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【祝!99,000PV】日輪の半龍人  作者: 倉田 創藍
武芸者編ノ陸 芸術都市トルバドールプラッツ編
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設定:第2部6章の新規登場人物・地名まとめ

〈 新 規 地 名 〉


〇芸術都市トルバドールプラッツ:鋼業都市アイゼンリーベンシュタットから180km(キリ・メトロン)北西に位置する帝国最西端の都市。


 ラービュラント大森林に面しており、名前の通り芸術――――演劇を始め、音楽、彫刻、絵画その他芸術と称されるあらゆる創作活動が盛んな地。


 帝国領となる少し前から吟遊詩人が集まって披露し合っていた土地で、それが高じて芸術に一家言ある者が集まるようになっていった結果、そのような呼び方をされるようになった。 


 それ以前、群雄割拠の小国時代では戦が頻発していた地域で、第二皇子(後の初代皇帝)が各地を手中に収め始めた頃には挙兵できないほど疲弊しきっていた為ほぼ無血でこの地は勢力圏に取り込まれたという経緯がある。


 都市中央にある広場では若き彫刻家たちや、画家が作品を展示していたり、冬場は何らかをモチーフにした雪の彫像などもライトアップされており、一年中昼夜問わず賑わっている。


 また都市内には小~大まで劇場数が非常に多い。


 後述の劇団も含めて、自前で劇団が運営している劇場から貸劇場まで幅広く、その数は帝国随一を誇る。


 帝都にも勿論大劇場はあるが、その規模とそう変わらない劇場がちらほら見られる為、自領が安定している貴族や豪商などからも人気のある土地となっている。


 演劇やコンサート、変わり種だと吟遊詩人が数名集まって弾き語りを紡いでいく独特の歌唱スタイルによるパフォーマンスなどもあったりする。


 観劇料はピンキリ。


 一番安い料金で子供のお小遣い程度、高額になると貸し切りの個室やルームサービス付きになる。


 現在この地を治めている領主はオスヴァルト・ディヒター伯爵。



〈 新 規 登 場 人 物 ( 登 場 順 ) 〉


◯アポテーカー副支部長:武芸者協会・芸術都市支部のNo.2に当たる人物。

 

 フルネームはウィルヘルム・アポテーカー。


 中年の男性で細面、切れ長の瞳に黒髪をオールバックに撫でつけている厳格そうな人物。


 深みのある低い声で、キッチリした地味な服装を好む。


 派手な上着は何かあった際に、見劣りしないようにする為のもので何着か副支部長室に置くようにしている(後述のオスヴァルト・ディヒターが訪れた際に役立った)。


 態度や性格のせいで勘違いされがちだが、芸術都市の一般(帝国では平民という言い方をしない)家庭出身で、等級の高低に関わらず親身に武芸者に寄り添ってきた叩き上げのエリート。


 一般的な武芸者と比較すれば戦闘能力は皆無に等しいが培ってきた直感と目は本物。


 趣味は芸術都市らしく観劇で戦記物を好むが、妻子からはあまり理解を得られていない。



◯エーリヒ・アポテーカー:実家の薬種問屋を営む薬師で、上述のウィルヘルム・アポテーカーの実の弟。


 兄と同じく中年で黒髪の男性で、兄とは反対に柔和で穏やかそうな印象を受ける見た目の人物。


 歳は前章に登場した”荒熊”ロドリックや前々章に登場した”雪獅子”レオナールとそう変わりないほど。


 本来であれば兄のウィルヘルムが跡継ぎのはずだったが、当人が薬師に興味がなく、またエーリヒの方が薬種に関しての知識欲や関心が高かった為、まったく揉めることなくこの形に落ち着いた。


