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面倒くさいから全部チェンジで  作者: 衣之谷こうみ
アリシア編

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20/51

20 西部戦線異状なし


シュトックハウゼン侯爵軍は大混乱に陥っていた。

北の遥か彼方から突然飛来した未確認飛行物体。

それがアウトレンジから光の矢を放ってきたからだ。


領境に伸びる長城が次々と光の矢に破壊されていく。

投石機で反撃するも投じられた巨石は届かない。


長城上部に設置されたバリスタから放たれた鋼鉄の矢は、拡散する光の矢にことごとく溶かされ、バリスタ自身も未確認飛行物体から放たれた超高速のミスリルの(つぶて)の直撃を受けて破壊されていく。


《かすが》からのビームキャノンとレールガンによる強襲である。



「撤収! 撤収せよ!」


シュトックハウゼン侯爵が長城からの撤退命令を下す。


侯爵とその側近が騎乗して領都の城に退却を始めた。

領境守備隊がそれに従う。


そこに突然飛来した飛来物が侯爵達の真上で爆散した。

飛来物に抱き込まれていた金属容器が誘爆し、尖った金属の短槍が銃弾よろしく侯爵達に降り注ぐ。


「「「「ギャッ!」」」」


金属片を浴びた侯爵や側近と馬。

それらの頭や腕や足が千切れ飛んでいく。


彼等を襲ったのは自爆ドローン。

破裂したのはフレシェット弾だ。


主を失った兵達が右往左往と逃げ回る。


いつの間にか彼等の上空に来ていた未確認飛行物体の下部が口を開け、そこから雨霰のように爆弾が降り注いだ。

上空で破裂した爆弾から火のついた液体が降り注ぎ、兵達の鎧に付着した瞬間に延焼を始める。

燃え盛る液体は将兵の鎧の隙間から浸透し、彼等を鎧の中から焼いていく。

一人の兵士が転げ回って消し止めようとするも火勢は収まらず、やがて兵士は手足を縮めるようにして絶命した。


《かすが》から投下されたのはナパーム弾。

数多の兵士が消せない火に焼かれて死んでいく。



やがて、《かすが》は領都が見える丘の上空に到達する。

領都中心部に聳え立つ侯爵の居城。

《かすが》のVLSから垂直に放たれた弾道弾がロフテッド起動を描いて城に真上から直撃し、城を土台から完全破壊。

城の周囲に布陣する侯爵軍主力にも自爆ドローンが殺到し次々に侯爵軍を無力化していく。


シュトックハウゼン侯爵軍の損耗率は98%。

15分で侯爵を含めてそのほぼ全てを失ったのだった。



侯爵領の領民が見たもの。

それは未確認飛行物体のサイドに記された《かすが》という名前と圧倒的な火力。

重税に苦しむ彼等にとって、それは天からの御使いのように見えた。


彼等は一様にその未確認飛行物体をこう呼んだ。


神船かすが』と。



◆ ◆ ◆


シュトックハウゼン侯爵領を制圧したわたしは次なる敵地に転戦すべく帝国西部地方を南下していた。


次なる敵はアナハイム公爵領だ。

アデルファイド伯爵曰く。

アナハイム公爵は航空兵力を保有しているらしい。


アナハイム公爵かあ。

帝室に連なる外戚なんだよね。

皇帝に忠実な上級貴族だったはずなんだが、簒奪者でも皇帝なら従うってことかよ。

少しは自分の頭で善悪考えろよな。


まあいい。

蹂躙するだけだ。



そんなことを考えていると、警戒警報が鳴った。

偵察用ドローンが何かを捉えたらしい。


正面モニターを拡大すると、ワイバーンの一団が飛来してくるのが見えた。

ワイバーンの背に鎧を纏った騎士の姿も確認できる。


あれが竜騎兵ね。

飛行する艦には航空兵力で対処か?

