2話 朋友と誕生日(虹耀暦1288年4月7日)
2023/10/10 連載開始致しました。
初投稿になりますのでゆるく読んで頂ければありがたい限りです。
なにとぞよろしくお願い致します。
帝都に戻ったアルクス達『不知火』の6名と1羽にとって、後期の授業と共に再開したものがもう一つある。
「おう、そうかそうか。実習先、お前らは幌借りて行くのか」
「ですです、お師匠様! アルクス君達が相乗りしないか? って誘ってくれて! これであの妙ちきりんな馬車に乗らなくて済みます!」
「おいおい、妙ちきりんは酷かろうや。あれでまだマシになった方なのだぞ? 帝国が生まれたばかりの頃は『尻の皮が剥ける』と御者まで文句をつけておったくらいだからな。と、まぁそうは言うても正直なところ、己れは当時のと今ので然して変わらぬと思うとるし、ハッキリ言って好かぬがな」
「ほらぁ! そうでしょう!? 大体、路面と客車を水平にする機能が完全に死んでるのがダメなんですよ!」
ふんす! と、鼻息も荒い赤毛の鉱人娘アニス・ウィンストンは物怖じもせず、眼前に座る自身の何倍もの体躯を誇る巨躯の鬼女へと訴える。
この巨鬼族の女性はシマヅ・誾千代。
栄えある〈ターフェル魔導学院〉の初代にして現役学院長であり、魔導技士を目指すアニスの師匠でもある。
「かかっ、そう言うない。利益に見合わぬ費用を出す奴ぁそうそうおらん。お前も技士目指してんなら、折り合いのつけ方学んでおかねえと苦労するぜ?」
魔導具の機能と製作費用、そして販売価格は密接に関連している。
直接利益に繋がる要素なのだから致し方ないとは云え、製品の質に重きを置きたがる技士とはあまり相容れない部分ではある。
「お金か、やっぱり世の中お金なのかぁ……!」
うぉぉ~、と小さな顔を顰めるアニスを気にした風もなく聞き流したアルは、
「地面と水平って測るのは簡単だけど組み込むのは案外難しいもんなぁ。飛竜船造ってる時に痛感したよ」
と、窓の隅の方で静かに眠る三ツ足鴉を眺めながら思い出したように語る。
「でしたね。水平にする機構を実装するまでも、してからも大変でした。一番時間かかったとこじゃないですか?」
朱髪を耳にかけながらラウラが同意すると、アルは「そーそー」と頷いて、
「時間もだけど手間もかかったね。どこがどうおかしいのか、ちょこちょこバラさないとわかんないんだもん」
とぼやいた。
どうにもここにいるときのアルは省エネモードというかダウナーな雰囲気を纏っている。
「凄いよねぇ皆。休暇中にそんなの造っちゃってさ」
邪気の欠片もなく羨ましがったアニスは、作業机に転がしてあるスポーツカータイプのミニカーのような物体を手に取った。
四隅には適当な長さの布切れが結わえてある。
これは飛竜駕籠の木製模型だ。
休暇明けに飛竜船の話をすると、「ほお。どれ、見してみい」と誾千代に言われてアルが片手間に作ったものである。
設計図や細かな図面を書き起こしたので記憶にも新しかった。
なお、蜘蛛人族の【撚糸】を人工筋肉の如く使う魔族ならではの発想であった為、帝国はおろか王国やその他周辺国でも造るのは難しいだろうとの見解を誾千代から頂いている。
アルとしても一国家だけ航空戦力になりそうなものの目途があるというのはあまりよろしいとは思えないので発表するつもりは毛ほどもない。
「あの時のアル殿はなんというか、普段とかなり違って驚いたぞ。職人達を巻き込むのは――……まぁアニスの時もそうだったが、言われなければ食事も摂らないし、集中しっぱなしで上の空だったからな」
ソーニャは飲料瓶の入った木箱ごと作業机に置きながら、2ヶ月ほど前の頭目の様子を振り返った。
