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面倒くさいから全部チェンジで  作者: 衣之谷こうみ
ルミナリア編

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47/51

47 虫に刺されたんだよ


元ヴェスター大公邸ことドロテア・アリステール女侯爵邸。


到着後すぐに晩餐会が開かれた。

アリステール侯爵領近隣に配置換えになった領主達も多数参加し、『鉄壁のルミナリア』と『極光のネフィリア』の偉業を讃えたのだった。


わたしは営業用スマイルで彼等に応じ、ネフィーも笑顔を絶やさなかった。



機嫌を直してくれたかな?



だが、晩餐会後にシャルと一緒に汗を流した大浴場にネフィーは姿を現さなかった。

客間の風呂に入るみたいだ。




大浴場でゆっくりしたわたしが宛がわれた客間に戻ると、寝間着に着替えたネフィーが背を向けてベッドの上に正座していた。



「あの~、ネフィリアさん?」


恐る恐る声を掛けてみる。



「ルミナリア様なんて知りません!」


ネフィリアさんはご機嫌斜めのままのようだ。

さっきの晩餐会の笑顔は何処にいった?



「ごめんよ、ネフィー」


ネフィーの背後から肩を揉んで機嫌を取る。

更に優しく頭を撫でてみる。



「頭撫でれば機嫌が治るって思ってないでしょうね?」


少し首を動かして、わたしに刺すような視線を向けてきた。

頬がプクッと膨らんでいる。

ハリセンボンかな?



次の瞬間、わたしはベッドに組み敷かれていた。


「だ~れがハリセンボンですって?」


しまった。

パスが繋がっているネフィーには心の声が駄々洩(だだも)れだったよ。



「これは解らせる必要がありそうね」

「ネフィリアさん? ん!」


ネフィーに口を塞がれる。


「んんんんん!」


ネフィーの舌が入ってくる。


舌を絡め捕られたわたし。

次第に体から力が抜けていく。


わたしの口内を蹂躙し尽くしたネフィーが顔を上げた。



「ねえ、ミンスター様が言っていたこと、覚えてる?」


わたしに馬乗りになったネフィーがわたしを見下ろしている。



『粘膜接触が濃厚か、あるいは回数が多ければ、その分だけパスが強固になり、相手の固有魔法すら訓練不要で使えるようになる』



今更のように長官の言葉が蘇ってきた。



「魔王討伐する勇者を支える優秀な魔法士として、魔力を安定させてあらゆる魔法が使えるようになる必要があると思うの」


ネフィーの目が妖しく光る。



「それで考えたのよ。パスをより強固にするにはあなたと一つになるしかないって」



ネフィーが弛緩したわたしから寝間着を奪っていく。

生まれたままの姿になったわたしを満足そうに眺めたネフィーが自らの服を全て脱ぎ捨てた。



「これは私が編み出した魔法」


ネフィーが自らの下半身に手を(かざ)すと、ネフィー自身が女性には持ちえない大きさになった。



「ちょっ! ちょっと待って、ネフィー!」

「待たないわ」


魔性の笑みを浮かべたネフィーがわたしの腰をガッチリと抑え込んだ。


「ルミナリア様。いえ、リア。あなたを私無しでは生きられないようにしてあげる」



ネフィーがわたしと一つになる。

ネフィーの激しい営み。

ネフィーに蹂躙され続け抵抗する術を失ったわたしは、自身でも信じられないような嬌声を上げながらめくるめく快楽の坩堝の中に落とされていった。

そして、それは夜が明けるまで続いたのだった。




「おい、ルミナリア。体調でも悪いのか?」


魔王城を目指す馬車の中、パトリックが心配そうな顔で話し掛けてきた。



「歩き方も変だったし、馬車の振動を喰らう度に顔を(しか)めてるだろう?」

「ちょっと、虫に刺されたんだよ。痛たっ!」


わたしに体をぴったり寄せたネフィーが、向かいから見えないように脇腹を抓ってきた。

『虫』扱いが気に入らなかったらしい。



「ネフィリアちゃんは調子良さそうね? お顔艶々(つやつや)よ」


シャルがネフィリアを見てそう言った。


そりゃあそうでしょうよ。

わたしから奪い尽くしたんだもんね。


実際、今日のネフィーはニッコニコ顔。

昨日の不機嫌な態度が嘘のようだ。



一方のわたしは破瓜(はか)の痛みが治まらない。

安静のためにもう一泊しとくんだったよ。



イヤ駄目だ。

ネフィーは肉食系だ。

昨晩と同じことが繰り返されてしまう。



それに――――



――――――――――――――――――――――――――


朝、エントランス前までドロテア先輩が見送ってくれた。


別れの挨拶を交わす中、先輩がわたしの耳元でそっと(ささや)いてきた。


「いやあ。ゆうべはお楽しみでしたね」

「!」


先輩、絶対知ってるな。

あの人[遠視]が得意だったし。


まさか、全部見られていた、なんてことは無いよね?