 見た目通り穏やかな気質で、これまた兄とは正反対に物ぐさな部分があり、職業上、服装自体は清潔だが頓着はなく、しかしながら兄と同じで地味な装いを好む。


 かつて仲良くなった森人に薬種だけでなく様々な植物の知識を授けてもらったという経験からも分かる通り、偏見とは無縁の人物。


 病気や免疫低下を防ぐ為の魔導飲料を開発して常飲しているが、兄を含めた家族からは不評。


 アルクスから「冷えた炭酸と混ぜると美味しいかもしれない」とアドバイスを貰い、実際に試してみると周囲の反応が良くなった。


 それから数カ月後に味を整えて店頭に出してみたところ、新しもの好きな若者達の間で人気が爆発。


 あれよあれよと言う間に芸術都市生まれの人気飲料になってしまった為、事業として独立。


 更に数年後、本業は薬師のまま炭酸魔導飲料の先駆け的経営者として名を馳せ、その際にキッカケとなった依頼である”妖桃花”の実をモチーフとして都市外へと売り出すことになる。



◯オスヴァルト・ディヒター:芸術都市トルバドールプラッツの領主で爵位は伯爵。


 ウェーブ掛かった蜂蜜色の髪に、ほんの少しばかり垂れた眦、鼻筋の通った細身の人物。


 装いはその整った外見に見合う瀟洒なもので貴族らしく高級品で、歳はトビアス・シルトより一回りほど上。


 当代のディヒター家当主という一面もあるがそれと同じくらい劇団長としても有名。


 彼自身、子爵時代(帝国での次期領主は現領主より一つ下の爵位として扱われる)は自分でも舞台に上がる演出家として人気だったが、劇団を築いてからは演出と後進育成にシフトしている。


 余談だがディヒター家は代々芸術家の家系で、先代領主は音楽方面に優れている。


 一般人相手にはオネエ口調、公的の立場にいる時は本来の男性口調と使い分けるが、これは元々優れた外見と士官学校卒のオスヴァルト相手に劇団員が緊張し過ぎて芝居が硬くなってしまうという事態が頻発した為。


 妻に諭されて半信半疑ながら実践してみたものであったが、「取っ付き易くなった」との声が多かったことや元々芝居畑の人間であったこともあって今ではノリノリ。


 またこの世界の演劇は舞台演出に魔術や属性魔力を多用するので、それ専用の演出魔導師もしくは演出術師と呼ばれる職業が存在しており、演出家とはまた別で高給取りな代わりに重労働。


 アルクス達が目指す帝都の学院にも演劇魔導師を目指す生徒が通っていたりする。


 帝都での舞台公演を行うべく、狙われている後述の人物達の護衛としてアルクス達”鬼火”の一党と『紅蓮の疾風』を雇った。


 魔導列車での移動中に、”異能”持ちの頭領率いる傭兵団の襲撃に遭う。


 その際アルクス達魔族組と分断されてしまい、自身も警備と共に剣を取るが、裏切り者に仕立て上げられた劇団員を庇って負傷。


 重傷を負うも奇跡的に障害の残るような怪我はなく、駆けつけた凜華とシルフィエーラの手当を受けたことによって快復。


 気力で劇団長として振る舞って帝都まで辿り着くも、公演までの半月を癒院通いと安静を余儀なくされ、劇団所有の屋敷で過ごすこととなった。


 それでも元来大人しくないタチをしていたこともあり、”鬼火”の一党改め『不知火』の拠点探しに手を貸した。


 帝都での公演が終わって数カ月後、劇団員達の強い申し出を受けて今回の事件を演目『斬影の蒼き灼剣』として発表。


 演出家を務めた。


 またその際アルクスの叔父であるトビアス並びにシルト家の面々を招待したが、肝心の『不知火』からは丁重なお断りの手紙を受け取っている。



・ 劇団員>>クラウディア:オスヴァルトが創設した劇団の女優。生まれは帝国北部の子爵家で三女。


 帝都で初めてオスヴァルト率いる劇団の舞台を観たことがキッカケで劇団入りを希望。


 実家から縁を切られながらも入団し、入ったばかりの頃は世間知らずだったせいで陰口を叩かれながらも稽古に打ち込んでようやく主演を勝ち取った努力家。


 英雄神話や武芸者が題材となった演目で脇役デビューを果たしたせいなのか、下調べで『月刊武芸者』を購入しており、それからも役どころを学ぶためにもほぼ毎月情報を仕入れているので案外そういった情報に詳しい。