「里に居た頃はいつもあんなもんだったわよ。口に放り込めば食べるだけマシね」
「新しい魔術創ってるときは話しかけてもほとんど反応しなかったもんねぇ」
あっちが素なのだ、と昔からアルを知る凜華とシルフィエーラが主張する。
「気付いたら時間が経ってるんだよ」
当のアルは悪びれもしない。
誾千代は、体躯に釣り合う巨大な金瞳を薄っすらと細めた。
つまり人間の多い人里に降りてくる前の頃程度には神経を解きほぐすことができたということだろう。
現に、休暇前のアルから感じた戦の経験者にしかわからぬピリピリとした雰囲気は随分と和らいでいる。
すると今までアルの真向かいで黙って作業をしていたマルクガルムが声を発した。
「慣れた方が良いぜ、俺は慣れた。アル、できたぞ。試すか?」
彼とアルの間にあるのは上面のない金属製の箱だ。そう大きくもない。
「こっちもこれで良いはず。一回やってみよう」
「了解。ソーニャ、こん中に瓶入れてくれ」
ケース側面に術式を描き終えたアルとケース底面に敷いた陣を矯めつ眇めつしたマルクがソーニャに視線を向ける。
「全部か? 一本だけか? どうする?」
ソーニャが瓶をガチャガチャと数本取り出して訊ねる。中身はただの炭酸水だ。
「あー、そうだなぁ。効果のムラが見たいからできるだけ詰めてみよう」
「ん、承知した」
そんな会話と共に木箱から金属ケースへ炭酸水入りの瓶を移し替えていく3人。
「ねねアル!ボク起動やりたい!」
そこへサッと近寄った耳長娘がわくわくした表情で龍鱗布をクイクイやってねだった。
アルが一も二もなく「良いよ~」と了承する。
「いよっしゃあっ! やってみたかったんだよね~」
赤い数珠飾りを揺らす上機嫌なエーラに、微笑ましそうに眼を細めたアルは数本を残して金属ケースいっぱいに瓶を入れ終えると、
「ん、大体良いかな。エーラよろしく」
と側面の術式を指した。
「よぉ~し! じゃ、やりま~す! ほぉいっ!」
すかさずエーラがそこに魔力を送る。
すると刻まれていた術式の上を淡い光が走り抜け、金属ケースの内部からピシッ、パキ、ピキ……と音が鳴り始め、やがて静まった。
「どうなりましたか?」「どうどう!? どうなったの!?」
効果の発揮を確認したラウラとアニスが色合いの違う炎のような髪を揺らして興味津々に結果を問う。
「んー……ムラはなさそうよ? 瓶も割れてないし。あ、でも中身まで凍っちゃってるわ」
無造作にケース内に手を突っ込んで瓶を引っ張り出した凜華が、実験結果を示すように瓶を逆さにした。
霜が降りた瓶からは1滴足りとも落ちてこない。ガチガチに凍っているらしい。
途端、マルクとアルは突っ伏した。
「だぁ~、まじか」
「強過ぎた。やっぱ”凍結”系統の鍵語は使うべきじゃなかったかも」
実験失敗である。
「加減、難しいですね」
ラウラが凜華の持っている凍った瓶をコンコンと突きながら悩ましげに呟く。
「そうなんだよ。凜華、ちょっとこれ良い感じに冷やしてみて」
金属ケースに入っていない、ぬるい炭酸水の瓶をアルが肘をついたまま差し出すと、凜華は「こう?」と言いながら「ふぅ……っ」と妙に色気のある動作で息を軽く吹き付ける。
すると瓶の外側に霜が浮かんでいき、一瞬にしてキンキンに冷えた。
「理想は――んぐ、これくらいなんだよな」
アルはポンっと栓を開けてグイッと飲む。
シャーベット状になる寸前だが、ギリギリ液体といった冷え具合。
さっきのは明らかに冷やし過ぎだ。
ここまでで察せられる通り、『不知火』の面々とアニスがいるのは学院長室と同階にある広いガレージ染みた誾千代の研究室。
そして彼らが何をしているのかと云えば――――端的に表現して”休暇前の続き”である。
