6話
高速に乗って徹の車はスピードを上げた。
渋滞もなく、この分なら予想より早く着きそうだ。
「隆、資料は読んだが、今日の場所は?」
「うん、だいぶ寂れた祠というか神社だな。戦前からあるらしいが、今では近くの人も存在を知らないらしい」
「そんなんじゃ、調べるのにも限界があるよな」
「フィールドワークとしては、現在の姿と過去の形跡がわかればぐらいになると思う。神社だったら祭事とか何かしらの形跡がありそうだしな」
まず現地に行って、それから市役所や現地の図書館で調べて、可能であれば近所の聞き込み、
隆は、なんとなく郷土史物のフィールドワークプランを頭の中で描いていた。
「周辺の郷土史物を調べるだけでもレポートの隙間埋めるぐらいにはなるだろ?」
徹は相槌の代わりにアクセルを踏み込んでいた。シビックのエンジン音が一段高くなった。
高速をおりて、セットしたナビに従い県道に入っていく。
道幅が狭く、住宅もまばらになってきたところで、ナビが到着を告げた。
そこには何もなかった。
いや、厳密には、山の木々が茂った道沿いだった。
「おい、本当にここなのか?」
徹が怪訝そうに聞いてきた。
「場所はここであっているはずなんだけど」
隆が、茂った草むらをかき分けるようにして見ると、僅かに山道らしき木々の隙間が見えた。
「ここらしいな」
山道と言っても、草むらの中にできたほんの僅かな隙間を、草木をわけながら入って行くケモノ道という感じだ。
現地は想像を超えていた。
山の入り口から50メートルほど登ったところに、少し開けた場所があり、確かに祠らしきものが見えた。
ただ、草が生い茂っており、あることを知らなければ、見逃してしまいかねない程度だ。そもそもこの道は人が通るためのものとは思えない。
小さい祠と、石碑はあるが、鳥居は台座を残してどこかに行ってしまったようだ。
その石碑と祠も草に覆われている。
「石碑にはなんて書いてある」
「ダメだ、読めないな。文字っぽい字が見えるけど、判読できない」
「とりあえず周囲の写真を撮っておくか」
隆はスマホの写真で周囲を撮影し出した。
周囲は生い茂った草木だらけだが、周囲の環境がわかるように、祠を中心に数十枚の写真を撮った。
ふと。違和感を覚えた。
誰かに見られているような。




