2−2 闇の中
目を開けているはずなのに、真っ暗だ。目を閉じているのか開けているのかわからない。
足が痛い。まともに立つことができない。その場に座り込んで、周囲を見渡す。
真っ暗で何も見えない。ただひどく臭い。
トイレのような臭いを、もっと濃くしたような臭い。
思わず口に手をやる。口の中で砂のような違和感があり、思わず唾を吐き出した。
「ここ、どこ?」
何も分からなかった。気がついたら暗闇の中にいた。自分が、どうしてここにいるのか、今何時なのか。
友達の家に遊びに行く途中だったはず。そう、途中で女の子のボールを探すのを手伝うために、山道に入った。しかし、その後の記憶がない。
「おーい、誰か!」
呟いてみた。誰も返事をしてくれない。目を開けているはずなのに、閉じているんじゃないかと思うぐらいの暗闇と静寂が支配していた。
「ママ……パパ……」
心細くて涙が出てくる。手探りで這うように床を進む。手の感触は地面を触っているが、時折変な感触が手にある。僅かに地面が濡れているようだ。あと、手に触る小石のような感触があり、カラカラと乾いた音を立てていた。
頭に何かが当たった。手探りでそれに触ると、学校にある上り棒のような冷たい感触。それが何本も連なっている。
うまく立てなかったが、その鉄の棒に掴まりながら、ゆっくりと体を持ち上げてみた。
立ってみたところで、暗闇が晴れることはなく、相変わらずどこまでも続く闇が支配していた。
顔に微かな空気の揺れが当たる。
その時、陸の近くで、何かが動く気配がした。目を凝らしても暗くて何も見えない。ただ巨大な何かがある。
息苦しくなるような圧迫感。息遣いが聞こえる。生臭い。すぐ顔の前まで迫ってきていた。
生暖かい液体が足を伝って落ちる。失禁していた。
<つづく>