冬季試験前に製作を終え、食堂に置かれることになった魔導券売機は一部の細かな消耗部品が想定外に摩耗する以外は特に大きな改善点も見られなかった。
食堂側からも金銭のやり取りを直接しなくなったおかげでかなり楽になったと好評。
となれば次は自動販売機もとい魔導販売機だろう、と至極当然の成り行きで製作に駆り出されたのである。
しかしここで問題となったのが、前世のアルが歪だと言って憚らない魔導文明と科学文明の差。
なんとこの世界というか少なくともこの大陸には冷蔵庫や冷凍庫と云った魔導具の類が一切なかったのだ。
しかし、よくよく考えてみればわかる話でもある。
種族を問わず(厳密に言うと魔族はその限りでない)、何の道具もなしに、魔力さえあれば炎や水を生み出せるのだからわざわざ小難しい術式だの大型の機材などを使って迂遠なやり方をする必要性がない。
現に食材の貯蔵庫はほぼイコールで氷室という意味合いを兼ねているし、漁師や海運業者は水や氷属性魔力の扱いならお手の物だそうな。
そんなわけで魔導販売機の構造を構想する前に、冷蔵保存しておく術式が必要になったのである。
ぶっちゃけ常温のものを販売して、たった今凛華がやったように「各々で冷やすなり温めるなりすれば良いじゃん」などとアルは思うのだがそこはそれ。
魔力を一切消費しないという点は、魔族より保有魔力が圧倒的に少ない人間からすればそこそこ重要な要素になるらしい。
価値観の相違というやつだろう。
「冷気自体は均一に広がっておるようだから、あとは冷やし加減ってえどころだな」
誾千代はヒョイっと金属ケースを覗き込んで述べた。
「何も一気に冷やさなくても良いんじゃない?」
ゆっくり冷えちゃダメなの? と、凛華がアルから受け取った炭酸水をくぴくぴ飲みながら言う。
「そう言われりゃそうだね。となると、あー……」
『釈葉の魔眼』を発動させて鍵語を浮かべていくアル。
「そういや俺ら七組は〈グリュックキルヒェ〉に行くけど、他の組の連中は違うんだろ?」
アルの作業がそこそこ時間を取るだろうと察したマルクは、今おそらく最もホットであろう話題を口にした。
「うん? そうなのか?」
ソーニャが萌黄色の瞳をキョトンとさせて訊き返す。
課外実習があること自体は学院の便りで知っていたが行き先が組ごとに違うとは知らなかった。
「らしいぞ」
「実習先は担任に一任しておるからな。お前らのとこはコンラートの坊主だったか。〈グリュックキルヒェ〉とはまたらしい行き先よ」
「お師匠様は行ったことあるんですか?」
「戦時中に一度な。あの頃の住民達は焼け残った教会に寄り集まって生活しておった」
誾千代は慣れた仕草で指先から炎を出して葉巻に火をつける。
「ほぇ~」
「歴史の生き証人ってやつか」
アニスとマルクが感心したような声を上げた。
帝国建国の雄は伊達ではないようだ。
「よせよせ、無駄に長く生きておるだけよ」
大きな掌をパタパタとやった誾千代は「それはそうと」と思い出したように、アル達――というよりアニスの方を見やって、
「冬季試験が返却された頃合いだろう? 結果はどうだった?」
と訊ねた。
途端、アニスがびっくーんと小さな体を跳ねさせてそろぉ~っと誾千代から距離を取ろうと一歩下がる。
が、そうは問屋が卸さない。
「どうだった? と訊いておるのだぞ」
種族内で見れば細いが、それでも太い巨鬼の腕が鉱人娘の首根っこをガシッと掴む。
「ま、まーまーですよ? 『魔導機構学』は学年首位だし」
アニスが冷や汗をダラダラ流しながら応えると、巨鬼族の学院長はニンマリと笑い、
「そぉかそぉか、そいつぁ己れも鼻が高いってもんよ。優秀な弟子を持てて嬉しいぜ。して、なにゆえ逃げる?」