――――――――――――――――――――――――――



「ともかく、具合が悪くなったら言えよ」


ありがとう、パトリック。


一方のシャルはわたしとネフィーをじっと見るだけで何も言わなかった。




わたし達は南部国境を越え、旧メグリア王国領に入った。

傀儡兵(くぐつへい)にされたメグリア王国軍もメグリア王家も王城もわたしの[サテライトキャノン]で焼き尽くされた。

それでも領内の民衆は日々の生活を送らなければならない。

その支援のために王国から部隊が派遣されていた。


陸軍工兵大隊が王都のインフラの復旧を急ぎ、陸軍歩兵師団が街道道沿いの治安維持に努めているのが馬車の中から見て取れた。



そうするうちに、わたし達は旧メグリア王国領を通過し、魔王国に入ったのだった。



◆ ◆ ◆


「ヒャホーッ!」


サンゴ礁から少し離れた海岸でパトリック殿下が波乗りしている。


海岸の木陰でシャルロッテ様がビーチチェアに寝そべりながら本を読んでいた。


馬車の御者を務める陸軍補給部隊の隊員は、馬に飼い葉をやっている。



「お~い! ネフィー! こっちにおいで!」


サンゴ礁のリーフでシュノーケリングしていたリアが私を呼んだ。



「なあに、リア?」

「見てご覧。スズメダイが沢山群れているよ」


リアがマジックバッグから取り出したシュノーケリングキットを渡された私は、マスクを被りシュノーケルを(くわ)えて透明度の高い水に顔を漬ける。


リアの示すサンゴの周りに青紫色のスズメダイが群れていた。

ところどころに黄色のスズメダイも群れている。


その美しさに感動して顔を上げると、



ピトッ



私の肩に黒いグニャッとしたものが乗った。



「きゃあっ! 何よ、これ!」


黒く細長いそれを肩から払い落す。



「黒ナマコだよお」


悪戯っぽい笑みを浮かべたリアが、次々と黒ナマコを放り投げてくる。



「いやああああああ!」

「わはははははははは」


リアから安全圏に逃れようとした私は、何かグニャッとしたものを踏みつけてしまった。



「足元はよく見た方がいい。これが一杯ウねっているからね」


リアが手にした黒ナマコを(かざ)して見せた。


私も海の底を見渡してみると、あちこちに黒ナマコが沈んでいるのが見えた。



「何よ、これ!? 何よ、これ!?」


慌てる私。

『ニシシ』と笑うリア。



「身動き取れないじゃない! 助けてよ、リア!」


涙目で助けを求める私。


(かしこ)まり」


スッとやってきたリアが流れるように私をお姫様抱っこした。


そのまま海を上がったリアは、ビーチパラソルが刺さっている場所まで来ると、パラソルの下に敷かれているビーチマットの上に私を降ろしたのだった。



「酷い目に遭ったわ」

「ごめんごめん」


悪いだなんて思ってないくせに。


「今夜、覚えてなさいよ!?」

「怖っわ!」


私が(にら)むとリアが顔を引き()らせてたじろいだ。


まあ、これは言葉だけ。

今夜はここで野営になるから、下手なことはできない。

パトリック殿下やシャルロッテ様にバレてしまう。


明日はいよいよ魔王城に乗り込む日。

魔王を倒すまで、リアが気絶するまで()(まく)ってやるのはお預けだ。


だから、リア。

調子に乗るのもそのくらいにしておきなさい。



◆ ◆ ◆


その晩。

わたしはシャルに砂浜の散歩に誘われた。


前を歩くシャルが突然立ち止まる。



「ねえ、リアちゃん」


シャルが振り返る。



「お姉ちゃんに隠し事、してない?」

「えっ? 隠し事って?」


馬車の中でずっと黙っていたシャル。

その彼女が突然二人だけの散歩に誘ってきた。

そこにどんな意味があるのか考えろ。



「リアちゃんは、ネフィリアちゃんのオンナになったの?」



突然の問いに答えに窮するわたし。



「そっか。やっぱりか」


シャルが足元の砂を爪先で掘る仕草をする。



「何となく解ってたんだ。リアちゃんは自覚が無いけど本当は女の子が大好きなんだって」

「…………」

「そりゃあ、パットが何度アタックしても落ちないはずだ」

「…………シャル?」

「リアちゃんがそれに気付いたのはネフィリアちゃんに会ってからよね?」


わたしは黙って首を縦に振った。



「そっかあ。残~念。出遅れちゃった」

「シャル…………」


穏やかな微笑みを浮かべるシャルの(まぶた)に光るものがあった。



「わたくしもいい年して、心は子供だったんだなあ。好きな女の子にちょっかいを掛ける男の子みたいな?」



『シャルがわたしに(しき)りに挑んできたのはそういう理由だったんだ』と今気付く。



「ごめん、シャル。気付いてあげられなくて。でも、わたしは――――」

「わかってるわ。ネフィリアちゃんが好きなんでしょう? 大切にしたいんでしょう?」


再び黙って首肯する。



「ネフィリアちゃんを大切になさい。わたくしもお姉ちゃんとして応援するわ。あなた達二人のこと、お父様にも誰にも文句は言わせないからね」

「ありがとう、シャル。いや、シャル姉。頼りにしてるから」


すると、シャルが右腕に力瘤を作って言った。


「よろしい。お姉ちゃんに任せなさい!」



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