第34話 青海すもも
「んん~燦々と輝く太陽が如何にも夏って感じ! さて! シュピレシアさまを起こしにいかなきゃ!」
第三幕。夏の国の物語。
春の国の物語が初期プロットから大きく変化しなかった一方、夏の国の物語は大きく変化し。
「……この子、春の精?」
その代表例として、アリシアの密かな恋情にまず気づくのがシュピレシアではなく、クレイシアに変更されたことが上げられる。
『やっぱり、モモさんの勘が正しかったってワケだ』
『返す言葉もないよ……ごめんな。負担かけちゃって』
『別に気にしてないよ。むしろ鍛錬の日々をくれたことを褒めて遣わすぞよ。おかげで成長できたし』
『お前って、ほんとポジティブ思考だよな』
『そりゃモモさんも第三惑星として、きーくんを照らす使命がありますからなぁ』
『そっか……そうだよな。すももも立派なほしだよな』
『……きーくん。わたし、絶対きーくんの夢を叶えるから』
『すもも?』
『きーくんにも小波ちゃんにも笑顔でいてほしいから。わたしがんばるよ』
『……俺の知る幼なじみの青海すももはこんなキャラじゃないんだけどなぁ』
『きーくんの夢が叶うのなら、わたしはキャラだってなんだって捨てるよ』
『すもも……』
「そんな……季節渡りなんて無謀な挑戦を、たかだか恋情を伝えるために行ったって言うの? そんなことって……どれほどの想いがあれば、実行に移せるの?」
さすがに雛鳥の演技には劣るものの、すももの演技にも胸にグッとくるものがある。
普段のちゃらけたふるまいが嘘であるかのような、そんな鬼気迫る演技に、俺は、胸が締めつけられるような感覚を覚える。
「どうしよ……とりあえず肉体を保持しなきゃ。肉体がある限り、可能性はあるし」
すもも……お前、演技経験なんてなかったんじゃないのかよ。
なのになんで、そんな堂々と演技できるんだよ……
「わたしの魔法を使えばあるいは。……けど、あの魔法は……」
お前は、どうしてそこまで俺のために必死になってくれるんだよ……