と牙を剥いた。
「え、え~っとぉ、それは~…………」
アニスの眼が四方八方に泳いで回る。
どう見ても今から食われる子供と大鬼の図だ。
「『魔導機構学』はぶっちぎりで一位だったけど、『鍵語学』が学年最低点だったんですよ」
「平均より十七点も低かったんですって」
するとアルと凜華が薄情にもあっさりとバラした。
「ああっ! ちょ、ちょっと二人とも!」
悲痛なアニスの声が研究室に響く。
「平均より十七点も、だと……?」
「ひ、ひょえぇ~~!」
一段低くなった誾千代の声にアニスはぶるぶると震え、
「ち、違いますよ! ちゃんと勉強はしてました! けどアタシあんまり暗記は得意じゃないっていうかちょっと大雑把なとこがあるから、似たような鍵語出されたらどっちがどっちかわかんなくなっちゃって、勘で書いたら全部ハズしちゃったってだけなんですぅ!」
と早口でまくし立てた。
人はそれを勉強不足、ないしは詰めが甘いと言う。
が、アニスの言うこともあながちわからないでもない話ではある。
1年の『鍵語学』の冬季試験内容は、出題された鍵語の意味を辞書なしで解答するというシンプルな暗記問題で構成されていた。
わけのわからない記号や模様が試験用紙いっぱいに載っている様は、魔術の知識が薄い者からすれば怪文書ならぬ怪紋書染みたシロモノにしか見えないだろう。
いくら魔導学院生とはいえ、鉱人族が比較的多く住んでいるというだけで一般の街出身なアニスには使ったことすら無いような鍵語が半数くらいはあった。
それらを一つ一つ覚えておくなど苦痛でしかないのだ。
他の生徒としてもその感覚は変わらなかったのだろう。
全教科中、『鍵語学』の学年平均は飛び抜けて低い。
それを知っているがゆえに誾千代は一度グルリと金眼を回し、
「はぁ~~~……まったく。気持ちはわからんでもないが魔導技士に成りたいんなら鍵語の知識は必須だぞ? それでなくとも一、二年は全科目単位を取らねば進級せんのだからな?」
赤茶っぽい瞳をうるうるさせるアニスに懇懇と語る。
が、叱られないと悟った鉱人娘の反応は早かった。
すぐに涙を引っ込ませると、
「はいわかってます! 次の試験は頑張っちゃいますよ! お師匠様の顔には絶対泥塗りませんから!」
と、どこからその自信が湧いたのか威勢の良い言葉を吐いた。
実に現金なものである。
「良ければコツでも教えようか? 『魔眼』もなしに、『鍵語学』満点を取った、この俺が」
そこでアルがわざとらしく胸を逸らして言う。作業に飽きたらしい。
「うーわ、今の聞いた!? すんっごい高慢ちきだったよ!?」
途端にアニスは「この男さぁ!」と『不知火』の三人娘へ訴えた。
「あははははっ! 嫌味だねぇ~」
しかし当のエーラはからから笑うアルと一緒になってクスクス笑い声を漏らし、
「アニスの反応が良いからついからかっちゃうのよ。あたしも気持ちわかるわ」
凜華は凜華でふっと笑いながらクリクリした鉱人娘の赤毛を軽めにかき回す。
「いや気持ちわかんなくていいから! ていうかアタシで遊び過ぎだかんね!?」
アニスがきゃんきゃん騒がしい。
「かかか、随分と親しくなったもんよ。して、お前らの試験結果はどうであった? ”鬼火”の小童が総合点で学年首位なのは知っておるが」
「単位は問題なく取得できそうです。フックス先生によれば最初の試験だからか、受験の結果に近い順位だったと聞いてます」
誾千代の質問に代表して答えたのは、アルとアニス達のやり取りに茶目っ気のある微笑みを零していたラウラだ。
彼女の言う通り、総合順位は細かな入れ替わりや変動はあれど入学試験とあまり変わらないそうだ。