 新進気鋭の新人一党欄にほぼ取り沙汰されっぱなしの”鬼火”の一党のことも知っていた。


 魔導列車襲撃事件で狙われた張本人。


 また狙われた理由は縁を切ったはずの実家である子爵家当主が無理矢理に縁談を組ませようと画策した為。


 事件後、”鬼火”の一党と『紅蓮の疾風』の活躍に感銘を受け、強靭な精神力で初主演を全うした。


 その後、芸術都市に戻ってからは『斬影の蒼き灼剣』の脚本を書き上げて、オスヴァルトへ提出。


 狙われた貴族家令嬢ではなく、裏切り者に仕立て上げられた劇団女優役として好演し、人気を高めている。



・ 劇団員>>ディートリンデ:劇団の看板女優。勝ち気な性格ながら後輩や同僚への思いやりを忘れない姉御肌な人物。


 また若手の演者内で最も芸歴が長いこともあって後輩達の色恋沙汰や浮いた話に首を突っ込む。


 当人としては積極的に冷やかしているだけなのだが、当事者達からすれば容姿も相まって色んな意味でドギマギさせられる存在。


 その為、すぐ下の後輩イグナーツなどからは「タチが悪い」と評されている。


 帝都公演では主演のクラウディアと対になる小国の姫役として登板予定だった。


 腕を火傷することになったが、凜華とシルフィエーラの治療によって痕にはならず、無事に帝都公演に出演。


 また子役時代から劇団に所属しており、襲撃事件の際庇ってくれた後述のイグナーツを憎からず思っている。


 『斬影の蒼き灼剣』ではラウラ(演目内ではエッダ)役を熱演。


 諦めずに戦い抜く強靭な精神と凛々しさを好演したお陰で更に人気が高まる結果となった。



・ 劇団員>>イグナーツ:劇団の若手看板俳優。ディートリンデより少し年下で、俳優らしく整った顔立ちの人物。


 生まれは商家の次男で、本人曰く「良いとこ出なんで!」とのこと。


 いわゆるボンボン。また本人もそれをネタにしている。


 荒事は得意でなく、至極真っ当な精神性の持ち主で”鬼火”の一党と『紅蓮の疾風』が護衛としてやってきた時は自分達より年下の子供に命を懸けさせるなんて、と難色を示した。


 襲撃事件の際、ディートリンデを庇って顔の右半分に火傷を負うことになったが、治療役に回っていたシルフィエーラの迅速な『治癒術』と癒薬帯による治療、そして帝都の癒者のお陰で痕にはならなかった。


 『斬影の蒼き灼剣』ではアルクス(役名ではイルリヒト)役を熱演。


 主演ということもあってストイックに役柄を熟し人気が更に上昇した。


 またその際、件のアルクスとの会話で話題に上がった新たな殺陣を初めて演目に取り入れ、非常に話題となった。


 ちなみにその新たな殺陣とは、帝国初導入の見栄えをとことん重視した概念である。


 殺陣そのものは当然あったが、この大陸(というか世界)の武具への認識はやはり戦闘に用いるものとしての認識が強く、本格的にやりすぎれば素人にはわかりにくいとされ、演出に頼ったり大仰に打ち合うのが常であった。


 そういった意味では間違いなく新機軸の殺陣を開発したことになる。



・ 劇団員>>カサンドラ:劇団所属の女優。ディートリンデのすぐ後に入団、イグナーツより1年ほど芸歴も長い。


 どちらかと云えば童顔で声も高く、女優らしく容姿も整っており、小柄。


 元来の性格は明るく、面倒見も良い。


 帝都公演では主演のクラウディアの側仕え役として登板予定だった。


 しかし、魔導列車襲撃事件の下手人の傭兵団と互助組織である非合法の傭兵組合による奸計によって内部の裏切り者に仕立て上げられてしまう。


 また彼女自身にその際の記憶や判断能力が著しく低下しており、薬物検査にも引っかからなかったことから、裏切りの教唆を行ったのは件の傭兵団とは別口の人物で、何らかの”異能者”だと見られている。


