔で凛華が言う。


「だね! 悟式とか解式はハッキリしすぎてるもんね!」


 エーラも「それだぁ~!」とニコニコしながら同意する。


「「これで決まり!」」


 そして頷き合うと、鬼娘と耳長娘は輝く笑顔をアルへ向けてこう告げた。


「決まったわよアル!」「その右眼は『釈葉(しゃくよう)の魔眼』で」


「「決定よ!」」


「なんか案外渋めでいいかも。それなら自称できるよ」


 期待薄だっただけに意外とマトモだった。


 アルが「まぁ悪くは……ないか?」という顔で了承する。


「よかったな。てかずーっとやってっけど疲れねーのか?それ」


 マルクが素朴な問いを投げかけると、アルは「うーん」と首を捻り、


「龍眼使った時と同じくらい?」


 魔眼を発動したり戻したりしながら応える。


「んじゃ結構保つな」


「失明する可能性があるけどね」


 下手に発動させっぱなしにしておいて急に見えなくなるなんてちょっと怖い、とアルが肩を竦める。


「そこは慣れとかじゃねえの? ヴィオ様、魔眼ってこう……成長したりってしないんですか?」


 マルクはもう一人の魔眼保持者へ問うた。


「するとも。儂の眼もそうじゃったしな。アルの魔眼は生まれたてじゃ。そのうち失明する回数も少なくなってゆくはずじゃよ」


 自分の魔眼()も初めの内は思うようには視えなかった、とヴィオレッタが頷く。


 失明こそしなかったが幾ら魔力を込めたところで効果が出ないままだったという記憶があった。


「先、長そうだなぁ」


「手伝ってやるって」


「頼むよ」


 アルとマルクがシンプルな言葉を交わす。


 これでも充分に意味が伝わっているのだから男同士というのはよくわからない。


 結局その後解散となり、眠ってしまっていたエリオットとアニカは起こされた後、アルに見舞いの礼を言われてニコニコしながら凛華とエーラに連れられて帰っていった。

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