しかし――――。
「けど俺、『魔術史学』は学年首位取ったっすよ」とマルク、
「あ、ボクも『精霊学』はいちばんだったー!」とエーラ、
「あたしは『魔獣・魔物学』ね」と凜華、
「私は『術学』でアルさんと同率一位です」とラウラ、
「私は意外だったが『魔導薬学』でアル殿と一点差で二位だ」とソーニャがそれぞれ答えた。
「ほぉ、なかなか面白い結果になったようじゃねえか」
そうなのだ。あくまでアルは総合点で一位。
『不知火』にとってはどうしてもまだまだ簡単に感じる『実践魔術』は6名とも満点状態だが、他の科目では朧げながら細かな得手不得手が顕在化し始めていた。
ちなみにアルは彼ら(アニスを含めて)の言った科目以外で首位である。
特に『鍵語学』と『術学』、『実践魔術』ではこれ以上点が与えられないという意味での満点だ。
「皆凄いよねぇ、勉強もできるし強いってさ」
「アニスは良い科目と悪い科目で点数差が激しいからな」
「うぅぅちくしょお~、わかってらぁい」
アニスが鉱人言葉を吐きながらポカポカとソーニャの胸を叩く。
「あ、そうだった! アル、時間! ボクら今日は早めに帰んないと!」
と、そこでエーラがパッと立ち上がった。
凜華とラウラも弾かれたように、いそいそと帰り支度に取り掛かる。
「んぉ? 確かにそろそろ解散の時間だが、何ぞ急ぎの用でもあるのか?」
誾千代が不思議そうに訊ねた。
すると凜華とエーラがニコニコと楽しそうにこう応える。
「今日、アルの十六歳の誕生日なんです」
「去年はお祝いしそこねちゃったから今年はちゃんとお祝いしてあげよ~! って決めてて」
同性の誾千代から見ても、彼女らの笑顔は可憐で魅力的だった。
アルは「そんなに気合い入れなくても」と困ったように笑うが、
「今日の夕飯はいつもより豪勢にする予定ですよ? お肉も奮発しちゃいましたから」
とラウラが囁くように言うと、
「やっぱこういうのは素直に祝われとかなきゃ無粋ってもんだよね!」
ドリルも斯くやと即座に手の平を返した。
「現金なヤツ」
「というよりラウラ達がアル殿の扱い方を覚えたというか、上手いこと転がすようになったと言うべきだろうな」
マルクとソーニャがそんな感想を述べ合う。
要は案外単純だと言いたいのである。
「アタシとラインハルトとヘンドリックもお呼ばれしてるんですよ、お師匠様!」
健啖家のアニスが豪勢な夕飯と聞き、瞳をキラキラさせた。
「ほぉ、そいつぁ目出度い。なら己れからも言祝ぎを贈らせてもらおう、”鬼火”よ。ヴィーにも言われとるだろうが少しは落ち着くのだぞ」
紫煙をゆるく吐いた誾千代が牙を見せながらも穏やかに祝うと、
「りょーかいです! そいじゃ今日はとっとと退散しますね。ひすーい、帰るよおいでー」
「クァ? カアカァー」
あまりわかってなさそうな顔で首を縦に振ったアルがササッと背嚢を担いで使い魔を呼ぶ。
「お師匠様! また明日来まーす!」
「おつかれっしたー」
「「「「失礼しまーす」」」」
「おう。気ぃつけんだぜ」
年長者らしい温かな笑みを湛える誾千代に手を振って研究室を出た7人と1羽は、その足で男子寮の前でラインハルトとヘンドリックと合流し、まだまだ陽も暮れ切らぬ内に拠点家へと辿り着いた。
* * *
その夜。
三人娘が腕を振るったごちそうの数々に舌鼓を打ち、楽しく盛り上がった『不知火』の6名と学院で縁を紡いだアニス、ラインハルト、ヘンドリックの3名。
大いに賑やかで騒がしく、しかし穏やかな夜はあっという間に過ぎ去って、アルは16歳を迎えたのだった。
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