大丈夫
〈魔物〉
〈化け物〉
〈気味が悪い子〉
人が見えないものが見える私が、他者から投げ続けられた言葉だ。私の事を利用し、お金を稼いでいた汚い大人達も、そう陰で囁いていた。
今まで、何度も何度も、投げ付けられた言葉だから、ある程度言われ慣れていた。なのに、どういう訳か、思っていた以上にダメージを受けた。その事に、自分自身が驚く。理由は分かっている。
慶介に言われたからだ。
慶介にそう思われていると知ったからだ。
泣けるのは、まだマシな方。ダメージが深いとね、泣く事も、笑う事も出来なくなるの。唯一出来るのが、茫然と立ち尽くす事だけ。
まさに、今の私はそんな状態だった。
ふと、両手が温かくなる。目を向けると、蒼と陸と視線が合う。二人共、じっと私の顔を泣きそうな目で見詰めていた。背中も温かい。矢那さんと紺が後ろから、そっと抱き締めてくれたから。少し離れた所で、高橋さんが心配そうに私を見ている。
もう一つ、隣に誰かの気配を感じた。その人は、見えない手で私の頭を優しく撫でてくれた。
そして朱里様は、怒りを露わにして、慶介に詰め寄った。死神様達も不快感を隠そうとはしない。
『小僧。貴様……我らの愛子によくも』
朱里様の絞り出すようなその声の低さに、皆は怒りの深さを知る。
(ああ……温かい。ほんと、ここは温かいよ…………)
体温と一緒に伝わってくる、皆の心。
(大丈夫。この温かさを感じられるのなら……私は壊れたりしない)
私を包み込むような温かさに、私の心は癒やされる。慶介に傷付けられた傷が、徐々に塞がっていくのをはっきりと感じた。
「……蒼、陸、紺、矢那さん、家神様もありがとう。朱里様も私の代わりに怒ってくれてありがとうね。私は大丈夫。もう平気だから」
自然と口角が上がった。
私は顔を上げると、慶介と向き合う。
また、慶介に酷い言葉を吐かれるかもしれない。
でも、大丈夫。
だって、辛い時に、何も言わずに寄り添ってくれる仲間がいるのだから、平気に決まっているでしょ。