 自身の裏切り、送られてきた質の悪い魔撃銃と同様の構造をした短剣により、家族のように過ごしてきた仲間を傷つけてしまったことで深い心の傷を負ってしまった。


 帝都公演中は取り調べを受け、芸術都市に戻ってすぐ退団を申し出たものの、狙われた被害者本人であるクラウディアとオスヴァルトが必死に引き止めたことで劇団に在留。


 最初は子役の教導役や裏方に就こうとしていたが、クラウディアの強い希望によって女優として復帰することを承知。


 『斬影の蒼き灼剣』が復帰作となった。


 クラウディア(演目内ではシュネー)役として好演。


 地道にファンを獲得しつつ、現在も稽古に励んでいる。



◯シメオン:魔導列車襲撃を実行した下手人である傭兵団の頭領にして”異能者”。


 本人の戦闘能力自体は魔族組に較べると低いものの、ゴロつきを纏め上げるほどには実力もあり、また頭の回転自体は速い。 


 元は正規の組合に所属する傭兵団の戦闘員。


 騎士崩れの野盗団相手に出陣したものの数の多さに撤退戦を余儀なくされ、その際に仲間を見捨てて一人で逃亡。


 見つかりたくない一心から小型魔獣の塒と思わしき洞穴に隠れ、掃討戦に移った騎士崩れに見つかりそうになった時、”異能”を発現した。


 能力は、壁や屋根と見立てることのできる限定空間内の内部拡張・伸縮及び固定化。


 その空間内のどこかに手を触れることで”異能”が発動する。


 空間拡張のみ可能で縮小はできないが、窓や扉といった完全な密閉を妨げるものがあろうと発動可能で、内部形状の変化が一切外部の見た目に影響を与えない。


 また魔力が必要になるのは形状を変化させる際のみで固定化のために魔力を放出し続ける必要がない。


 魔導列車襲撃の下準備として、清掃員とすり替わって天井の整備口から侵入して”異能”を使用。


 総勢40名以上の団員と共に潜んでいた。


 警備やアルクス達が頭上の魔力に気付かなかったのは、魔力を散らす技術が普遍的なものであったことと、先頭の機関車に積まれている大型魔導機関から波動が出ていた為。


 奇襲と数の利を活かして、クラウディア誘拐を目論んだが、残っていたラウラ達と警備の抵抗を受け、想定外に時間を浪費。


 更に切り離したはずの三頭車が追いつき、アルクス達が合流したことで一気に形勢逆転し、計画が瓦解。


 最後はクラウディアを庇ったラウラを人質に取るも激怒したアルクスによって両手足を斬り落とされた。


 アルクス達が魔導学院に入学して半年後。


 尋問の末、極刑に処された。


 尚、帝国での極刑はアルクスの前世日本と同じく死刑である。



◯ 樹霊(妖桃花ver.):声無き植物の精霊が特定の草木に取り憑いた存在。樹木の霊。6章においては妖桃花に取り憑き、根を張り巡らせていた。


 根源要因=核に執着し溜まる習性がある。


 また本来は不定形で、巨大サンショウウオの化け物や女性騎士を模した姿形を根で作り上げていたが、これは森人族の『錬想顕幻』に近い攻撃性の発露とされている。


 尚、”樹霊”そのものが非常に稀な存在である為、一度も見たことのない森人族の方が多数。


 更に核から精霊を解放することを”樹霊の浄化”と呼称、難易度が極端に高いとされている。


 その理由は”樹霊”化する原因がそれぞれ大きく異なっていることに次いで膨大な精霊の記憶に曝されて脳へ過負荷が掛かり、最悪廃人となってしまう為。


 6章内にてシルフィエーラが”浄化”を成し遂げたが、これは彼女と森人の存在に気付いた”樹霊”が互いに対話を望んだからである。




※番外編


◯『不知火』:固定名がなく”鬼火”の一党と呼ばれるようになっていたアルクス達の正式な一党名。


 ラウラとソーニャの帝都までの長期護衛依頼を完遂した後、アルクス達が改めて6人一党として組むことが決まった際に考案した。


 太古の昔に存在していたとされる龍が海上にて灯していた怪火として、極東の島国から大陸へ伝わった言葉。


 決して触れ得ぬ炎と言われていることから、触れ得ぬ炎=誰にも消せぬ心火として掲げている

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