対応方法に間違いは無いが、火力に圧倒的な差があることも考慮すべきだったね。


ビームキャノンを拡散モードに切り替えてトリガを引く。

砲身から放たれたビームが拡散して竜騎兵部隊を捉えた。

拡散ビームの一つ一つに撃ち抜かれたワイバーンが竜騎兵諸共次々に墜落していった。


竜騎兵部隊は総勢100騎。

拡散ビーム5斉射で片付けることができた。


ドンッ!


艦体が派手に震動する。

攻撃か?


高度600mだぞ。

何が起きた。


艦の損傷を確認する。

艦体下部に少し凹みができたみたい。


偵察用ドローンと艦体下部の監視カメラ画像で確認すると、下方から巨石を投射されたようだ。

次々と下方から飛んでくる巨石。


投石機から?


念のため高度を1000mまで上げる。

もう巨石は届かなくなったが、高度600mまで到達させられたこと自体が脅威だ。


どうやって到達させたのか調べる。


画像解析すると、巨石を投射してきたのは間違いなく投石機。

だが、その大きさが尋常では無かった。


なんだ、あれ!?


投石機は長さ100mの鋼鉄製。

まるで列車砲のようだ。


とても人力で動かせるとは思えない大きさだと思ったら、大型の魔物を動力源にしてやがったよ。


4体のオークキングを使役するとは恐れ入ったね。


どうやってオークキングを制御下に置いたのかはわからない。

だが、怪力を誇るオークキング4体が力を合わせて動かすあの巨大投石機なら破壊力も飛距離も稼げるだろうよ。



さて、どうやって攻略しようかね。


相手はオークキング。

並みの火力では歯が立たない。


面倒臭いなあ。

直接手を下すとするか。


わたしは艦橋のコントロールルームを出ると、艦底の爆弾投下ハッチに足を運んだ。

作業用足場の手摺に(つか)まったわたしは爆弾投下ハッチを開いて下を眺める。

吹き上げる風が髪とスカートを旗めかせる。

サイトグラスの照準を1000m下の巨大投石機に合わせる。



なるほどね。

あれが巨大投石機か。


巨大投石機は2基。

さすがに使役できるオークキングが限られているらしく複数は用意できなかったらしい。


オークキングは8体。

ざあ、ちゃっちゃとやりますかね。


「エクストラクション」


オークキングの魔石がゴロゴロと爆弾投下ハッチの奥に転がる。

8体のオークキングから手を汚すことなく抜き取った魔石達だ。


これでオークキングどもは全て絶命。

巨大投石機は無効化できた。


だが、念には念を入れてっと。


爆弾投下ハッチから爆弾を2個投下する。

精密誘導爆弾だ。

爆弾は狙い違わず巨大投石機をオークキングの死体諸共爆散させたのだった。



手間を掛けられたから、お返しは必要だよね。


ナパーム弾がローラーコンベアを伝って次々に爆弾投下ハッチから艦外に投下される。

公爵軍の陣地は見る間に火炎地獄と化した。

ついでにフレシェット弾も投下してあげる。


公爵自身はフレシェット弾の鋼鉄の矢に射抜かれて絶命した。


よし。

敵の最右翼だったアナハイム公爵は消した。

これで西部地方の諸侯軍は最精鋭を失ったことで瓦解するだろう。


後は残敵処理くらいかな?



結局、これ以降、西部地方の諸侯軍の組織的抵抗は激減した。

敗残兵が(もたら)した情報に戦意を喪失したんだろう。


行く先々で白旗が上がり、その度に自由ミュルシュタット同盟軍から残務処理部隊を寄こして貰う。

当然、残務処理部隊が到着するまでわたしも次の戦線に向かえない。


必然、わたしの進撃速度は遅くなるのだった。


こんなことなら、降伏される前に薙ぎ払ってしまえばよかったよ。



でもまあ、西部戦線は確実に収束に向かっている。

西部戦線異状なし、報告すべき件なしだよ。

コンスタンスとの再会も間もなくと言ったところかな?


前回はいいようにされたから、今度はこっちのターンだ。

待っていろ、コンスタンス。

もう二度と抵抗できなくなるくらいトロトロにして、わたしの虜にしてやるんだからね。




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