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やっぱり熊が好き  作者: 雨後乃筍
2章 鮎の友釣り

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2−4 追跡

佐伯さえきさん、また地図見ているんですか?」


 同僚の警察官が話しかけてきた。


「ああ、この二ヶ月の間で、子供が二人行方不明だ。誘拐の可能性も十分に考えられるが、途中で何か落とし物とかあるかもしれないからな」


 佐伯は、C県警の警察官だ。退官まで後十年ちょっと。地域で知らない人はいないというぐらい、地元に根差した警察官として活動してきた。


 この数ヶ月で小学生の失踪事件が相次いだ。時間は両方とも夕方。友人宅の行き来の間に、忽然と姿を消していた。

 決して見知らぬ道でもない。人家がまばらとはいえ、距離にして数百メートル。人目がないわけでもない。そんな中を、まるで神隠しにあったように、跡形もなく消えたのだ。


 聞き込みで、同時間帯に『青い車を見た』との証言があったが、青い車なんて、それこそ山のようにある。特にこの地域はほぼ全ての家が車を持っている。県外からの通過も多いので、それだけではなんの手がかりにもならなかった。


 ましてや夕方の時間だ。目撃者は『青い』と言っていたが、本当に青だったのか怪しいものだ。夕方の光の中では、グレーの車も青に見えることがある。


 誘拐の可能性もあるが、身代金の要求はまだない。誘拐の場合は、時間が経てばそれだけリスクが高くなる。


「ちょっと『警ら』に行ってくる」


 失踪した二人の子供の、行きそうなルートを辿るのが、日課となっていた。


 何回か、子供の親に会ったが、どの親も憔悴しきっていた。特に母親の方は見る影もなくやつれていた。自分を責めて自殺でもしかねない勢いだ。


 あの家族のためにも、何か手がかりを見つけないと。


 いつものように、二人の子供の自宅から、向かったとされている友人の家までのルートを辿る。

 行方不明の女児は、友人宅が最後の目撃情報。男児は、自宅から出る時が最後の目撃情報だった。


 山の麓の道で、パトカーから降りて周りを見渡す。確かに寂しい場所だ。だが、こんな見通しの良い場所で誘拐などするだろうか? 近くに民家もあるというのに。よほど大胆なのか、衝動的だったのか……。事故の可能性もある。


 山の方には鬱蒼とした草木が茂っている。僅かに鳥の囀りが聞こえてくる。


 そこへ、一台の車が通り過ぎて行った。


 青い車!


 はっきり見えなかったが、県外ナンバーではなかったか?


 乗っていたのは、男の二人組。若かったように見えた。

 なんで、こんな何もないところに、若い男二人組が? まさか。


 行方不明の一人は女児だ。理解はできないが、小さい子供をターゲットにした胸糞の悪い事件が都会では発生していると聞く。


 まさか……、いや、一応確認するべきだろう。全ての可能性を追求するべきだ。


 急いでパトカーに戻り、Uターンをさせた。


 先ほど通過した青い車を追ってパトカーを走らせる。同時に警察無線で連絡を入れた。


「佐伯だ。今県外ナンバーの車に乗った男二人組を追跡している。どこかのタイミングで合流してほしい」


 見失わないように、気付かれないように、一定の距離をたもって、パトカーを走らせていた。


 <つづく>


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